2005-02-10 THU.


実に 24 日間に及ぶ「ムリヤリ」連載（？）、言わば Elmore James とその生きた時代、てなナニでございましたが、例によって無節制に戦線を拡大しちまったせいで、昨年 11月の「公民権運動」とリンクさせた Sly and the Family Stone の怒濤の三週間連続をさらに三日も上回る長さとなってしまいました。

1912 年のバルカン戦争に始まり、およそ半世紀後の、さらに悪化し始めるヴェトナム戦争の不吉な予感まで、その間に第一次と第二次の二度の世界大戦をはさみ、さらに朝鮮戦争、中東戦争、ハンガリー動乱、アルジェリア独立戦争などなど⋯もちろん、その時期が特別な「戦争の時代」であったワケではなく、いつだって、どこでだって規模の大小、その理由の如何を問わず「紛争」は起きているし、またこれからだって無くなることはないのでしょうね。

宗主国の搾取に喘ぐ現地民が独立を目指して蜂起するのは、「植民地主義」がもはや国際的な賛同を得られない現代では武闘化するケースも少なくなりそうですが、問題は民族間の対立でしょう。
本稿でも触れましたが、貧富の差や、ちょっとした社会的な待遇の差、そんなものが積もり積もって不満から憎悪に転換するのは実に容易だし、それがまた大抵は「民族の純粋さ・誇りを守れ」的なスローガンでカンタンに煽られ、そこになにかしらの事件が起きれば、一気に武装対立に暴走してしまいます。
つまり、武器を売ろう、と思ったら、部族間、民族間、国家間の「対立」はすべて潜在的な「マーケット」であるわけで、もうホンのちょっと手を加えるだけで容易に「発火」します。
基本的に「陰謀史観」、つまりなんでもかんでも「これはユダヤ（ここにはユダヤばかりか石油メジャーだったり CIAだったり、お好きなものを･･･）の陰謀である」とか世界史を読み替える考え方は「逆に」安易すぎると思うのですが、こと紛争の現場については、常にそのような紛争を「拡大させる」方向のバイアスも働いているように思います。
紛争って、収拾するのは極めて困難なものですが、起こさせるのは実にカンタンなワケですから。

民族間の紛争の数々の戦端を見てみると、その発端は実に些細なことであるかのように思えます。もちろん、それが重大な結果を招くのは、その背後で相互の「憎悪」が臨界点に達していたからには違いないのですが、やはり中には、いったん事態が収拾しかけていたのに、末端の軽卒な行動によってそれが無駄になる⋯という図式に「見える」ケースが結構ありますよね？
そのヘンに武器商人の介入して来るスキがあるような気がしてなりません。

さて、それとはカンケー無い（し、Elmore にもブルースにもカンケー無い）ことですが、第二次世界大戦で日本はその国民に 300 万人と言われる犠牲者を出しています。
しかし一方では、日本が軍事侵攻して戦線を拡大したことによって、およそ 2,000 万人ものアジアの民衆が犠牲になっているワケです。
そのことを「日本」はきちんと「意識」しているでしょうか？
あの外国人留学生による一家四人を殺害した事件にしても、そのような「過去」の蓄積が「皆殺し」という過激な手段を呼んでいるような気がしてしょうがないのですが⋯
もし、あの同じ犯人たちが、自国で強盗行為を行ったとしたら、はたして全員を殺しただろうか？というギモンです。
彼らの行動に（来日以来、さらに日本人に対する反感が生まれた可能性もあるでしょうが）日本に対する敵意が影響を与えていたとしたら⋯

なによりも「憎悪」というものが「正義」を標榜したときにすべての暴走は始まります。いったん双方がそれぞれの「正義」を掲げてしまったら、もうあとは殲滅戦となり、どちらかが圧倒するまで終わらないし、終わったように見えても、それは「屈辱」でさらに強化された「憎悪」を培養させるだけ。

人類がこの「どつぼ」から脱け出せる日は、果たして来るのでしょうか？
昨日まではちょっと生活習慣や信仰が違ってても普通に暮らしていた隣人どうしが、いったん民族の「正義」を掲げてしまうと、その瞬間から「敵」同士になってしまう⋯いやはや、人類はサルと違って、先人の知恵を蓄積して行くからどんどん「賢く」なって行くハズなのに、これはどーしたことでしょう。

実際には権力者による覇権主義によって引き起された戦争であっても、その多くが民族としての「純粋性」であるとか「正義」を掲げることによって、実際の戦場で代わりに「消耗」されてしまう国民を「乗せて」動員すること無しには実行できなかったワケですから。

ま、あまり悲観的になってもしょうがないですが、いまのとこ、ニンゲンって意外と賢くないのねー、っちゅうのが偽らざるところです。

そ、ホントは賢くないんだ！ってのが判ってたら、少しは違うかも。

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