Prison Bound

Robert Nighthawk


2005-05-31 TUE.


Early one morning, the blues came fallin' down

という、これまた実にありふれた歌詞で始まる Robert Nighthawk らしいブルースです。
ゆっくりと足音のように配された Willie Dixon のウッド・ベースに、いささかブリリアントなノートを散らす Pinetop Perkins のピアノもまた時にはドラマティックに唸りを上げ、はたまた華麗にハイ・ノートを転がし、Robert Nighthawk の荒削りなギターを一層際立たせているようにも思えますが、この 1950 年 1 月 5 日に Chicago で行われた CHESS のためのレコーディング・セッションでは、それがすべて「計算によるもの」と言うよりは、まったくナチュラルな彼のプレゼンスを単に「そのまま活かした」だけなのではないか、っちゅう気がいたします。
ま、あらゆる意味で、「どのようなプロデュースもそこには存在していない」、とまで言うつもりはあるませんが、それでもこの録音を聴いていると、まず、やってみるべ。で、出来のいいのをプレスしようぜ、みたいな「ユルさ(?)」を感じますね。

時々思うんですよ。
およそマルチ・トラック・レコーディングってのが、最初は「後から各楽器のミキシングをいくらでもやり直せる」ってのに始まり、スグに、今日来られなかったヤツの、後で空いてるトラックに録音すりゃいい。になり、次は気に入らないパートは差し替えちゃえば?になって、確かに「完成度」って意味では確実にアップして来てるのでしょうが、そこで失って来たものって案外「大切なもの」だったんじゃないのか?って⋯
その時、その場にだけ「奇跡的に」立ち登った香気にも似た「かけがえのないもの」。
もちろん、それは音楽の一部でしかないものかも知れませんが、最近の、実によく出来た「録音芸術」、つまり CD 上でしか「あり得なかった」音場、あるいは音群、ってものを、はたしてそのミュージシャンの「作品」と言えるのか?という疑問をぬぐい去ることができませ〜ん。
そいつのライヴを聴きにいくとガッカリしちゃうよな「プアな」スケール・ダウンした演奏になってしまう(ま、そのため TV ではみんな「口パク」にあて振りばっかになって、あの tatu とかってのが楽屋から出て来なくなった時、スタジオでホントに演奏してた唯一の出演者 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT のみがその穴を埋めることが出来た、なんて痛快な出来事が起きるワケなのよね〜。ま、ワタシとしちゃあ、お目当ての彼らの演奏がもう一度聴けて tatu 様々、ってとこでしたが)、すでにして「ヴァーチャルなサウンド」で売ってるミュージシャンってのも、分業化が進む音楽界にあっちゃ、ある種の必然なのかもしんないけど、それじゃ巨大なプロジェクトの中のフロントマン担当ってだけだよね。
ま、それでも人気さえ出りゃいいってことでしょか?

なんて、また脱線しちゃいましたが、この Robert Nighthawk、Pinetop Perkins、Willie Dixon の三人が紡ぎ出す、手触りの粗いテキスタイルは、でも充分に「ぬくもり」を感じさせてくれます。
やはりブルースでは、テクニックのレヴェルよりも、センスというか「血中ブルース濃度(?)」みたいなもんが重要ですねえ。

今日の昼は、初めてのラーメン屋さん「五味」でした。
と言っても最近オープンした、ってワケじゃなく、かなり前から存在は知っていたんですが、なかなか行く機会が無かったんですよね。
今日はたまたま MTB で郊外まで行く用事があり、帰り道でちょうど通り掛かったのが 11 時ちょい過ぎ、と店が混む前でしたから、思い切って入ってみたものです。
そう言えば「ぷ」さんもここのこと、なんか言ってたなあ、本人は入ったこと無いけど、兄貴が行ったことがあって、ウマかったとか⋯で、以前は屋台でやってたのが、店を構えるようになったんだそうでございます。
実は、これまでにも弘前市内では何店か、屋台から店を構えるよになった、てのが過去にも現在にもケッコウ有るんですが、ナゼか店を持ってからは人気が落ちてしまう店もあるんですよねー。

ま、ワタクシが愚考するに、ヒョっとして、それは「温度」にカンケーしておるのではないか?っちゅー気がいたしております。
屋台では、火力の問題もありまして、麺の茹でもあまり追い込まない場合が多く、さらに冬の寒い時なぞ、上げて湯切りをする間にもグ〜ンと温度が下がります。また、なんたって野外ですから器であるドンブリも「冷え切って」おりますでしょ?そこに熱いスープを注いでも、温度はちょっと下がりますよね?

そのちょっとの温度差が、味覚に大きく影響してるのではないか?っちゅう「暴論」なのでございますが、モチロン出来たばかりのラーメンに温度計を突っ込んで計ってみたワケではないので、あくまでも「もしかして?」のレヴェルなんですが。
⋯てなことはともかく、天井の低いシンプルな作りの店舗に入ってくと、足元が「やや」にゅるり、とするのは飛散した油分によるものでございましょうか?
いえいえ、それだけでいいとも悪いとも決められるものではございません。ただ単に油っぽい、つーだけで。

ラーメン(醤油)は 600 円でした。その値段で、一番食堂ならチャーシュウメンが喰えるし、田澤食堂ではラーメンにおにぎり二個つけてもまだそれより安いワケですから、そんだけリキ入ってるってことでしょか。
出てきたラーメンはワカメ入りでした。
どうもワタクシ、ラーメンにワカメ、っての気に入りません!
内心、やや落胆しつつも一口いただいてみますってえと、ん?ワカメ臭くない!そしてスープも一瞬ほのかにニンニクとネギ油が交じったような(それも「気がする」程度の、ね)香りがよぎるものの、案外よく練れた旨味に熟成されており、これはアレとアレをメインにXXXを足して⋯みたいな、スグ身許が割れちゃう「単なる」一緒くたじゃなく、案外、よくステップを踏んで丁寧に作られたスープなのかもしれません。
翁庵のケイジさんの言われる、「最近のラーメンのスープは臭いのが多い」っての、ワタシも同感なのですが、それとは一線を画した、ごく当たり前な匂いでまとまっているようです。
麺は屋台時代の名残か、あくまで細く、やや堅めに茹で上げ、その食感もなかなかのものでございました。
最初っから「凄い!」なんてショックを受けるラーメンってのは(話のタネになるし、それはそれでお店の方も苦労してはいるんでしょうけど)、終り頃にゃ飽きちゃう、ってのが多いんですが、ここはちょうどその「逆」。
最初は、まあフツーかな?って思ったのですが、食べてるうちに、なかなかイケる!になって、ケッキョク最後はスープも全部、飲み干してしまいました。



屋台からの転向組では他に岩木川にかかる橋のそばにある某店も好きな人が多いようですが、ワタクシ個人の評価では、「そこ」は、良く言えば「思い切りのいい」、一面「ぞんざいな」味というか、荒っぽい仕事、という印象で、二度と喰う気にはなれませんでした。
この五味という店だったら、また時々は来てみたい、と思わせるものがあります。
ま、ラーメンはホント、人によって評価が 180 度違いますから、誰もが「旨い!」と認めるかどうかは話が別でございます。
「和風」などと称してすっごい煮干し臭〜いのを出しておるお店を高く評価しておるような方には、あまりウケないでしょうし、逆にこってこて&ぎっとぎとの濃厚タイプが好きな方にも「ちゃう」。

ま、ここ、とっくにご存知の方も多いでしょうが、ワタシとしちゃあ、またいっこ面白いとこを見つけた、って感じでしょか。

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