Otis Redding 2 2nd 2005-10-03 MON. | さて、Otis Redding の Pain In My Heart まで話が進みましたが、それはまだシングルのほーで、今日はいよいよアルバムが登場いたします。 でも、彼の初アルバムは Volt ではなく Atco から出てるんですねえ。そこら、営業戦略でそう判断したんでしょか? ということで、では昨日の続きでございます。 Rhino の The Definitive Otis Redding Rhino R2/R4 71439 に付属した(良く出来た)ブックレットによれば、次に録音されたのは 1964 年の 1 月16日、Security( Volt 117。Pop チャート 97 位。カップリング ; I Want to Thank You )で、しかしこのシングルは、その後の 1964 年 2 月 6 日に録音された Come to Me( Volt 116。Pop チャート 69 位。同 Don't Leave Me This Way )の 2 月中の発売に先を越され、4 月24日に発売となっています(ただし、記録上ではそのリリース日時を 1964 年 1 月 1 日としている資料も散見され、そこら「きりのいい」とこで 1 月 1 日にしてしまったのかもしれません。現に、 Security「も」収録した彼にとっての初アルバム Atco 33-161 Pain In My Heart も 1964 年 1 月 1 日リリースとアナウンスされており、そんなことタイム・マシンでも無きゃ「不可能」でしょう。 この「 1 月 1 日」ですが、 Sly and the Family Stone のアルバムでも遭遇し、他の資料と整合しないので困ったものでした。なお、アルバム Pain In My Heart にはシングルとしてはリリースされていないナンバーも収録されており、Stand By Me / You Send Me / I Need Your Lovin' / Louie Louie / Lucille の各曲についてはその録音日時などを示唆する資料がまだ発見できていません。 なお、http://www.bsnpubs.com/ によれば、当初のアルバムはモノラルだったものを 1968 年の再発時にステレオ化した、とありました。また同サイトではそのリリースを 1965 年としております)。 ところで、実際の録音がいつだったのかまったく記録が無く、しかもそれが収録されたアルバムがかなり後のものであるために、余計、その時期が判らない、ってものもあります。 その音から推測して 1963〜1964 年あたりではないか、とされるのが Little Ol' Me と Don't Be Afraid of Love の 2 曲で 1992 年のアルバム Remember Me で始めて世に出ています。 そして、その Little Ol' Me までは(ただし That's What My Heart Needs を除く。また最初の She's All right と Gettin' Hip は不明)かっての彼の雇い主 Johnny Jenkins がバックでギターを弾いておりました(ってとっから逆算すると、Little Ol' Me もかなり早い時期、ということになります)。 続いてのシングルは 1964 年 9 月 9 日に録音され、なんとこれまた一週間も経ってない 9 月15日に発売された Chained and Bound( Volt 121。Pop チャートの 70 位をマーク。カップリングは Your One and Only Man )で、きっちりした日付が残っているところを見ると、やはり、そんな短期間でリリースできる態勢が出来ていた、ってことでしょうか?後加工が多い現代では考えられないスピードですねえ(なんて言っていられるのも今のうち⋯)。 この 1964 年にはもう一枚、Mr. Pitiful( Volt 124。R&B チャート 10 位、Pop チャート 41 位。カップリングは R&B 18 位、Pop チャート 74 位、というボス・サイド・ヒットとなった That's How Strong My Love Is )を 12月28日に録音して、12月30日には発売!! もう、言うこともありませんね。二日でマスターからカッティングしてメタル・マスターを作り、そっからプレス・マザーを起こす。そしてスタンピング、っちゅう一連の流れを考えるとプレス・テスト盤くらいは作れるかもしんないけど、「発売!」なんて言うにゃあ市場に最低でも一定の量が供給されてる必要がありますよね? とかく「XX日に発売、ってことにしとけ」っちゅう「いーかげん」な会社だったのか、あるいは「神業」でもって、たった二日で市場に出すことはおろか、なんと録音時日より「前に」市場に出すという「奇跡」まで起こせたんでしょか⋯ STAX は? 明けて 1965 年 1 月20日には、後に The Great Otis Redding Sings Soul Ballads Volt 411 として 1965 年 3 月にリリースされたアルバムに収録されることになる For Your Precious Love などのレコーディングを開始しています。 そのアルバムの収録曲は That's How Strong My Love Is Chained and Bound Woman, Lover, A Friend Your One and Only Man Nothing Can Change This Love It's Too Late For Your Precious Love I Want to Thank You Come to Me Home In Your Heart Keep Your Arms Around Me Mr. Pitiful そしてその 4 月19日には「あの」I've Been Loving You Too Long ( To Stop Now )が録音されました( Volt 45-126 ─ ここ以降、シングルはシリアルの前に 45-を、アルバムでは 33-を付して区別させていただきます。─ カップリングは I'm Depending On You )。R&B チャート 2 位!Pop チャートでも 21 位まで登った Otis Redding にとって生前の最大のヒットとなりました。 続いて 7 月 9 日には、これまた R&B チャートでは 4 位まで、Pop チャートでも 35 位をマークした Respect( Volt 45-128。カップリングは 727 に録音される Ole Man Trouble )と、同じく R&B チャート 4 位、Pop チャート 31 位を記録した Satisfaction( Volt 45-132。カップリングは Any Ole Way )、さらに、こちらは後に Volt 45-149 として、1967 年の 4 月27日に、ライヴ録音の Shake の B 面としてリリースされることになる You Don't Miss Your Water も同じ日に録音されたようです(また、この日か、あるいは Ole Man Trouble と一緒か「?」ですが Cupid もこのあたり)。 さらに、シングルとしてリリースはされていませんが 1965 年 9 月15日にリリースされたアルバム Volt 33-412 Otis Redding Sings Soul に収録された Change Gonna Come / Down In the Valley / Shake( Shake ならシングルで出てるじゃん!とお思いの方もおられるでしょうが、シングルの Shake はライヴで、別な音源)もレコーディングされています。 ここでアルバムのシリアル・ナンバーに気がついた方はおられますでしょか? Volt 33-411 → 412(実は次のアルバムも 413 と)まったく連続しておりますでしょ? 間が開いてるのに、連続してる、ってことは、この時期の STAX、いえ、Volt に関しては、少なくともアルバム・セールスにおいてはほとんど Otis Redding「一本」だった、とゆうワケでございます。 ここで、具体的にどんだけ「依存してたか」、こちらのリストを⋯ Volt 33-411 Otis Redding: Sings Sou Ballads Volt 33-412 Otis Redding: Otis Blue/ Sings Soul Volt 33-413 Otis Redding: The Soul Album Volt 33-414 Mad Lads: In Action Volt 33-415 Otis Redding: Complete & Unbelievable ~ Volt 33-416 Otis Redding: Live In Europe Volt 33-417 Bar-kays: Soul Finger Volt 33-418 Otis Redding: History of Otis Redding Volt 33-419 Otis Redding: The Dock of the Bay 410 番台の実に 9 枚中 7 枚が Otis Redding なんですねえ( Barkays ってのは Otis のバック・バンド)。 というところで、また明日に続きます。 |
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No.1260