I Walked from Dallas

Howlin' Wolf


2005-08-24 WED.


先日、Little Johnny Jones の周辺をうろついてて発見(なんておーげさなもんじゃないですが)した彼の Accompaniment によるナンバーで、この Howlin' Wolf の I Walked from Dallas があったのでございましたが、さすがにサックス二本に Hubert Sumlin 師のギター、さらにベースまでエレクトリックの Andrew Palmer に Willie Dixon のアップライト・ベース(なかなか分離は困難ですが左寄りの「底鳴り」してるよな音が Willie Dixon らしい)とゆう「てんこ盛り」ですと、Little Johnny Jones のピアノは断片的にしか聴こえませんねえ。
それでも時折り、ギターの陰で細かく転げまわっているキーボード・ワークが垣間見られて、しかも、ところどころ Hubert Sumlin 師のギターにスグ反応したりしてて、う〜ん、さすが!でございます。

録音は 1965 年 4 月15日。
オープニング、例によって、それはそれはチャーミングな Hubert Sumlin 師のギターが虚空を切り裂き、そこに Sammy Lay のクロックワークみたいなハイハットが刻み込まれてくるともういつものウルフ・ワールドですねえ。

そのウルフの咆哮を支えるサウンドはブラスも含めて充分に「厚く」、しかし、だからと言って騒々しくはない、むしろクリアーなイメージなのは、やはりこのギターがポイント・ポイントを際立たせて、なんだかイメージまでも次々と更新していってるような感じだからでしょうか。
そこでの Johnny Jones のピアノはむしろそれとは逆に、終止一貫して彼なりのテーマをプレゼンテイトし続けているような印象ですが、それも、あまりに「起伏のある」 Hubert Sumlin のギターとの対比でそう感じるだけなのかもしれませんね。
それにしても、この、全体重をかけてくるよな(?)ギターはホントにスゴいな。
もう、そのプレゼンスが、ウルフの声に負けてない!ま、あるいはウルフと一緒になったことで、このようなメリハリのあるギターとして「開花した」とも言えるのかもしれませんが。

と、そこでまったくの脱線ですが、つい Albert Collins の Black Cat Bone を思い出しちゃいましたよ。
そう!あのブレイクのとこ!

I walked down from the Dallas, down to the Wichita Falls⋯

Dallas から北西に 240km ほどのとこにある Witchita Falls まで歩く?そ、そんなバカな!ちゅう距離じゃないの!いいですか新宿の東京都庁から山梨経由で長野県の松本まで歩けば(つ〜か、歩けるもんなら歩いてみろ)ほぼ同じ距離なんだぜ?
まあ、そこは歌の歌詞ですからねえヒドい目に遭ってる表現として援用されただけでしょうが⋯

しかしっ!
な、な、な〜んと Howlin' Wolf の「ダラスから歩いてくぜ」はそんな安直(安直かいっ!)なもんちゃいます。どこまで歩いてくの?ゆうと、ああた!キャリフォ〜ニャァ(あ、ここはゼヒ、Honeyboy Edwards センセのタッチで最後を「にゃあ〜」としてね(ってイミ無いけど)。
AMTRAK の Sleeper Car で二泊(?)で着くってキャリフォ〜ニャァ(クドい?)まで歩く?
しかもキャノジョが待ってるんで日曜までに着かなくちゃ?この一週間はオレのこと探すな?
一週間で着けるんかいな? まあ、歩きつつもヒッチハイクして、ってんなら月曜にでて日曜までには着くかもしれんけど⋯

な〜んて珍しく歌詞にまで踏み込んでゴタク並べてるのは、Collins ちゃんのおかげ(?)ざます。
もっとも Black Cat Bone の曲自体は彼の作じゃなく、サイトによって表記にブレがありますが Harding "Hop" Wilson としているもの、Ivory Lee Semien( King Ivory Lee )としてるケースがあります。
IVORY RECORDS 127 B "My Woman Got A Black Cat Bone" ではその作者を Wilson-Semiens と記しておりますね。
Hop Wilson については BIOGRAPHY で書いてますが、King Ivory こと Ivory Lee Semien(あるいは Semiens )は採り上げてませんでしたねえ。
彼は 1931 年 9 月13日、Louisiana 州 St. Landry 教区の Washington という小さな町で生まれています。
かなり早い時期から音楽に触れて、のちに Texas 州 Houston に遷ってからはブルース・クラブでの演奏を始めていたようです。
その彼の最初のレコーディングはヴォーカルとしてだったようですが、その後ドラムとして Hop Wilson と組んで数々のレコーディングをしてるのですが、そのなかに IVORY RECORDS 127 B "My Woman Got A Black Cat Bone" もあったのでございますねえ。そ、お気づきになられたかたもおられるでしょうが、そのレコード・レーベル IVORY RECORDS とゆうのが Ivory Lee Semien が 60 年代始めころに Houston で設立したプライヴェート・レーベルだったようでございます。
もっちろん Hop Wilson のレコードがそこではイッチバンの売りだったようですが。
IVORY RECORDS 127 B "My Woman Got A Black Cat Bone" のラベルの表記を信じれば Wilson-Semiens と「二人の共作である」ちゅうことになっておりますよ。
ただ、Deiscogs では( Albert Collins のライヴでの同曲に)作者を Ivory Lee Semiens と記してますね。
その同じ Discogs が Hop Wilson の同曲のクレジットでは作者を H Wilson としてるなど(単に記載件数だけから行けば(より有名な?)Hop Wilson 説が「強い(?)」ようでございます⋯

な〜んて、またしてもウルフそっちのけで南部偏重モロなだけにテキサス界隈にハナシを持ってくダメなワタシね(?)。



江戸川スリムさまとこの新コンテンツ についに英語版も登場いたしました!
当初はもちろん日本語によるコンテンツとしてスタートしたのですが、まず英語版の Guest Book を設けたあたりから、海外からのアクセスが飛躍的に増大したらしく、ならばいっそコンテンツ自体も、となったもののようです。

さっそく Guest Book への書き込みがどんどん増えているようで、世界じゅうあちこちから Otis Rush への激励の言葉が集まって来ているのを見ることが出来て感動いたしました。
彼の勇姿を再び見ることが必ず来ることを信じ、このページの成長もまた見守って行きたい、と思っています。

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