Howling Wolf Blues

Willie Lane


2005-07-12 TUE.


昨日の Otis Harris のとこで名前が出てきた、同じく Texas 州 Dallas の Deep Ellum で活動していたと思われる Willie Reed と同様に Otis Harris に影響を与えた、とも言われる Willie Lane ですが、ホントのとこはどーなんでしょ?⋯と言うのも、昨日の Otis Harris が 1928 年の録音であるのに対し、こちらの Willie Lane は戦後の 1949 年録音だからで、その間には実に 21 年もの開きがあります。
Yazoo L-1032(アナログ・ディスクです) Blues From The Western States ( 1927-1949 ) のライナーでは Otis Harris のギターには Willie Reed とともに、この Willie Lane の影響も見られる、というようなことが書いてありましたが、少なくともこのアルバムに関して言えば、もしそれが本当だとすると、その影響を与えたとされる Willie Lane が、その後 20 年以上も経ったころはこんなギター弾いてました、ってだけですよねえ。ま、モチロン、だからって「意味無い」とまでは言いませんが。

さすがに戦後の録音だけあって、まず音質が格段にクリアーになっています(とは言っても、おそらく誰かの好意で、その所有する音盤が貸与されたものから起こす際に、それを蓄音器ならぬ、放送機器グレードのプロ用プレイヤーで再生してリマスターしてるのでしょうが、その SP 盤の「キズ」らしく一定間隔でスクラッチ・ノイズが入っております)。
Yazoo によれば、その低音弦の扱いにテキサス系の特徴がある、とのことでございますが、カントリー・ブルースのギター・テクニックには「まったく」明るくないワタクシとしましては、あら、そうなの?とスナオに感心するのみ。

ただ、Document の Rural Blues Vol.1 に収録された Prowlin' Ground Hog や Too Many Women Blues なども聴いてみましたが、ワタクシごときにはやはりピンと来ませんでしたねえ。

その低音弦のせいか、クッキリとしたリズムを骨格に、でも華やかな高音弦を散らしつつも、なかなかに落ちついたヴォーカルが乗っていきます。特別「いい」声というんじゃありませんが、これ、けっこう陰影もあって、しかもクドくない、程よい「あり様」って感じでしょか。
最初のコーラスの歌詞で

I'm your howling wolf

と言うのが出てきまして、そこらがこの曲のタイトルの由縁だな?なんてナットクしてると、次のコーラスでの

When I'm howlin' in the night

ってえ歌詞そのままに、曲が終ったと思った瞬間に、まさにオオカミの遠吠えをミゴトにやってみせてくれるんですねえ。
ここまで「普通の」ブルースだと思って聴いてきたら、最後のこれでビックリしますよ。
もしお宅で犬と暮してる、ってえ方はこれを聴かせてみるのも面白いかも。彼(あるいは彼女)の「野性の血」にどんな影響を与えるんでしょうね?ピクっとして一緒に吠えるようだったら面白いんだけど⋯

ただ、これも Yazoo の解説によると、この曲のモチーフは Funny Papa(あるいは Paper )Smith の曲から歌詞の部分を借用している、とありましたが、当該トラック( Yazoo L-1031 Original Howlin Wolf に収録された Howling Wolf Blues pt.1 & 2 )が手元にないため確認できておりません( 30 秒のサンプルはネット上にあるのですが、そこでは歌詞の類似性を云々できません。しかも最後に「吠える」のかどうかも判んないし)。

さて、昨日の Otis Harris 同様、この Willie Lane もその出生地、生年月日、死亡日時にいたるまで「まったく」判ってないようでございます。
このブルース日記では初出のブルースマンはなるべく詳しく採り上げる、っちゅーのが面白いとこ(あ、自分が、ね)なんですが、最近そんな調べ甲斐のある(?)のがだいぶ減ってきちゃいましたねえ。
なんて言うと、こらぁ〜、まだXXXXXXXをやってないぞ〜!っちゅうツッコミが怒濤のように押し寄せて来ることでしょが、なんたって、ここはワタクシの日記であって Who's Who じゃないですからねえ、どうも興味が赴くとこにしか目が向かないんですよ。
てなワケで、ま、それこそ気の向くままにマイ・ペースでやってくことといたしましょ。

permalink No.1176

Search Form