St. Louis Blues

Clarence Gatemouth Brown


2005-05-18 WED.


昨日の「いやはや、これくらい有名な曲もまた珍しい・・・ 」ってのは今日のこれにも使い回しができるかな、なんてアホなことをフと思ってしまいましたよ。

そもブルースってのは W. C. Handy が「発掘し、これを採譜したことによってあまねく知られるようになった」なんてヨタ話を(だって彼が発見しようがしまいが、ブルースの歴史的進行は「ほっといても」連続してったハズで、必ず表面化する必然であった、と思うんですがねえ)マジで信じてるひとはそんなにいないと思うんですが、でもアメリカじゃあ、Handy Award なんて賞まであるくらいですから、それなりの敬意を払われているんでしょうか。たかが傍観者に?

そこら「勝手にしろ」てなもんですが、St. Louis Blues って曲は、ワタクシの感じるブルースの形式の「最小限必要条件」を満たしてないんですが、みなさまはいかが?
まあ「ブルースっぽい」と言えないこともないけど、だいぶ的がハズれておるよーな⋯
特に、このイメージが、ブルースというものが「暗く重く哀しい」側面を印象づけて、それ以降の「ブルース」という単語にまつわるイメージとして定着していったのではないでしょうか。

淡谷のり子の「ブルース」を始めとする、日本歌謡界における「ブルース」のイメージはそこから来ている、と言い切ってしまうのは安易すぎますが、ソーシャル・ダンスにおける「ブルース」のリズムと共に、日本での「ブルース観」、それも我々のようにブラック・ミュージックの位相からブルースに触れているのではない、むしろ音楽などにはさほど興味も無い層にとってのブルースのイメージが、大なり小なり、その影の中にあるのではないか、と考えています。

てなワケで、ワタクシ、この「ブルースの始祖鳥(?)」たるナンバー、St. Louis Blues にはさほど「敬意」は払っておりませんでした。
ま、なかにゃあ Big Maybelle の「ろけんろー」的アウトフィットでブチ上げた面白いヴァージョンなんてのもありますが、むしろジャズ系スタンダード、っちゅうスタンスで演奏されるスタイルには、まったく何の感興も湧かなかったものでございます。
ま、くそじ・・・ うっぷす、ゲイトマウス翁(あ、このころはまだ 48才だから「翁」はないなあ、「親爺」ってとこ?)がこの St. Louis Blues に対しまして、いかなる意趣を忍ばせておったのかは知る由もないのでございますが、ミゴトに換骨奪胎、「哀愁」なんぞ残り滓も無いまでに放逐し、あっぱれなゴリ押しっぷりでワタクシめの鬱憤を晴らしてくれました。

録音は Paris の北北西 20マイルほどのとこにある Herouville(おフランス語ですから、なんて発音するのかちと判りません。「 H 」は発音しないハズなんで・・・ )の Michel Magne Studios で 1972年の始め頃に現地のミュージシャンを登用して吹込んだものを Memphis に持ち帰り、後乗せでメンフィス・ホーンを「追加」したもの、と言われております。
サイド・ギターは Joe Wright( EMI 所属らしいんですが、検索してみても、おそらくまったくの別人と思われるアメリカのペダル・スティールの奏者しか出て来ませんねえ)、キーボードは Andre Herve、ベースの Michel Herve ってのと兄弟でしょか?
そしてドラムは Christian Devaux。
おそらく全員、白人じゃないか、と思うんですが確証はございません。ただ、サイドの Joe Wright のギターの音が「典型的な」白人好みの「汚く」歪みかけたよな「あの音」でして、ま、それはまったくのワタクシの偏見ではございますが、こりゃあ白人じゃねえかなあ・・・ って気がいたしております。
そいつのソロのとこだけはちとナンですが、さすが Gatemouth のギターは聴かせてくれますねえ。

彼にとっちゃあ St. Louis Blues だからって、別にこれっちゅう思い入れも無いようで、ひとつのマテリアルとして「いたぶって」おるとこがもう期待通り!
ま、ワタクシの場合、もう Gatemouth っちゅうだけで「栄光の殿堂入り(?)」てなもんですからねえ、やや・・・ いえ、かなり甘くなっておるやもしれませんが。

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