Black Gal, What Makes Your Head So Hard

Joe Pullum


2005-02-28 MON.


初めて聴くと、一瞬女性シンガーかいな?っちゅう声質でございますが、いわゆる「ファルセット・ヴォイス」ってヤツでして、もちろんオトコでございますよ。

さて、このタイトル、どっかで聞いたことある言いまわしでございますねえ。
って、それもそのハズ、実はこの曲、1934 年 4 月 4 日に Texas 州 San Antonio のホテル(おやおや、この場所もどっかで聞いたフレーズですねえ。さあ、良いコのみなさんは、それがなにを指しとるのかもうお判りでしょ)で録音して、Bluebird 5459 として発売されるや、もの凄〜い大ヒットとなって、当時のミュージシャンでこれを知らないヤツはいなかったんじゃないか?と言われるほどの曲だったんですが、そのタイトルの「 What Makes Your Head So Hard 」が、ひとりのミュージシャンの脳裏に棲み付いてしまい、後にあの名曲でトツゼン蘇った!っちゅうんですから面白いですよねえ。
そ、もうこれっきゃない!の Caldonia でございますよ。

ただ、この曲はもっとスローで Robert Cooper のピアノなど集中して聴いてみますってえと、なかなかステディなブルースだ、っちゅう感じなんですが、歌がこれですから、なんだかノヴェルティ臭くなっちゃってますよね。
それでも、この歌詞を追っていくと、まあ、悲劇的結末っちゅうか、硝煙たなびく 44 口径出てきたとこで、ああ、やっぱりねえ、となっちゃいますねえ。
ま、カネがあるうち「すり寄ってくる」オンナに、コロっとダマされちゃうのはオトコのオロカさなんでしょが、そんときには判らないんだよねきっと。
いやあ、みなさまおカネが無くてよかったですねえ⋯え?あまり嬉しくない?

この Joe Pullum さん、どこのウマの骨⋯うっぷす、出身地も生年月日も判りません。
Texas 州 Houston がオイル・ブームで沸いていた頃、どっからか流れついて、この曲で初レコーディングを経験し、そのヒットで調子に乗って(?)同じよな曲ばっかかなり吹込んだひとでございますが、その後、いったいどーなったのかも、まるっきり辿れません。それでも録音した曲数だけはかなりありますから、アルバムもございます。
この曲が入っているのは Document DOCD-5393 Joe Pullum- Complete Recorded Works, Vol. 1(1934-1935) ですが、もう一枚、DOCD-5394 Joe Pullum- Complete Recorded Works, Vol. 2(1935-1951) も揃えれば、彼の全トラックが揃うハズ。

ま、なんせ、このクセの強い歌い方ですから、なかなか、そこまでのファンってのはいないか、とは思いますが・・・

ところでこの歌詞を取り込んだ Caldonia ですが、Louis Jordan のステージでは必ず「コメディ」の要素を盛り込んでいたそうですから、その辺りにもかってのヴォードヴィルの影響が出ていたのかもしれません。
そのちょっとしたコントやらギャグは聴衆に熱烈に支持され、それは黒人のみならず、白人の客をも失望させることはなかった、言いますからね。

Louis Jordan の The Timpany Five は 1939 年 3 月29日、Keep A-Knockin / At the Swing Cats' Ball( Decca 7609 )をレコーディングして、続いて 1941 年 4 月 2 日には Brotherly Love/Saxa-Woogie( Decca 8560 )をレコーディング。
で、次の同年11月に録音された I'm Gonna Move to the Outskirts of Town は裏面に Knock Me a Kiss というカップリングでしたが、これがレース・レコードの枠を越えてビルボードのポップス・チャートの 3 位にまで昇りつめました(前者は11月22日、後者は11月15日の録音)。おそらく、彼がスターとして認められるようになったのはこの時からでしょう。
そこからは次々とヒットが連続してゆきます。

そして 1945年 4 月19日に吹き込まれたのがまさにヒット中のヒット、名作中の名作、そして Song & Lyrics by Fleecie Moore、そ!1942年に結婚した奥さんの作品、とゆうことになる Caldonia でございます。
もう、この曲は立派なスタンダード・ナンバーとして、実に多くのみなさんがやっておられます。
そりゃもういちいち挙げてたらキリがないくらいにね(カップリングは Somebody Done Changed The Lock on My Door )。

ところで、この Caldonia については、Sippie Wallace( Woman Be Wise / Sippie Wallace をご参照くださいませ)が、彼女の 1920 年代の作品「Caldonia Blues」からその想を得たものだ、として著作権侵害のかどで告訴してるんですねえ。

しかし、最高裁はその著作権は Louis Jordan(つまり Fleecie Moore )に帰するものである、として訴えを退けています。

Walkin' with my baby she's got great big feet
She's long, lean, and lanky and ain't had nothing to eat
She's my baby and I love her just the same
Crazy 'bout that woman 'cause Caldonia is her name

Caldonia! Caldonia!
What makes your big head so hard?
I love her, I love her just the same
Crazy 'bout that woman 'cause Caldonia is her name


さて、残念ながら Sippie Wallace の Caldonia Blues 歌詞がテキストとなってるのはみつからなかったので、あくまでもリスニングで追ってみましたが Caldonia Caldonia と繰り返すとこが似てる、なんてゆうんなら、そりゃ裁判で勝てるワケないよな〜思いましたで。

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