Blue Midnight

Little Walter


2005-02-23 WED.


時あたかも、なにわのハウリンYOU娘さんとこの bbs で話題沸騰(?)してる Chess Chamber*でございますが、そこでも名前が出ておりましたのがこの曲、Little Walter の Blue Midnight でございます。

* Chess Records ─ 1947 年に Aristcrat として創設され、後にチェス兄弟によって買収された。当初は自前のレコーディング・スタジオを持っていなかったため、殆どの録音は Universal Recording Studio で行っていました。
1954 年に Chess は Chicago の 49 番街からワン・ブロック北の 48 番街 Cottage Grove へと移り、そこで初めてリハーサル・スタジオを持った、とされていますが、その設備は非常に「プア」なもので、ユニヴァーサル・レコーディング・スタジオとは比較にならないようなショボいものだったと言います。
その Chess がようやくプロフェッショナル・グレードのスタジオを所有することが出来たのは 1957 年に South Michigan Avenue 2120 番地に移ってからのことで、このスタジオでは初めて Echo Chambers が登場いたします。
やがて 1960 年から担当したエンジニアの Ron Malo は 1975 年、地下に Echo Chambers Room を作り、これ以降、Chess の「残響音」は一段とグレード・アップした、と言われております。


さて、ワタクシにとっちゃあ、なにかと条件つきで語りたくなる、同じハープの誰かさんとは対照的に、歌にしてもハープにしても、完全に無条件で「いい!」っちゅうのがこの Little Walter でございます。
もちろん、そのヴォーカルも大好きなんでございますが、このハープのみで勝負!っつー Blue Midnight、これがまたたまりませ〜ん。

バックのパターンを聴いていただけばお判りのとおり、これって Blues After Hours のハープ版てな感じですよねえ。
なんたってこのイントロのハープがまたいい!
そしてユックリと入ってくるあのパターン。ベースで弾いてるのかと思うと、それにゃあ音が高すぎるよな気がすんのよねー。ま、もっとも低くなるとこじゃ「いかにも」なベースの音域だからやっぱベースなのかなあ?
あ、もひとつ、これは 2001 年 1 月の BlueNotes に Greg Johnson が書いていた Luther Tucker についての記事中に、その録音歴の記念すべき「スタート」が、この Little Walter の Blue Midnight であった。としてあるんですよ。

この Blue Midnight は 1952 年の10月に(上記の Chess の歴史とスリ合わせると、おそらく Universal Recording Studio での録音だったんじゃないでしょか?たしか Alternate Take も Universal のテープから出て来たんじゃなかったっけ?)録音され、手元の資料では Louis Myers のギター、Dave Myers のベース(ギターかも)、そしてドラムはモチロン Fred Below となっておりまして、またヘッドフォンでキビしく(?)チェックしてみても、ギターが二本もいるようには聞こえないし、もしかすると LRDB LP 2017 に入ってたほーの Alternate Take に参加か?と思いそっちもキビしくチェックしてみましたが、うん、確かにちょっとちゃうムードではあるけど、このギターが Luther Tucker であるなんて断定も否定も出来るほど詳しくないもんな⋯ただ、やはりクレジットでは Louis Myers になってはおります。

なんてことはともかく、やはり、この Alternate Take よりは、1960 年に My Babe とカップリングで Checker 955 としてリリースされ、さらに 1969 年に Chess CH-1535 としてリリースされた Hate to See You Go に収録されたこのテイク(確かトラック・ナンバーは 1050-2 となってるようですから、向こうが take-1 かもしんないけど)のほーがいいですよねー。
ドラムも Fred Below の割には(?)ミニマムでなかなかよろしい。

残響音、といえば忘れられないのが、弘前でのライヴで最後までモメた Eddie Taylor のギター・アンプを思い出しますねえ。

最初はフェンダーのツィン・リヴァーブを用意してたんですが、355TDSV のステレオ出力の一方をストレート入力へ、もう一方をエフェクト入力へと別けて、そうするとギターの二つのヴォリュームのバランスだけでリヴァーブの「深さ」が変えられる、っちゅうシステムだったのですが、ツィン・リヴァーブに内蔵されたリヴァーブ回路のスプリングそのものが経年変化なのかフルにするとスプリング自体が周囲に接触するらしく、ものスゴ〜い耳障りな雑音を発するのですよ。
そしてあちこち連絡して用意したフェルナンデスのアンプが「それよりはマシ」となって、やっと本番、ちゅう一件がございました。

その経験があったからか、スプリング・リヴァーブってのはロクなもんじゃねえ!となってグヤトーンの当時は最新のデヴァイスだったディジタル回路による「マイクロ・リヴァーブ」ってのを使うようになりましたっけ。
世の中には(特にブルース界隈には?)頑迷なディジタル嫌いがおって、自分を純粋主義者だとでも思ってるのか「ブルースは直アンに決まっとる!」などとぬかしくさるんだよな〜。
たかが「こってこての」ニホンジンに「ブルースはこうでなくちゃいかん」とか「もってのほか」なんぞと言われたかねえや。

ワタクシ、ノイズの少ないディジタル回路、だ〜い好きでございます。

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