You'll Like My Loving

Otis Harris


2005-07-11 MON.


この You'll Like My Loving が収録された Yazoo L-1032 Blues From The Western States ( 1927-1949 ) のライナーによれば、この Otis Harris について、Willie Reed や Willie Lane に似たところがあり、Texas-styled guitar picker である(でも曲自体は Best Mississippi blues である、だそうで)、っちゅーようなことが書いてありますが、なんだか歌のバックでのギターはちょと変わった小ぶりなリフが連続しており、とってもフシギな感じ。
ほな、ってんで Willie Lane も聴いてみますが、う〜ん Black Cat Rag あたり、割りと細かいリフが入ってるっちゃあ入ってるけど、いっちゃんの違いは、Willie Lane の場合、曲自体のリズム割りが伸縮する傾向にあって、そのリフを散らし始めるとにわかにスピード・アップしたように感じられるとこでしょか?

そこいくと Otis Harris は慌てず騒がず、あくまでもコンスタントに毎ビートのアタマにベース音を律儀に入れて、実にキッチリと⋯と言いたいところですが、おやおや、Yazoo の解説によると、本来なら 4 小節のところを、これまたキッチリと 5 小節でやっているのだそうで。
うぷぷ、そこら「ばかもん!ワシゃあコード変えたくなったら変えるんじゃ!」と名言を残された Lightnin' Hopkins を思い出しますねえ。

歌はまあ、内容が内容だけに、あまり緊迫感もなく、たゆとうがごとくユルユルまったりと進行しておるのでございますが、その背後ではこのミョーにせわしない、半ば「手癖」化してる?細かいリフがリピートされ、その対比が面白いですねえ。
もっとも「せわしない」とは言ってもそんなハイ・スピードってワケじゃなく、歌と比べてっちゅう意味ですが。

I know you like my lovin'
I can tell the way you want
Let you taste my jelly
You just want me all the time

おやおや、ジゴロ気取りですかい?
このよーに、自らの性的能力を誇示するかのよなブルースってのもありますよね。
本気でそー思ってるとしたら、ちと「イタい」ヤツでしょが、たぶん Juke Joint じゃ、それ唄ったら「ばかウケ」してたんでしょね。
おおマジメで唄ってる歌詞と、目の前にいるヤツとの落差で。
ホントにもてるヤツはこんな曲、唄わないよなー、っちゅう気がいたしますよ。

I told you pretty mama
I have best jelly in your town
Let you got a little taste
You just keep on hanging around

はいはい、判ったから溜ったツケ、ちょっとは払いなさいよ!

この Otis Harris ですが、Little Hat Jones*のとこでも採り上げました Texas 州 Dallas の、あの Deep Ellum にちなんだブルースマンとして、あちこちの資料に名前は出てきますが、カンジンなその生涯などについては「まるっきり」判っておりません。
唯一 1928 年12月 8 日、その Dallas で録音された Columbia Co 14428-D(もちろん 78 回転の SP でげす) Walking Blues と、それとカップリングされた、この You'll Like My Loving の二曲のみが「確実なもの」として残っているのみです。

実はとんだ「おマヌケ」だ、ってのがバレるのが「すべからく」ってのを「すべて」って意味で使ってるヤツ! 
すべからく、ってのは「すべからず」の反語ですから「しちゃいかん」の逆、そうすべきであ〜る、てな意味なのにさあ、「すべて」の代わりにそれ使えばアタマよさそう、てなスカタンがよく使ってるよね。

だいたいその本来の意味から行くと「すべからく」なんて表現が使えるジョーキョーなんて滅多ないでしょ?それにそうゆうアンポンタンどもが誤用ばっかりしてやがるから、本来の意味が汚染されちゃってて、たとえ「正しく」使っても「すべて」ってことだろな、と誤解されちゃうってワケ。

ワタクシ思うに、ホントにアタマいいひとってのは「平易なことば」で伝えられるんじゃないかな。
すべからく、なんて使ってるようじゃダメダメですね。

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