Heat Wave

2002-07-23
やはり上空の「寒気」ってヤツの影響でしょうか、涼しい一日でした。
おそらく首都圏の都心部の路上と比べたら、10度は低いんじゃないでしょか?
逆に考えると、都心部のヒート・アイランド化現象は、いったいどこまで行くんでしょう。もはや、人間が耐え得る限界を超えてるんじゃないのかなあ?
すでに都内じゃあ、冷房無しの生活なんて「自殺行為」に近いですよね。
すると「自衛手段」として自分も冷房つけるしかないワケですから、その排熱で、周囲はさらに暑くなるってワケです。
みんながその方向に流れることにより「熱暴走」が始まる・・・
都内を走る百万台以上の車両が燃料を燃やすことによって発生する熱だけでも相当なものなのに、それに対処するために使うカー・エアコンがまた余分な熱を周囲にバラ撒くのです。

こうして一度崩れた熱のバランスは是正出来るのでしょうか?
それをキチンと是正出来るのなら、「テクノロジー」ってものが、確かに人間のためになるモノだ、と言えるのでしょうが、どうも、いま人類が頼りきっている「科学」ってヤツが実に中途半端なものだ、とは思いませんか?
一方的に、限られた空間内の熱を、その外に排出するだけのテクノロジー。
あるいは大量のメールを無作為に瞬時にして送付するだけのテクノロジー。核分裂で、とりあえずのエネルギーを生み出すだけのテクノロジー。こんなものを「テクノロジー」と呼べるのでしょうか?
熱的に「汚染」された環境を復活させるためのテクノロジー、不法なスパム・メールそのものを成立させないようにするテクノロジー、絶望的な半減期を持つ地上最悪の放射性廃棄物をカンゼンに無害化して一掃するテクノロジー、そのような、発生から終末に至る因果にまで目を配ったものが本当の「科学」なのですが、人類はどうやら近くは見えても遠くまで目は届かないのでしょうね。

たとえば医学の世界では新薬というものが認可されるまでには、膨大な予備実験のステップがあります。
実効性があるのかどうかを試すのは当然として、副作用についてもその範囲、強度などすべてについてクリアしなくてはなりません。
それが「テクノロジー」となると、特に「副作用」とでも言うべき、それが導入される事によって起こり得る「すべての」問題が、きちんとチェックされているでしょうか?
医薬品以上に広範な人間社会そのものに影響を与える可能性を持っているのに、まず導入してみる。から始まるのはナゼなのか?やはり先行して創業者利得を独占しようとする企業的発想が、内部での充分なアセスメントを待たない(待ってはいられない)体制を作ってしまうのでしょうね。

でも、東京はこれから、どうなってしまうのでしょう?
今だって青森からジェットで羽田に飛ぶと、近づくにつれ、首都圏は汚い茶色の煤煙に覆われているのが窓からハッキリ見ることが出来ます。
そして目には見えなくても、皮膚感覚として判る異常なほどの熱の蓄積。これを解決出来るだけの「科学」を、いいえ「テクノロジー」でさえ、熱暴走が都市機能を破壊する前に見出すことが出来るのでしょうか?
あるいは、そこに住む人々が都市を見限って、大量に脱出でもすれば、皮肉にも「改善」される事になるのでしょうが、しかし、それではその穴を埋めるように流入して来る新たな住民が、やはりまた同じ熱暴走を始めるだけのことでしょうね。

つまり、東京に見られる「都市問題」は、量的な問題ではなく、質的な問題なのです。それを解決出来たなら、その時、本当の「科学」を手に入れた、と言うことが出来るのではないでしょうか。
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