Blues With A Feeling

Little Walter


2005-06-23 THU.


別に「くち直し」ってワケじゃありませんが、昨日の Five Long Years のねっとりさの後じゃ、もっと歯切れのいいクリスピィな(?)ブルースについ手が伸びます。

その手が思わず向かった先がこれ。
ウチのは古いアナログ盤ですが、the Best of Little Walter : Chess SJET-8164(M) でございます。シリアル・ナンバーのおケツについた「 (M) 」で判りますように、堂々たる(?)モノーラル盤でございますねえ。
Blues With A Feeling / Little Walter : 05-06-23_a0011975_22201937.jpg←さて、この画像ですが、そのアルバムのデザインでございます。
いやはや、なんてユニークな仕上がりざましょ。
スクラッチ感のあるイラストレーション(写真を使用しなかったのはロイヤリテイの発生を抑えるためだったのでしょか?)はまあいいといたしまして、そこに重ねられた 9個のステップ・カラーの同心円パターンが、実にもう無意味でよろしい(?)。
ま、ここはそんなジャケットのデザインがどうこう、なんてことを語るとこじゃありませんから別にいいんですが、それにしても、これをデザインしたひとの「思い描いた」コンセプトっつーのが、いったいどんなもんだったのか、とっくりと尋いてみたい、なんて思っちゃいますねえ。
⋯と、いまだにこのアルバムを棚から抜き出すたびに見入ってしまいます。ううむ。

てなことはさておき、やはりこの曲、イントロのアタマが三小節だけでサブ・ドミナントに上がっちゃうんですが、だからって、この曲やるときには、「必ず」そーしなきゃいけない、なんていうのは実に「馬鹿げた」こと。
それまでのパターンじゃなく、単音でダダダダダ⋯って一小節を入れるだけでイケるんですから。
ミスまでコピーしなきゃ気が済まない、ってえカラオケ感覚で行っちゃう「コピー魔」ならいざしらず、足りない一小節を「補って」演奏する「勇気ある」ブルースマンの方が好きだなあ。
どうも日本じゃ、ことブルースに限らず、オリジナルをそのまんま、いかに近付けて演奏できるか?がウマいヘタの基準みたく思ってるスットコドッコイが多いみたいですが、何度も言うとおり、それは「贋作」です。
モチロン美術の世界でも「模写」ってのを、ひとつのスキル・アップの手段として採り入れているひともいますよ。
ワタシは行ったこと無いけど、実際にルーヴル美術館では、あちこちで名作を必死でコピーしてる画家「みたいの」がいるそうですからね。
でも、それは「練習段階」であって、それを人様に見せちゃう、ってえその「無神経さ」にはいささかケーベツを覚えます。
イントロからエンディングまで、原曲からそのミスも含めてカンペキにコピーしたところで、だったらオリジナルを聴いた方がいいワケで、それを「ウマい!」なんて言う、あるいは「やったあ、今回はカンペキに出来たぞう!」なんて喜んでる日本人のメンタリティってヤツがワタシには「判りません」。

現代のみなさまには「想像もつかない」ことかもしれませんが、かって日本の「技術」ってのは、欧米(ま、特にアメリカでしょうが)の技術を必死でコピーしてたもんだから、ワケも判らずそのとおりやっちゃう「パクり」しか出来ない「劣った」猿真似国民である、と揶揄されていた時代がありました。
戦後しばらくして、占領行政も終って「光り耀くアメリカ」の文化がどっと流入し、言わば価値観が大逆転して、「舶来上等」なんてえ概念が日本に芽生えたあたりのことでございます。
最近でこそ某国営放送の Project なんたらってえ番組で、日本の技術者は凄かったんだ!てな手前味噌な自画自賛をやっておりますが(もちろんそれ全部を否定するんじゃありまへんが)、かっては「オリジナルはなにひとつ無い」と嘲られていたのですよ。

それがいまだに尾を曳いているのか、あるいは日本人の国民性の中に、そうゆう「猿真似」を「是」とする血が流れておるのでしょうか?

おやおや、またしてもエラい脱線してしまいましたねえ。
そんなたいそうなこと言わんでも、っちゅう声も聞こえとりますが、そこらほっといたらいかんとこじゃないかなあ。
ま、どしてもコピーしたい。ワシにはそれしかイバれるとこは無いんじゃ〜!って方には、ほな、お顔もキッチリ整形して、楽器も見たトコ完全にそっくりなヤツ、衣装もコピーしてもらって、「〜の再来」っちゅうスタンスで布教活動にハゲんでいただきましょ。

さて、カンジンの Blues With A Feeling、このユッタリ感が快いのですねえ。
伸びのある彼のヴォーカルが(数々のエピソードはどうあれ)独特の「豊かさ」を感じさせてくれます。
このムリの無いナチュラルさが実に爽やかで、蒸し暑い日本の夏にはまことによろしい(?)。
オリジナルは Checker 780、カップリングは Quarter to Twelve でリリースは 1953 年でございました。

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