EUROPE ~ JAPAN

Otis Rush


2005-09-28 WED.




続いて 1977 年にはヨーロッパ・ツアーにおいて二枚のアルバムが生まれています。
まずは 10月 9 日、フランスの Nancy でのステージを Isabel(仏)がレコーディング。

Cut You Loose
All Your Love
You're Breaking My Heart
I Wonder Why
Feel So Bad
Society Woman - Love Is Just A Gamble
Crosscut Saw
I Can't Quit You Baby
I'm Tore Up
Looking Back

の 9 曲が納められた LIVE IN EUROPE(この時はジャケットの画像を見ると、日本での Fender Jaguar ─白ボディに鼈甲のピックガードではなく、同じ白ボディながらローズウッド指板の Stratocaster ─ただし PU とツマミは黒っぽい、を使っているようです)が Evidence ECD 26034 としてリリースされています(もちろん「おフランス」国内では Isabel レーベルで出てるハズ)。
その翌週と言ってよい 10月の15・16の両日にはスウェーデンの Stockholm に赴き、そこの Decibel Studio で録音した

You Got Me Runnin'
Little Red Rooster
Whole Lot of Lovin'
It's Got To Be Some Change Made
You Been An Angel
You Don't Have To Go
Troubles Troubles
I Miss You So
Hold Your Train
Same Old Blues
(ただしこの曲では Otis ではなく、ドラムの Jesse Lewis Green がヴォーカル)

が Sonet SNTF 756 TROUBLES TROUBLES としてリリースされました。
ただしこの音源は後に Alligator の手に渡り、そこではキーボードの Lucky Peterson がオーヴァー・ダブされ( Little Red Rooster だけは Allen Batts がピアノで参加)、また収録された曲も異なり

Hold That Train(曲名が微妙に変更されてますね)
You've Been An Angel
Little Red Rooster
Troubles, Troubles
Please Love Me
You Don't Have To Go
Got To Be Some Changes Made
You Got Me Running
I Miss You So


となって、さらにアルバム・タイトルも LOST BLUES となって Alligator ALCD 4797 としてリリースされました。
この Alligator によって行われた「後処理」については Otis に無断で行ったものらしく、その成果(?)については賛否両論があるようです。

この件は 1990 年代に入ってからのことなのですが、それ以前、おそらく 1980 年代に入るあたりに、彼のレコード会社、あるいはレコード産業そのものに対する「不信感」はかなり強まっていたようで、それが彼をしてレコーディングの機会から遠ざけたのだ、とする分析をしているサイトもあります。

その彼の久しぶりのアルバムは 1985 年 9 月15日に San Francisco Blues Festival のステージをライヴ録音したもので Blind Pig BP 73188 TOPS としてリリースされました。収録曲は

Right Place, Wrong Time
Crosscut Saw
Tops
Feel So Bad
Gambler's Blues
Keep On Lovin' Me Baby
I Wonder Why


の 7 曲。
翌年の 1986 年 7 月 9 日には Montreux Jazz Festival に出演し、このときのライヴはラジオでも放送されたため、そのエア・チェックかと思われる海賊版が存在します。それによると演奏した曲目は

I Wonder Why
Lonely Man
Gambler's Blues
Natural Ball
Right Place, Wrong Time
Mean Old World
You Don't Love Me
Crosscut Saw(ここからクラプトンが加わる)
Double Trouble
All Your Love


で、この後 Luther Allison を迎えてそのナンバー Natural Man を演奏したあと、みんなで Caldonia という構成だったようです。

その同じ年、つまり 1986 年の冬には日本を訪れ、12月12日、東京公演をライヴ・レコーディングしたのが P-Vine PCD-1960 BLUES INTERACTION: Live In Japan 1986 With Break Down で、そのタイトルで判るようにブレイク・ダウンを中心にウィーピング・ハープ妹尾、チャールズ清水などの日本人ミュージシャンによるバッキングで行われています。収録曲は

Introduction - Tops
All Your Love - I Miss Loving
Please, Please, Please
Killing Floor
Stand By Me
Lonely Man - I'm A Lonely Man
Double Trouble
Right Place, Wrong Time
Got My Mojo Working
Gambler's Blues


の10曲。最後の Gambler's Blues は実に10分に達する長さ!
こちら、海外では Castle や Sequel というレーベルからリリースされているようですが、そのタイトルも BLUES INTER〜が省略され、ただ Live In Japan 1986、となっているようです。

1992 年にはイギリスの London で行われた A Celebration to the Blues という企画のために Buddy Guy、Jimmy Rogers などとともに渡英し、その 1992 年 6 月28日には London の Hammersmith Odeon に出演し、(たぶん海賊版?) TOAST C-02 ってやつに

Natural Ball
Lonely Man
Blues Left Town
Gambler's Blues
So Many Roads( with Gary Moore)


が収録されているようです。
なお TOAST C-01 には Gary Moore の Blues Is Alright に Buddy Guy や Jimmy Rogers、Pop Stables とともに参加している模様。

そして 1993 年、彼は Los Angeles に赴き、そこで「本格的な」スタジオ・レコーディングによるアルバム作りを行うことを計画しています。
かってないほどによく音を吟味し、Joe Sublett のテナー、Marty Grebb のバリトン・サックス、Darrell Leonard のトランペットからなる The Texacali Horns をバックに配し、キーボード陣も Mick Weaver、Ian McLagan、Bill Payne の三人が(同時にはそのうちの二人が)複数の楽器をオペレートする、というかってない緻密なプロデュースで 1974 年に録音されたアルバム Phonogram PHCR-1248 AIN'T ENOUGH COMIN' IN は実に久々のスタジオ・レコーディングとしてリリースされています。

Don't Burn Down the Bridge
That Will Never Do
Somebody Have Mercy
A Fool For You
Homework
My Jug and I
She's A Good 'Un
It's My Own Fault
Ain't Enough Comin' In
If I Had Any Sense, I'd Go Back Home
Ain't That Good News
As the Years Go Passing By


ただしこれには日本盤限定(?)で If You Can't Do No Better が追加されているようで、つーことは日本のファンだけがトクしてる?

続いては 1998 年に House of Blues からリリースされたアルバム Any Place I'm Going で、「ついに(?)」グラミー賞を獲得しています。
このアルバムでは Memphis Horn も起用し、さらにバックには女性のコーラスまでつく、っちゅう「デラックス版(?)」で、この仕上がりはロック系から彼のファンになったひとにはちょっと「ちゃう」かもしれません。

You Fired Yourself
Keep On Loving Me Baby
Part Time Love
I Got the Blues
The Right Time
Looking Back
Any Place I'm Going
Laughin' and Clownin'
Pride and Joy
Have You Ever Had the Blues
Walking the Back Streets and Crying


え?どっかで聞いたよなタイトルだ?
ま、さいわいこのアルバムなら、あちこちのネット・ショップで(僅か 30 秒っつではありますが)試聴も出来ますので、ちゃんとチェックしてみてください。

この後、みなさまの記憶にも新しい 2004 年の日本でのライヴのスケジュールが入り、本人もそれを楽しみにしていたようなのですが、その前の冬に脳梗塞に倒れ、歌うことも難しく、ギターもまったく弾けない状態となってしまいました。
しかし、本人のたっての希望で日本ツアーのみはキャンセルされることなく、マサキ夫人の助けで、また彼を迎えた友人たち、さらにステージは、まさに渾身のバック・アップを見せた Carlos Johnson などの助けを得て、奇跡的なステージを日本の聴衆にプレゼントしてくれたのです。
2005 年 5 月11日に Buddy Guy's Legend で行われた彼の誕生日パーティは実に多くのブルースマンやブルースファンにとって、徐々に快復に向かいつつある彼を目の当たりに出来た一日となったようです。
そのあたりのことは BlueSlim の「アリヨの日記 」で読むことができます。
また同サイトには Otis Rush を応援するスペシャル・ページWe Love Otis Rush もオープンして世界中から Otisへの熱い声援が集まってきていますので、興味のある方は是非どうぞ!

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