ねぶた祭り

2002-08-05
それまでは、(過去にイロイロあったせいで)あんまりじっくりと観ることをしていなかった「ねぶた祭り」を、昨年、買い物の帰りにふと目にして「観ているぶんにはなかなか面白い」と思い、次の最終日には、「そのつもりで」出かけてみたものです。

そして、いまやすっかり有名になってしまった青森市の「カラスハネト騒動」は全国的に知られているようですが、そのようなストレスの無い弘前の「おおらかな」祭りぶりがけっこう気にいって今年もまた観て来ました。
町内会やら、愛好会単位で「連」のようなものを作って、街の決められた区間を曳き回すのですが、楽しいのは、その服装がかなり自由に選べるところでしょう。
白に近いプラチナ・ブロンドの髪!にホルター・ネック、ヒップ・ハンガーのブーツ・カット・ジーンズのおねいちゃんから、トラディショナルな浴衣姿、あるいはその中間的なミニ浴衣、かと思うと両肌(もろはだ)脱いで胸は晒しで絞めて頭には堅く捻ったハチマキ乗せて、三尺の太鼓に馬乗りになってバチ振り降ろすのも自由なワケです。

おとこだって同じ。青森でだったら姿を見せただけで警察にマークされそうな「カラスハネト」ルックから、浴衣はもちろん、なんだったらフンドシ一本で太バチ持って太鼓の前で仁王立ちだってサマになってりゃあ誰も引きずり降ろしたりはしません。
やはりこれは、参加するヒトのための祭りだからなんでしょうね。
その点、青森の場合は、もはや全国的に有名になってしまった、観光客に「観せる祭り」ですから、ひとつの「イメージ」を崩すワケには行かないみたいです。「祭りには正装で参加を」という PR をしなきゃいけなくなっちゃった。それがまた「カラスハネト」の皆さんには面白くないんでしょうね。なにが「正装」だ!と。
でも、たぶん青森市民にアンケートとったら「カラスハネトには参加してほしくない」って票が圧倒的に多いんでしょうね。
最初のズレが不幸な拡大を遂げてしまったみたいですよ。そのエネルギーを発散させる方策を考える時期を失って、排除の方向に世間が傾き始めた事が事態をさらに悪化させてしまったのかもしれません。

弘前ねぶたでは、どんなカッコウをしていようが、それなりに居場所があります。
だから旅行者が「Tシャツに短パン、スニーカー」でだって、行列に入って曳き綱を持って掛け声に唱和していればサマになっちゃうんですよ。ポイントはただひとつ、楽しそうであれば良い、それだけです。
今日はあいにくの小雨が最後までやみませんでしたが、観ている方も、曳いてる方も、なんだかおおらかに「そりゃあタマには雨、ってこともあるさ」みたいな気の持ち方で、不思議と柔らかな「場」を作り上げていたように思います。

なにより、青森の「カラスハネト問題」みたいなココロの重荷が無い、ってのが一番利いているのかもしれませんね。
ま、そりゃあ確かに「観光客」はみんな青森に流れて行ってしまいますが、いいじゃないですか、そのおかげで、ここ弘前では「自分たちの」楽しみのために「祭り」が出来るんですから。どうか「これが弘前ねぷたの正装です」なんて強制される事態になりませんように。
permalink No.114

Search Form