Shake It

Magic Slim


2005-07-10 SUN.


ブルース・セッションでは頼まれて「ろけんろー」の曲を一発アドリブでぶちかましたんですが、それにちなんで(?)ちと胡散臭い Rock'n'roll ナンバーは無いじゃろか?と物色してて「思い当たった」のがこの Magic Slim の Shake It でございます。

Blind Pig BP-5060 Snake Bite に収録されたミョーに軽い Rock'n'roll スタイルのチョーシいいナンバーですが、どことなく垢抜けないっちゅうか「いなたい」つーか、ちょっと他では味わえないヘンテコなノリで、それはもっぱらシンプルな(シンプル過ぎる?)ドラムに帰するのかもしれませんが、まあ、Magic Slim のヴォーカル自体もどっちかってえとゼンゼン「ろけんろー」向きじゃない、ってとこがこの妙味の由縁でしょか?
このアルバムに収録された他の曲でも( ex. Please Don't Dog Me )例によっての、おそらく Fender Jazzmaster(ザンネンなことにネックはセル巻きのブロック・インレイ!Jaguar でも同じよなアウトフィットのがあるけど、どーも好かんのです。ブロック・インレイは Fender には合わない!っつーのが持論です)のブリッジ側 PU イッパツによると思われる、実に「耳に来る」トレブリィなトーンが多用されとるのですが、さいわい、この曲ではさほど「とんがって」はおりません。

また、アルバムをリリースしてる Blind Pig の広報では Magic Slim の声を「山をも動かす」なんて表現しとりましたが(おいおい、どんな山じゃ?羽毛を積み上げた、テーブルの上の「山」じゃねえの?)、しょーじきワタクシにはあまりそのよーな印象はございません。
ま、強いていえば「歪んだ(ゆがんだ、じゃなく、ひずんだ)」声って感じかな?
それも高出力の PU を搭載したギターで Twin Reverb に突っ込んで歪んだ、ってときの「ナチュラルなディストーション」じゃなく、シミュラー回路なんてもんが出てくる以前の「トランジスター・アンプ」でヘッド・ルームを使い果たして汚くツブレた音ね。
でも、この曲ではその彼の声質があまり気になりません。
ちょっと「おマヌケっぽい」ココロ暖まるバック・コーラスなどでだいぶ角が取れてるからかもしれません。
なんて好き放題なことを言っておりますが、この曲に関する限りはなかなかに気に入っております。

いつものトゲトゲな(?)トーンのギターじゃなく軽く流れてってるのは曲自体のテンポが早くて「一弾入魂(?)」が出来てないせいかもしれませんが、それがかえっていいんじゃないかなあ。
どうもこの人のギターのトーンには「フェイズ・アウト」って概念はあまり無いみたいですからね。

ま、実は、ワタクシがいまだ手にとって弾いたことがないモデルのひとつがこの Fender Jazzmaster でして、そもフェイズ・アウトの音ってのがあまり良くないのかもしれませんね。
あ、それとも最近は完全に Stratocaster で耳が慣らされてるんで、あのフェイズ・アウト・トーンじゃないとダメなカラダになっちまったのかも?

この曲って、一緒に合わせてサイド切ってみると判るけど、まあ、ブーギでもシャッフルでもロックンロールでもない、かなり曖昧なヘンなリズムなんですよ。
やはりそのへんの胡散臭さが味かも(?)。

ワタクシがやっておるブルースっちゅうのは歌詞があって当たり前っちゅう世界ですよね。
と言うより、まあそう言ってしまうと極論すぎるんだけど「いわゆる」ブルース進行、ってパターンのなかで選べるメロディーには「限りがある」し、じゃあどうやって曲どうしの区別をつけるのか?となるとイッチバン大きいのは「歌詞」の違いでしょ。

とゆうことはですよ、ブルースの世界にあっては「その曲をその曲たらしめておるのは、もっぱら歌詞によるものであ〜る!」てな暴論(?)だって成り立っちゃいそうじゃん。
しか〜し!ブルースって歌詞がどれも英語だよね?

そこで、歌詞を追求するのアキラメてサウンド重視に進むか、逆に歌詞の表現する世界を追求して「文学的傾向(?)」を帯びるようになるか、とゆう「分かれ目」だったよな気がするな。
ま、ナニゴトも中途半端なワタクシはその二つの流派(?)のあわいに漂って「どっちだっていいから、そのときどきで気に入った音楽」を聴いておりましたけどね。

さて、ここニホン(のド田舎)で英語の歌詞のブルースを歌うことの意義は?なんて訊かれたら、正直「絶句」しちゃうよ。 
ま、カンタンに言えばオモシロいから、ってことだけど、聴かされる側はそれじゃナットクしないよね。

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