Portrait of a Man

Screamin' Jay Hawkins


2005-02-18 FRI.







1972 年に Tennesse 州 Nashville の Woodland Sound Studios で(たぶん)白人ミュージシャンをバックに Cutlass/Hot Line に録音したのが、この Hot Line 10024-25、Portrait of A Man and his Woman なのですが、Charly からリリースされた際にそのアルバム・タイトルを「より判り易い(?)」I Put A Spell On You に変えられてしまっております。

ところが、さらにややこしいのが、Fuel 2000 Records からも「ほぼ」同内容のアルバムが出ておりまして、そのアルバム・タイトルが My Little Shop of Horrors
ま、もう買っちゃったよ、ってえ場合は仕方ありませんが、そのアルバム、ザンネンなことに、この Portrait of A Man and his Woman から Itty Bitty Pretty One と What Good Is It ( Part 2 ) を「抜いた」不完全な Reissue なんですねえ。
せめて、まったくの同内容なら(あ、それでも知らずに買って「全ダブ」だとガックシ来ますが)まだしも、なんで二曲が削られてるんだか理解できません!
どうか My Little Shop of Horrors には気をつけてくださいませ。

さてこの Portrait of a Man ですが、じっくりと聴かせるスローなナンバーを丁寧に歌い上げる⋯なんてえ表現が、彼くらいそぐわないのもいないよねー。
そりゃ、「彼のスタンダードからすれば」実にしっとりと、ココロを込めて歌ってる、っちゅーことになるのでしょうが、それなのに、聴いているこちらは、どーしても笑えてしまう。いやはや、まさにそこら「人徳(?)」ってものでございますねえ。

録音は 1972 年の Nashville、ローカルなレーベル Cutlass / Hot Line Records に、あの Chuck Willis の Don't Deceive Me とともに録音した、とされるトラックです( Hotline からの著作権申請は 1972 年ではなく、その前年の 1971 年になってるとこがちと「?」なんですけどね)。

ピアノ&オルガンとして Tony Migliario の名がクレジットされておりますが、どうもこのピアノは Screamin' Jay Hawkins 臭い(?)んですよ。
ところどころ I Put a Spell on You に「行こう」とするとこがあって⋯
そのバックで、出来損ないの Wes Montgomerry みたいなオクターヴ奏法にチャレンジしたりしてるギターは Jimmy Kovards。
低く地を這うようなベースはたぶん Joe Allen でしょ。たぶん、ってのは、このバック・バンドそのものが Tommy Allsup( 6 strings bass のプレイヤーでもある)のバンドだからなのです。でもまあ、聴いてる限りでは 6 弦ベースとは特定できませんし(ま、そうじゃない、とも特定できないんだけど)、たぶんフツーのベースだろう、と⋯
そして、やや控え目ながら背景を彩るオルガンはたぶん前述の Tony クンでしょ。ドラムは Kenny Malone で、ところどころ「盛り上げ」てんだか「盛り下げ」てんだか判んないような「一本調子」なバック・ヴォーカルは David McKinely と Henry Dotson 率いる 21st Century Singers のみなさま。

本来は 1972 年に発売されたアルバム Portrait of a Man and his Woman ( Hotline HL 10024-25 )に収録されたものですが、それを 1995 年にリイシューしたのがこのアルバム Portrait of a Man - A History of Screamin' Jay Hawkins というこの Edsel EDCD 414 でございます。

まあ、それにしても、センセ、今回は心中、期するものがあったのか(?)、やたら音もコントロールして、「聴かせよう」なんてえ野心を燃やしておったのかもしれません。「出」のピアノからしてカッコつけてるもんね。
それでも、いざ興が乗っちゃうと、いつもの「おちゃらけ声」が、もう自然に出て来ちゃうんでしょうね、きっと。
こりゃもう「性(さが)」ですわ。ってそこがまたいいんだけど。

さて、この Hot Line 10024-25、Portrait of A Man and his Woman のバック、バンド・リーダーの Tommy Allsup ってのが C&W 界では大物ミュージシャンとの共演も多い 6 弦ベース奏者なんですね(例えばバディ・ホリーのバックも務めていた ─ ただしギターで。1959 年 2 月 3 日の飛行機事故、The Day the Music Died と言われたバディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、そしてビッグ・ボッパー=リチャードソンが死んだあのフライトに「乗らなかった」運命のひとでもあります)、このひとが白人だ、ってのはもう調べがついております。

あ、ここでの 6 弦ベースってのを、最近ハヤリの 5 弦ベース→ 6 弦ベースってえ、あの流れで出現した「すんげぇ」ベース、と思うのはたぶんマチガイでしょ。

この 1972 年当時のことですから、おそらく 1961 年から 1968 年あたりまで生産されていた Fender Bass VI、つまりボディは Jaguar 系のデザインで、そのままスケールを 30 インチに延長してギターよりは 1 オクターヴ低く、ピック・アップは 3 個でちゃんとアームまでついた、ギターとベースの中間モデルだったのではないでしょか(左の画像。クリックで拡大します)。たしかウィチタ・ラインマンのソロとってたのがそれだと思ったな。

ただ、ザンネンながら Tommy Allsup がそいつを持ってる画像には辿り着けなかったんで(ギブソン系のヘッドのギターを持った画像*だけ。でも Gibsonではありません。Samick というメーカーのような⋯)、ホントにそうかは「?」ですが。

また他のサイドメンも検索してみましたが、すくなくとも判った範囲では白人でした(困ったことに検索して出てくるのは CD 屋さんの紹介リストか、でなきゃワタシの HP の Screamin' Days ばっかりで、それじゃなにも判らんがな!)。
そして 21st Century Singers ですが、辿り着いた資料を見る限り Who Wouldn't Serve A God Like This であるとか What A Friend We Have In Jesus なんて曲を(普段は?)歌っておられたようで、それをまあ I Put A Spell On You なんてえ「邪教」の悪臭紛々たる演奏に投入するんですから⋯ 実にもうバチ当たりな確信犯(?)でございますねえ。

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