Drowning at the Bottom

Luther Allison


2005-03-30 WED.


今月のアタマに連続で Albert King "As the Years Go Passing By "、Albert Collins "Cold, Cold Feeling "と「マイナー」ブルースを採り上げましたが、本日の Luther Allison クンもまあ、実にマイナーが似合う(?)っちゅー気がいたしませんか?

あの、ちょっと「頼りない」声とネチっこいギターは(ま、例の Give Me Back My Wig なんてとこでも意外なサイノーは発揮しておられましたが)こゆ「ど」マイナーにとても良く「合っておる」じゃあ〜りませんか。

1997 年の Alligator ALCD 4849 Reckless に収録されたナンバーですが、ここでの彼は Gibson Les Paul STD のゴールド・トップを弾いておるようで、アルバムの Special Thanks のとこに Dean Markley Strings とともに Gibson Custom Shop の名も挙っているとこを見ると、ヒョっとしてオールドじゃなく、ヒストリック・モデルのスペシャルかもしれませんねえ。

曲そのものはなかなかシリアスでして、(たぶん)アルコール依存症になっってしまった妻を軸として、崩れゆく家庭を描いてゆく、まさしく「マイナー・ブルース向き」なテーマっちゅう感じがいたします。
いかにもマイナーらしく、ソフトなコード・ストロークにアーミングをかけてるサイドなんて、まるで 1960年代のインスト・グループの手口じゃないの。
でも、その上じゃ Luther Allison の「いかにも」なギターが派手に泣きまくって、なかなかにハイ・テンションで唄い上げております。

ま、考えてみれば、このアルバムのレコーディング(パリで録音した一曲を除き、Tennessee 州 Memphis で行われた)が彼の最後のスタジオ・ワークとなってるワケでしょ?
ま、だからどう、っつーことでもないんですが、親鸞上人のお言葉、「朝(あした)に紅顔ありとも、夕べには骸(むくろ)となりて⋯」とかゆうのを思い出しちゃいますねえ。

ところで、これ、ホントにどーでもいいことなんですが、このジャケットの Luther Allison がゴールド・トップを弾きながら跳んでるよーにも見える写真、実は床に寝転んで、左足だけ壁に、って写したのを 90度立てて使ってるよな気がしませんか?
いえ、別に、それこそ「だからなに?」と言われると困っちゃうんですけどね。

変なハナシですが、ワタシがなんで Luther Allison が好きなのか、っちゅうと「ちょうど」Junior Wells と真反対!ってとこなのかもしれませんねえ。
めちゃめちゃスキルがあって演出もウマくってステージに引き付けてく Junior Wells、いっぽうの Luther クンときたら、なんだかシロ〜トっぽい歌を実直に歌ってるあたりが、やたら親近感を持っちゃう原因なんだろうな⋯

なんたってワタクシもともとはギタリストのつもりでおったんですが、ブルースを歌えるってのがいなかったもんで、じゃあシカタ無い、自分で歌うっきゃないか⋯てなアレで始まってるんですよね。
ですから歌についちゃコンプレックスがあるんですわ。

すんませんね、でも歌ってくれるヒトがいなかったからしかたないんですよ、許してちょ〜だい!⋯ってのが常に背中に張り付いております。
そんなとき出会ったのがアンアーバーでの Luther クンだったのでございます。
その飾らない、技巧におぼれない手探り感(?)まであるよな気がする彼のヴォーカルがチカラづけてくれたんですよ。
そっか、そのひとにできる歌い方で伝えるのがイイのかもしれない、ってね。

ひところメロディがメッチャ上下する It's My Own Fault みたいな難曲を必死でモノにしよう、思ってたんですが自己嫌悪をじぶんで掘り出しに行ってるよなもんでしたね。

いまじゃ自分が無理せず歌える範囲で「ていねいに」ちゅうのがモット〜になってますよ。
もうね、いい加減「夢見る頃を過ぎ」ちゃってるワケですから。

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