Take Five

Hound Dog Taylor


2005-02-24 THU.


知ってるひとは知ってますが、Take Five ゆっても多くのかたがご存知の「あの」テイク・ファイヴではございませ〜ん!
しょっぱなからいきなりバーストするツブれたスライド・アップ!そしてベースとドラムがドガチャカと斬り込んできて、メッチャ調子いいこのナンバーの幕が開きます。
特にヘッドフォンでチェックしてると、毎拍を踏んでいくキックの重低音が Brewer Phillips のベース音と重なって、独特のドライヴ感を出していますねえ。

まあ、ふつー Take Five っちゅうと、例のイージィ・リスニング・ジャズ(?)のデーヴ・ブルーベックの同名異曲が有名なようでございますが、こちとら、そっちの「洗練度」なんぞどこ吹く風、っちゅうゴリゴリぶりでございまして、いやあ、この「驀進感(?)」が実にもう「いい」のでございますよ。

しかしまあ、なんですねえ⋯ん?どっかで聞いたセリフ。なんだか「コエダ」とかってえ単語がココロに浮かぶのはナゼ?
いやいやきっと気のせいだな、うん⋯
さて、この Hound Dog Taylor って、ワタシにとっちゃ「ひとつのバロメーター」になってるのかもしれませんねえ。

ときどきはいる(?)ブルースが好き、なんて言ってるひとでも、じゃあ、ってんで Hound Dog Taylor 聞かせてみると、見る見る顔が曇ったり目が泳いだり、と好き嫌いがハッキリ別れるんじゃないかなあ。
げっ!なにこれ?とお顔がひきつる方が圧倒的多数だとは思うのでございますが、なかには「初めて聴かされたにも関わらず」ゲラゲラ笑ってうっひゃ〜!スゲえっ!サイコ〜じゃん!なんぞとゆうかたもおられたら嬉しいですねえ。

ブルースはこうじゃなくちゃいかん、などと能書きばっかタレくさる脳ミソ腐りかけたジジイとは違って、ちゃんと耳にした音楽を「ブルースであるかどうか?なんてゆ〜くっだらねえモノサシあてがって同定しようっちゅう植物学者みたいなんじゃなく」ただひたすらオモシロい!と受け止められる感性を持っておられるワケですからねえ。
そうゆうかたとは警戒せずに付き合えますよ。

で一方じゃ、聞くに耐えない!やら、これは苦手、っちゅうひとは他のとこでもワタクシとはちと(あるいは「かなり」?)「シュミ」が合わないバヤイが多いよーな気がいたしております。
ま、もちろん、それにだって「例外」ってのはあるでしょが、ある程度の判断材料にはなってるような⋯

だからって、Hound Dog Taylor の良さが判らないなんて!っちゅうことではございません。あくまでも「合う・合わない」ってもんがありますし、ダメならダメでよろしいんじゃないでしょか。なんたって Hound Dog Taylor は良くも悪くも、ミゴトなくらいにアクが強いですからねえ。

それにしても、ここでの Ted Harvey のドラムが実に惚れ惚れいたします。

ところで、上で「ちょっと」出てきたデーヴ・ブルーベックの同名異曲が世界的にも時代を超えて超有名なワケでございますが、そのジャズのほ〜の Take Five っての、ワタクシが店を始めるもっと前、市内で開かれていたオーディオ・フェアってヤツで、英 QUAD 社のエレクトロ・スタティック・ラウドスピーカー、つまり「コンデンサー・スピーカー」ってヤツを試聴さすのにかかってましたねえ。

本来のゴリゴリのオーディオ・マニアが言う「いい音」ってのはちょっと違うのかもしれませんが、特にスネアの打音、みたいな「膜が震える」系の音が実に「それらしく」鳴ってましたっけ。
全体的に(変な表現ですが)不思議な弾性感のある音で、なんかねえプルプル震えてるゼリーみたいな不思議な存在感ある再生音は、実にその Take Five に合ってました。

おそらく販売する側もそのことは充分に判ってて、このスピーカーのデモにはこの曲っきゃない!てなセレクトだったんじゃないでしょか。

ところで昔、ヤマハが開発した変形平面スピーカーってのが、グランド・ピアノの反響版にヒントを得て決まった、ちゅうハナシを聞いた記憶があるんですが、一説ではそのスピーカーを使ったギター・アンプ、ピアノ音の再生に向いてた、ちゅう風の噂もあったような⋯

やはり発音原理の似通った音源の再生には向いてる、ってのも一理あるのかもしんないんですけどね。
ホーン・セクションの再生にはエクスポーネンシャル・ホーンが向いてる、なあんてえことも聞いたことあるよな気がするし⋯

もっともそれで行くと、ディジタル・シンセサイザーに向いたスピーカーっての「作りようが無い」ってこと?
さらに人間の肉声であるヴォーカルの発音原理からいったら、それに肉迫するスピーカー作る、ったらエラい苦労しそうだよね。
なんちて、たとえそれが感性したとしても、出せる最大音量ってのがピアノに比べたらはるかに弱いワケじゃん?ピアノ再生専用スピーカー、う〜んと遠くまで下げないとな。

まあ、ケッキョクは原音に近いかどうかじゃなく、「こうであってほしい」っちゅう主観に迎合した音でさえあれば「スバラシイ!」なんて褒めそやされるんだよな。
で、それを疑うことなく信じるヨいコが次々と汚染されてゆく、と。
描写力や再現性じゃなく、テクスチュアに対する好悪を「高音質」なんてゆってるだけで、実際には「好音質」ってこおとだよな。

デジカメなんかでも同じかもしんないよ。高画質ってゆうより「その人の好きな画質であるかどうか」っちゅう「好画質」、と思えばナットクできちゃうことイッパイあるんですよ。

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