Have You Ever Loved A Woman

Lightnin' Hopkins


2005-07-30 SAT.


ほぼ垂直に落射する太陽が頭頂をジリジリと焼く正午、気温は 31 度と発表されていましたが、マチガイなく地表近くは 36 度近かったのではないか、というこんな日には、やはり Lightnin' でしょ(なんで?などとギモンを抱いてはいけません)。

ただ、同じクソ暑いんでも、アメリカでは以前 TV で見て印象的だった、( Texas のどこらへんだか知らんけど)褐色の大地が延々と続く砂漠地帯の「それ」が、妙に「澄んだ」空気を通して、情け容赦なく陽光が突き刺さってくるような光景だった印象があります。
そう!「炙られる熱さ⋯」かな?
一方のここ弘前周辺は、水田にしろ果樹園にしろ、あるいは里山の樹々にしろ、植物相が砂漠地帯とは比較にならないほど量的に(種類が多い、という意味での「豊富」というのは当たらないと思いますが)厚いため、それらの植物から発散される揮発性物質によるものなのか、空気中に「なにやら」存在してるのがマチガイない!っちゅう独特なパースペクティヴを見せて、少し離れた山並みをはやくも霞ませてはおるのですが。
たしかに炙られてるってよりも「蒸されている熱さ」って感じ?

やはり、そこら、「鉱物的」 vs「植物的」バックグラウンドの違いを感じさせて、やはり「ウェット」な日本の夏なのね、っちゅうとこでございましょう。
それでも、このくらい暑いと、やはり内包した Heat を感じさせる Lightnin' のブルースがとてもしっくり来ます。

さて、この Have You Ever Loved A Woman、おそらく検索をかければ、玉石混交つうか「ピンからキリまで、ドッチャリと出てくることでございましょう。
もっちろん、曲名だけでの検索では他のかたがたの演奏がアット〜テキだと思いますよ。
めっちゃリキ入ったギターがドたっぷりと⋯てな世界が!
そこいくと、この Lightnin' のはまた「なんと」対照的でございましょ。
彼の場合には、その歌がいいのはとーぜんとして、特筆すべきはこのピアノですねえ。
ま、その道の方から言わせれば「なんじゃこりゃあ?」なのかもしれませんが、ワタクシ、これがケッコー好きでして(ワタクシもヘタなりにピアノをベンキョー中なせいもあって?)このアルバムに針を落とす(そ、アナログ・ディスクなのですよ。TRIP TLP-8015 ね)たびに、Mojo Hand でヴォルテージが上がった後は、この曲を心待ちにする、っちゅう習慣になっております。
なんちゅうか、まあそれもまたひとつの誤解ってものかもしれませんが、このミョ〜にスカスカなピアノだからこそ、独特な空気感が生まれ、歌自体のプレゼンスがさらに「迫ってくる」ような気がするのでございます。「あのギターだからこそ」の世界を持った Mojo Hand とは「対をなす」曲のような気がして、その後の Have You Ever Loved A Woman が「さらに輝き」そして Mojo Hand のスゴさまでが際立つ⋯

という意味では CD でチョンチョンとトバしてダイレクトにこれに来ちゃえば済むとこなんですが、いやいや、アセってはならんぞ!と、じっとおとなしく順番が来るのを待つ
。それがまたミョーにこのアルバムにしっくり来るんですねえ。

たまにゃあ、こんな不便なのも(って昔、CD が出てくるまでは「不便」だ、なんて思ってもいませんでしたが。ニンゲン、イロイロと便利になるとどんどん無精になるんでしょうね)いいもんでございます。
ただ、ありていに申し上げますってえと、このアルバムも、かっての Magic Sam 、West Side Soul なみに「かなり」すり減って来ておりまして、特に Mojo Hand とこの Have You Ever Loved A Woman が入ってる A 面の「減り」がそりゃもう実に「ハゲしい」のでございますよ。

このアルバムを入手した当時は(ワタシ自身に)アナログ→デジタルの変換デヴァイスもなく、すべてアナログのレコード盤でしたから、やたらよく聴く盤はそりゃもう劣化がハゲしくって Magic Sam の West Side Soul なんて、もう一回同じアナログのレコード盤を買ったほどでしたが、なんでか Lightnin' のは、その劣化自体までが「ふさわしい」よな気がして買い換えることもせず、そしてるうちに CD で入手したもので、目の前にはアナログ盤のジャケットを立てかけて、でも実際の音は CD から、っちゅう「あるイミ」インチキな再生をしております。

変な表現ですが、なんでか Lightnin' のブルースって、そんなスクラッチ・ノイズや周期的に聴こえる(たぶん盤上に入った距離のあるキズのせい⋯)ボツ!っちゅう雑音までもが「ああ、テキサスだなあ(?)」ちゅうデタラメな感慨となって「味がある」のでございます。うん、そこらがモダーンなシカゴのブルースとはちゃうルーラルな味わい、なんてこれもまた勝手に誤解してるんでしょね。

まあ、ノイズっちゅうことで言えば永世名人位(?)てな Blind Lemon Jefferson とゆう大先達(??)がおられますが、そうゆうノイズに負けない⋯いえ、ノイズすら「味の一部」てな面妖な世界もまたいいものでございますよ。
な〜んてバカなこと言ってるのはワタシくらいのもんでしょうけどね。なはははは

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