Mystery Train

Junior Parker


2005-05-10 TUE.


この曲では Junior Wells のヴァージョンで馴染んでおられる方が多いと思いますが、これは 1953 年、SUN に吹き込まれたものなのですが、バックのメンバーは一切不明となっております。

さすが Junior Parker らしい実に「ていねいな」歌いっぷりで、ま、逆に言えば、曲としての完成度は高いものの、パワーっちゅうかインパクトてなあたりは「やや」角が丸くなってるぶん「弱い」と言えるかもしれませんね。
実際、どしても後出しの Junior Wells のと比べると「影が薄い」ってのは確かかも。

ただし、なんだかんだ言っても、この 1953 年のオリジナル SUN レコーディングがあったからこそ、Junior Wells の Vanguard VSD-79262 Coming At You での Mystery Train があったワケで、サム・チャータースのアイデアでしょか、イントロのハープ&ささやかなギターを除けば、全編 Junior Wells のヴォーカルのバックにはベースとサックスだけを活かし、ドラムとギターは完全にリズム・キープに徹してもらう、っちゅう思い切ったアレンジでブルースのレパートリイにマイル・ストーンを刻んだのでございますよ。

ま、おヒマがあったらこのふたつを聴き比べてみるのも面白いですよ。
もう、Junior Wells ときたら「圧倒的に」自信に溢れ、この曲のオリジナルは今日から Junior Wells だとみんなに言わせてみせるぜ、っちゅーような意気込みで「これでもか」的な歌い込みを見せてくれます(なんちて、これはもちろんワタクシめの「下衆の勘繰り」ではございますが)。

そこいくと Junior Parker はん、のんびりユッタリと、ま、悪く言えばポピュラー・ソング的(?)な意味での「完成度」は意識してるみたいだけど、なにか格別に歌詞の世界に思い入れみたいなんも無いようで、淡々と、かつ滑らかに歌っておられますねえ。

この Junior Parker の歌う姿勢(?)みたいなもんにゃ、時どき「これでいいのか?」と思うこともありますが、ある意味、あの Screamin' Jay Hawkins が「オペラ」に憧れた(?)のと同様、Junior Parker の中にもブルースの「なま」で「荒削り」な部分に反発し、アメリカン・ミュージカルの世界では普遍的な、いわゆる「スタンダード・ナンバー」を歌うメジャーな「歌手」たちを意識していた部分があるのではないか?てな気がいたしておるのですが、とーぜん本人に確かめたワケでもなく、単なる思いつきですので「ヒョっとして」とゆうレヴェルの話でございます。

彼の歌の完成度とゆうのが、どうもショー・ビジネス界でのスタンダードみたいなもんに適合させてるつもりなんじゃないか?ちゅうね⋯

ただワタクシは彼のそうゆうスタンスが生み出してるんじゃないか?てな距離感(?)も嫌いじゃありません。
そうゆう「丁寧に歌う」とゆう部分は案外ダイジな気がするんですよね。

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