Blind Man

Otis Spann


2005-03-09 WED.


おいおい、またかよ?と言われそですが、やはり Vanguard VMD 6514 Cryin' Time からのセレクトでございます。
この Blind Man もですが、Home to mississippiMule Kicking In My Stall などファンキーなナンバーが多くって、実はかなり「お気に入り」でございます。Lucille Spann も二曲でヴォーカルとってるしね。
他に有名なアルバムとしては、ロックウッドとの Otis Spann Is the Blues なんてのもあるんですが、ご存知のようにワタシ、ロックウッドが嫌いなんでダメなんすけどね。

とまあ、それだけじゃなく、いわゆるシカゴ・ファンダメンタリストどものいうシカゴ本流(?)からは踏み出した、もっと自由なサウンドを指向してるように思えて、このアルバムがやたら気に入ってるんですわ。
てなこと言うと、「なんだとっ!」てな向きもおられるやもしれませんが、なんせシュミのモンダイですのでしかたありませんねん。

いわゆる(当時の)オーソドックスなブルースに閉じ込められてちゃ成仏(?)させられない「なにかしら」ってものがこのアルバムでは解き放たれて自由に走り回ってるよな気がいたします。

この曲では Otis Spann とともに、あの Lucille Spann のヴォーカルもタップリ入ってて、Otis とチェイスを繰り広げるのですが、途中からは彼女のソロもあって、いやあホント、いいヴォーカルだよねー。
あの Ann Arbor での絶唱が思い出されますが、ここではモチロン「まだ生きている」旦那と一緒ですから、あんな悲壮感はありません。当たり前ですけど。

でもねえ、ワタクシ、Otis Spann の声も好きなんですよ。
ちょっとカスんでるっちゅうかなんちゅうか、独特の「変調」がかかったあの声がなかなかいい!
ま、ここでのオルガン・ワークそのものは、例えば Jimmy Smith なんかと比べちゃうと、ちとプリミティヴかな?っちゅー感じもありますが、なかなかに「アーシィ」でよろしい。

特に奥さんの Lucille Spann がメイン・ヴォーカルをとってるとこのバックで彼のオルガン・ワークがちゃんと聴けますよん。
めちゃめちゃウマい!ってオルガンじゃないようですが、けっこう面白いと思うんですがねえ。

多少「耳障り」かもしんないチックタックな(?)ドラムは Lonnie Taylor、時々「喰い」気味になったりするけど、なんとかガンバってるベースは Jos Davidson です。
このアルバム自体にはギターとして Barry Melton と Luther Johnson の二人がクレジットされているのですが、この曲ではどうやら出番は無かったみたい。
録音は、Chess が自前のスタジオを持つ 1957 年まではよく利用してた、とされる Chicago の Universal Studio。

一部ではリリース日時を 1970 年 1 月 1 日としている資料もありますが 1969 年としている資料が優勢?
レコーディング日時は 1968 年 3 月 7 日と20日、21日の三日間で、この曲がどの日に録音されたのか、までは判りませんでした。

しかし、その僅か二年後、1970 年の 4 月24日、いわば、そのキャリアの絶頂時に、癌のために、シカゴの Cook County Hospital で、僅か 40 年のその生涯を閉じてるんですよね⋯
その翌々年の Ann Arbor Blues & Jazz Festival で彼の妻、Lucille Spann の歌った、Otis Spann を偲ぶ「血を吐くような」沈痛なブルースは忘れがたいものがあります。
機会がございましたら、ゼヒ聴いてみてくださいませ。

よーやくフランソワ・ラヴレーの『ガルガンチュア』を読み始めました。

むかし読んだのは、舊假名遣いの残る戦前の版でしたから、現代のこれはいささか「呆気ない」感はありますが、相変わらずの脚注の多さで、なかなかそうはカンタンに読み進められないのでございますよ。

それにしてもこの面白さ、ハンパではありません。

皮肉、あてこすり、パロディ、駄洒落(ま、原文は「おフランス語」ですから、かなり無理ヤリなとこもあるのですが)、悪フザケなどなど、まさに全力で「おちゃらけ」ております。

この 16世紀の作家の作品が当時、どのように受けとられたのかを詳らかにする術もありませんが、いま現在でも、独特の「毒」を放ち続けているのは確かなようです。

あ⋯もしかして、このラヴレーに触れたことが Screamin' Jay Hawkins への親和性に関わってるのかもっ!
な〜んて好きなこと言ってますが「ちょと」似た「ぶっちゃけぶり」を感じますもので。

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