Friars Point Blues

Robert Nighthawk


2005-09-05 MON.


1940 年 6 月 5 日に Chicago で録音された(当時のクレジットは Robert Lee McCoy。なんで苗字を変えていたのかについては*)曲で、やはり一聴して Robert Nighthawk と判る音ですよねえ。

* ー 1933 年には Laura Dukes( "Little Laura" あるいは "Little Bit" という芸名)という女性シンガーと組んでいます。ナイトホークは彼女にウクレレやバンジョーを教えてくれたそうです。4弦のほーがラクだろう、って。この時期は主に Memphis にいたらしく、そこで John Estes や Yank Rachell、 Memphis Slim、 Big Bill Broonzy、 Sonny Boy Williamson、そして Big Joe Williams とも出会っているようですね。
ところが、彼はちとヤバいことしちゃって St. Louis に逃げ出すハメになっちゃいます。名前も母方の苗字をいただいて Robert Lee McCoy と変えて。Louisiana でトラブル(発砲事件を起こしてたみたい!)に巻き込まれて、のことだったようですが、真相は不明です。
戦前の録音がその名義で行われてるのは、そんな理由だったのね。
1936 年から1939 年あたりは St. Louis を拠点に Chicago にまで出向いたりしてたようです。


ところで、この Friars Point というのは、北から流れて来るミシシッピー河を挟んで東に Mississippi 州、西に Arkansas 州という配置になっているのですが、その Mississippi 州の河に臨む街で Arkansas 州の Helena から南に 18km ほどの位置になり、さらに南へ 20km ほど行くと Mississippi 州の Clarksdale、という位置関係になります。
河を使った水運の綿花積出港として南北戦争までは「そこそこ栄えていた時期もあった」ようですが郡自体の人口もへっているせいか人口の減少傾向がつづいてるようで 2020 年の国勢調査では人口が千人を切って 896 人になってますね⋯
2000 年の国勢調査のデータでは人口が 1,480 人といいますから、かなり小さな町、ということになります。
周辺の Coahoma 郡全体でも人口は 3 万ちょっとですから、かなり「いなか」っちゅうことになるかもしれません。
Friars Point 自体の人種別構成比を見ると、白人が僅か 5.95%、黒人が 93.85% を占める、という圧倒的な黒人の町となっておりますが、それはあくまで 2000 年の時点でのデータです。
ま、どっちにしても行ってみたこともない町のことですから、あまりちゃんとしたイメージは掴めないのですが、航空写真で見る限り、農地に囲まれた川沿いの小さな町、てなことしか判りませんね。

TIME 誌によると⋯
Once a thriving port town and the county seat, economic decline has left Friars Point with a lone elementary school, a few churches, a city hall, a post office, a small general store, a museum that opens only sporadically, a nightclub called Show T Boat where a man was shot to death in 2011, and a bank.
The town no longer has a doctor or health clinic, a drug store, a sit-down restaurant, a recreational center, a library, or any businesses to speak of.
Kids travel 15 miles to Clarksdale for junior and senior high school.


もはや診療所ナシ、ドラッグ・ストアも座席の用意されたレストランも娯楽センターも図書館も無いこじんまりとした町になってしまったようですね。

でも、その町が郡役所を Clarksdale に譲ったあとでも「意味を持っていた」のはなんでか?っちゅうことになると、どーやら、そのドいなかぶりが(?)恰好の「密造酒」の「サンクチュアリー」となっていた、ってとこにあるらしいんですねえ。
大消費地( Arkansas 州 Helena と Mississippi 州 Clarksdale )へのアクセスの便なども「ちょうど」良かったんでしょね。
どうも 1930 年代の中期からそのよーな「密かな産業(?)」が成り立っていたようです。
白人の構成比の少なさ、なんてのも案外、仲間うちでコソコソやるにゃあ都合が良かったりして⋯

ところで Haley Barbour 知事は Robert Nighthawk の Friars Point Blues を記念する記念碑を設置していますが、その際に

This talented Mississippian made a huge contribution to development of that unique genre of music, the Mississippi blues.
I am pleased Nighthawk's imprint on the blues scene, which is still heard through the tunes of modern-day blues artists, will be recognized with his inclusion on the Mississippi Blues Trail.


とその功績を称えておるようでございますよ。

なにをいまさら!でしょうけど、ワタクシの「好み」はホントに偏ってますねえ。

ワタクシにはカンゼンにケツラクしてる存在ちゅうのがあります。
ワタシには「ど〜でもいい」ボブ・ディラン、 そしてザ・バンドとか。イーグルスなんて「まったく」興味ない。
サザン・ロックじゃ Wet Willie と LYNYRD SKYNYRD は好きだけどオールマンは興味ない。あ、たった一枚だけ買ったアルバムってデュアン・オールマンが 「いない」 アルバム(そう!ディッキー・ベッツの「ジェシカ」の!)ですからねえ。
もっちろん、 ギター小僧がダッサ〜いリフを覚える(?)ディープ・パープルも「なにが面白いのか」さっぱ、わっかりませ〜ん!
そんな自分を棚に上げて、 誰かが書いてたりしたのを読むと「え〜?そんなのも聴くの〜?」なんて驚いてます。
ワタシは、 えっ?〇〇〇〇が好きなんでしょ? なのになんで〇〇〇〇〇も好きなの?となっちゃうんですよ。
たぶんワタクシって「選り好み」がハゲし過ぎるんでしょ。
ブルースでさえ、大嫌いなマディや T ボーン、そして嫌いってほどじゃないけど興味ない B. B. King みたいのが存在してるワケですから・・・

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