I Got to Go

Little Walter


2005-05-09 MON.


おととしの青森でのブルース・フェスティヴァルでは Carey Bell がこの曲をやってくれましたね( Carey Bell のアルバムでは Deep Down に収録されてます)。
ベースの Bob Stroger が踊るよにカラダを動かしながらこのリズムを紡ぎ出したときにゃ「わお〜っ!」となったもんでしたが、ケッキョクはあの Mojo Working 的なリズムが実に調子良かったんでしょう。

それからすると、この Little Walter ではリズムのノリがあれほど明確ではなく、Fred Below のハイハット・ワークなどを聴いてみると、かなりアップなシャッフルと言えないこともないようで、しかも Mojo Working っぽいカラーを演出しやすいベースも、ここでの Willie Dixon の場合、そこまで特徴的なリフには辿り着いておりませんね。
じゃあ、つまらないのか?ってえとそんなことじゃなく、ここでの Fred Below のハイ・タムでの二連打なんて遊び心もあって、これはこれでなかなか楽しいですよ。

かんじんの Little Walter の歌ですが、Carey Bell のを聴いた後では、ちょっとインパクトには欠けるかな?っちゅう気もしないではございません。
でも、それはむしろ、ブルースに馴染みが無いひとにとっても「キャッチィ」であるかどうか、みたいな下世話な(?)レヴェルでの話であって、この曲の世界を表現し切れているかどうか?っていうよな次元とは違います。

この 1955 年の録音年次から考えて、キックの低音がカブってたり、多少音質的には不鮮明なとこがあるのはいたしかたないとして、もひとつ、ロックウッドのギターが My Babe でのギターをさらにスピード・アップしたみたいなリフをかましてて、それがハープと干渉し、やや「濁して」おるよーな気もいたします。(なんてゆうのもワタクシのロックウッド嫌いのせいじゃないのか?ちゅうギワクもごもっとも。ハナっから彼に対しては「なんでオマエがいるんだよ?」的なジャマモノ扱いってのがありますからねえ)
またアップライト・ベースでこの手のナンバーでファンキーなビートをタイトに(あ、誤解してるひとが多いですが、シンコペーションってのは、あくまでもタイトでデジタルみたいに正確に打てるひとが「あえて」ズラすことで意味のある効果が出せるんであって、最初っから「ただ」ズレてるビートしか打てないのが「いや、これはシンコペーションだ」なんて「言い訳」するのに使っちゃいけません。以前セッションでそんな強弁をするスットコドッコイがいて、周囲の失笑を買ってましたが)決めるってのはどだい無理でしょ。
あのマディの「父ちゃんと息子たち」での Mojo だって、やはりギターのようにストラップで吊るし、きっちりタイミングを決めていけるエレクトリック・ベースなりゃこそ、のリズムだと思うんですよねー。
あれがアップライト・ベースだったら、リフそのものも違ってきそうだし。

あ、そうそう、もひとり Luther Tucker もギターで参加してるんじゃないか?てなことがライナーには書かれております。
ま、あまり分離が良くないのでヘッドフォンを使った検聴でも、ギター関係はなにがなにやら、どこまでが誰やらまったく判別できまへん。

でもまあ、Little Walter のハープはハッキリ聴こえてるからいいんですが。

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