Chicago Blues

Little Johnny Jones


2005-08-02 TUE.


もう「まんまやないけ」っちゅうタイトルでございますが、柔らかい Johnny Jones のピアノの音で始まる直後に、なんだか心細いよな、あるいは「はかなさ」さえ感じさせる、ちょっと繊細なタッチでさまよい込んでくる Elmore James のアコースティック・ギターによるスライドは、いつもの Elmore らしさ(?)がやや薄くなり、そう、まるで Tampa Red みたいな色合いを帯びているのが面白いですねえ。
普通なら、こんなふうに「のべつまくなし」にバックでギターを弾かれたら「ウルサいっ!」ってなるもんですが、ここでの Elmore の場合、アコースティックを使ってるせいか、さほどうるちゃくないんですよ。ところどころ複弦でのスライド・アップっちゅう、いかにも Elmore ってギターも入っているんですが、ケッコー控えめで、でも Elmore だぜ、って判る程度には(?)主張しております。

そして控えめながら途中から曲全体の空気を豊かに変えてく J.T.Brown のサックス。これが Hoy Hoy では、派手なサックス・ソロをキメてくれるんですが、この曲では静かに流すだけ。なかなかやりますねえ。

そーなのです、ここには「あの」 Broomdusters が集っておるワケなのでございますよ。
1953 年10月 7 日、Chicago Universal Studio で行われた Joe Turner のためのセッションに加わった Little Johnny Jones でしたが、そのときのメンバーは Elmore James と彼だけ( Ransom Knowling と Odie Payne は参加しておりません)で、ブラス・セクションは Grady Jackson と Mac Easton、ベースに Jimmy Richardson、ドラムが Red Saunders という顔ぶれでした。
その二日後の 1953 年10月 9 日に同じ Chicago の Universal Studio で行われた Little Johnny Jones のためのセッションでは、ベースが Ransom Knowling、ドラムには Odie Payne、としている資料*もありますが、一方では Elmore の 3CD アルバムのライナーに付属した Discography では Elmore と Johnny Jones 以外は「不明」とされていますので、そこらどーなんでしょ?

* ─http://www.novia.net/~cedmunds/elmore/ejdisco.htm

その 1953 年に Atlantic に吹き込まれた 4 曲(実際には Hoy Hoy に別テイクがあるらしいのですが)のうちのひとつで(他は前述の Hoy Hoy 以外にも、Wait Baby 、Up the Line ; Doing the Best I Can )この曲と Up the Line( Doing the Best I Can )では Elmore がアコースティック・ギターで伴奏いたしております。

Just from San Antonio, Texas
Trying to work my way back home


う〜ん、いいですねえ。このナチュラルなテクスチュアのヴォーカルが淡々と語るように歌っていく、なんとかして Chicago の家に帰んなくちゃ、っちゅう切々たる想い⋯
なんちて、実は Elmore とふたり、南部巡業に行った折に、Texas 州 San Antonio でバクチでコケて有り金ぜ〜んぶスっちまって Chicago に帰るのにエラい苦労した、ってえ一件から生まれた曲、なんてえハナシもありますから、あいつのいる Chicago に早く戻りてえ、なんてホーム・シックとは「ちゃう」らしいんですが。

それにしても、Johnny Jones のピアノ・ソロもいいですねえ。この左手のゆるぎないブーギ・パターンを「よゆー」でカマしつつも美しく飛翔する右手。ハードにヒットする「張り」の部分から移っていく部分の経過音が「なんとも」楽しいのでございますよ。目立たないとこではありますが。

さて、こと Little Johnny Jones についちゃあ、なんと言っても江戸川スリムさまの HP BlueSlim に実に詳細な解説がございますので、ワタクシがしのごの言うところではございません。よろしかったらゼヒそちらをご参照くださいませ。

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