As the Years Go Passing By

Albert King


2005-03-01 TUE.


いわゆるモダーン・ブルースには「じっとり(?)」系の大マイナー・ブルースの系列ってえのが存在してて(なんてアホなこと言ってるのはワタシだけだな、きっと)、それなりの支持をいつの時代も獲得してるよに思います。

ただ、マイナーと言っても Jody Williams の Lucky Lou 、Little Girl 、またそれから派生した Otis Rush の「あの」曲はちとちゃいますよね。
そのリズムから来るものもあるんでしょが、マイナーでありながら「なんだか明るい」って印象があります。
また、あの Thrill is Gone にしても B. B. のは「軽い」感じがしますが、それを Little Milton が Waiting for で採り上げたヤツなんて、めちゃめちゃ「重く・暗く・湿って」ますでしょ?
まあ、そうゆう演出をこってこてに注ぎ込んでますから、それもまたひとつの演出ってとこなんでしょうね。

この As the Years Go Passing By も、例えばジェフ・ヒーリィなんて、スゲえドラマチックに仕上げてるよな気がいたしますが、この Albert King では、かなりナチュラルなテンションで(?)、思い入れ過多でもないし、演出もアッサリしてまして、ま、それゆえに逆に「飽き」がこない、まさに、この曲のプロト・タイプのようなエッセンシャルな存在となっているように思います。それでも、ギターのフレーズの流れでは「これでもか」てな「どマイナー」な音の運びなんですが、たたみかけるリフなんぞではそれほど悲劇的な感じはしませんね。

この曲は自分でもやったことがあるんですが、たしかに「危うい」バランスの上で成り立ってるよなとこがありまして、セッション・メンバーによっちゃあ、もう「人生の重圧」に圧し潰されそな「息も絶え絶えチック」に引き摺ってみたり、逆にヘヴィ・メタルみたいなパワフルなリズムで「どすこいっ(?)」とやっちまったり、ま、それはそれで面白そうではありますけれど、そんな振れ幅の大きさにちと嫌気がさして、最近じゃあんまりやらなくなっちゃいましたが、けっして「嫌いな曲」ではありませんから、たまーにやってみたくなりますね。
そのときに一緒に演ってるのがどんなか?でもの凄〜い違う印象の曲になるのは確かだな。
そんなことねえよ!とか言われそうだけど白人でブルースが好き、なんてゆってるのが「どマイナー」な仕上がりを好んでるよな気がするなあ。
もうブルースったらこれでしょ!てな足を引き摺るよな重く暗く陰気で悲劇的、絶望と退廃の腐臭プンプン⋯っちゅうね。

実はワタクシ、こうゆうマイナー・ブルースよりも、通常のブルースで「こそ」えぐれるものがある、と思っています。
それをマイナーでやっちゃうと、その手触りだけでマンゾクしちゃう聴衆ってのを実際に見ておりますからよけいそうなんでしょうけど、長調と短調の違いにダマされ過ぎなかたがたが多いよな気がするんだよね。

なんかさあ、そのタトエはコンポンテキにマチガっとる!言われそうだけど、マイナーのブルースって、カラーじゃなくモノクロで撮った映画、てな気がするんだよな。
もうそれだけで、それ見ただけで自分もそれに「ちゃんと関わった!」てな気になっちゃうじゃん?それと一緒っちゅう気がしてしょうがないんだよ。

ちゃんとフルカラーで現実を切り取った映像であっても、そっからナニを感じるか、は観るひとのポテンシャルによるんだよな。
どうもモノクロの映画っての、マイナー・ブルースみたいなバイアスをハナっからかけてくるよな存在なんだよね。
な〜んてこと言ってるの、ワタシだけかもしんないけど!

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