1971年の
"Free Bird"


2002-08-12
1971年6月28日から7月2日にかけて、アラバマ州のマッスル・ショールズにおいて、その後、(すべての、とは言わないけれど)ロック・ギター・フリークたちにとっての「永遠の名曲」となったある曲が始めて録音されました。
後に「いわゆる」ファースト・アルバムで録り直したヴァージョンがヒットし、一躍その存在を知られる事となった曲。

もともとはバンドのローディーだったという、Billy Powell の弾くシンプルなピアノのアルペジオに始まり、ギターが加わるとともに、意外にリリカルなきらめきを見せるピアノ。
やがて、ゆっくりと、抑えたトーンで歌い出す
If I leave here tomorrow・・・
そう、あの、LYNYRD SKYNYRD の、あまりにも有名な、"FREE BIRD" です。

そしてヴォーカルである Ronnie Van Zant に絡み、意外にも美しいハーモニィを醸し出す Tim Smith と、ドラマーでもある Ricky Medlocke のふたりのファルセット・ヴォーカルによるコーラス。
そのマッスル・ショールズでの最初のレコーディングでは、ギターはまだ Allen Collins と Gary Rossington のふたりしかいません(ただし、ヘッドフォンでチェックするとギターの数が合わず、Ed King が後から音を被せているのかもしれません)。
しかし、それでも、あの、ギターが次々と交錯し、絡みまた離れ、めぐりめぐるロンドのような世界の萌芽は見い出す事が出来るようです。

その LYNYRD SKYNYRD は、1977年の10月20日、ツアーのため South Carolina 州の Greenville から Louisiana 州 Baton Rouge に向かうチャーター機、Convair CV-240(そのサイズや細部などでは違いはあるが、基本的には日本の YS-11 にも似たターボ・プロップ、つまり前部にはプロペラがあるが、内部は星型配置の複気筒を持つエンジンではなく、基本的には軸流型のジェット・エンジンでもあるため、後部からの排気もまた「推進力」として貢献するタイプの双発機。ケネディの大統領選挙戦中、遊説にも使われた)がミシシッピ州にさしかかったところでエンジン・トラブルを起こし、Gillsburg という町の近郊で不時着を試みたが立ち木に接触して墜落、ヴォーカルの Ronnie Van Zant、当時、新しく入ったばかりの Steve Gaines など4人が死亡してしまう。そして、その日を境に、Ronnie Van Zant の歌う "FREE BIRD"は「失われて」しまった・・・

もちろん、今でも、CD によって往時の彼の声を、"FREE BIRD"を聴く事は出来る。
このマッスル・ショールズでのオリジナル・レコーディングのトラック( MCA MVCE-24139に収録)や、いわゆるファースト、そしてライヴと。
でも、彼の声で歌われる "FREE BIRD"は、あの1977年10月20日で終わりました。

せめて、彼の魂だけでも、縛られる事なく無窮の天空を飛びまわっていてくれたらいいのですが。
permalink No.121

Search Form