Don't Worry 'Bout That Mule

Louis Jordan


2005-10-31 MON.




Goree Carter の、彼こそが「ロックンロール」の始祖である、とする説に触発されたワケじゃありませんが、本日は Louis Jordan でございます。
1945 年 7 月18日( 19 日としている資料もあります)、New York で Decca に録音されたもので、メンバーは Louis Jordan 本人のヴォーカル&アルト・サックスにテナーが Josh Jackson、ミュート・プレイを聴かせてくれるトランペットは Aaron Izenhall、軽快なピアノは Wild Bill Davis、コード・ストロークくらいっきゃ聞こえませんがギターは Carl Horgan、弾むよなベースは Jesse "Po" Simpkins。
さほど目立たないけどシュアなブラッシュ・ワークでリズムを刻むドラムは Eddie Byrd( Eddie Boyd としている資料もあります)でございます。

つまり本人を含めて 7人、Louis Jordan and His Tympany Five と言っても、ホントに 5 人だった場合もあるけど、たいてーは 6~7 人ってのが多かったようで、そこらあんまし「こだわってない」、と。

実はまったく同じ顔ぶれで 2 日前にもこの同じ Don't Worry 'Bout That Mule を吹込んでおるのですが、そちらは Decca によってダメだこりゃ!となったらしく、この日(また Paper Boy もこの日)に改めて録音し直されたもののようでございます。
その 2 日前のセッションからは It's Full Or It Ain't No Good、How Long Must I Wait For You?、Salt Pork, West Virginia が採用(といっても同時ではなく、たしか It's Full〜 はアルバムで収録されたんじゃなかったっけ?)されています。

いやもうさすがに音がすべて洗練されてますよねー。
アレンジにしても、各楽器のソロのあしらい方、さらに細かいことを言うようだけど、各楽器のバランスっつうか、もうミキシングそのものが、とても終戦直前なんて思えないよな「ハイ・レヴェル」なんですよ。あ、実際にこの曲が市場に出たのは確か 1946 年 1 月の「戦後」のハズですが。
1950 年代の録音でも、これより音質もバランスも悪い録音なんてザラですからねえ。

そしてなにより「ああ、都会派だなあ」と感じるのは、Louis Jordan の歌っている歌詞が実にハッキリと聴き採れるんですよ。
そこ行くと特に名を秘すワタクシのだ〜い好きなドいなかの巨人なんて、いやもう訛りがヒドくって歌詞もなんとか、しかもインタビューじゃ、ナニ言ってるんだかさっぱりわかんね!っちゅう、ま、そこがまたいいんですが、この Louis Jordan みたいに「ちゃんと」聴きとれる歌詞っての逆に一種のカルチャー・ショックなワケでして。

あ、もちろん、聴き取れるからエラい、あるいは逆に、聴き取れないからエラい、なんてことはなくて、どっちもそれぞれにそれが活かされてたらいいだけのことでございます。

ところでこのシングル( 10 インチ SP : DECCA 18734 )でカップリングとなった B 面の Buzz Me ですが、そちらではベース・ドラム・ピアノにトランペットの奏者が変わり、ベースに Al Morgan、ドラムは Alex Mitchell、ピアノ Billy Austin、トランペットが Leonard Graham、そしてクラリネットの Freddie Simon が加わっておりますねえ。
同じ日にレコーディングするのにこんな大規模(?)なメンバーの入れ替えするでしょか?
ちゅう観点から録音時日の 1945 年 7 月18日と19日の異説に注目し、もしかすると二日間の録音だったのではないか?ちゅう推理も⋯?

てなことはともかく、Don't Worry 'Bout That Mule / Louis Jordan は 1946 年 1 月に発売され、ビルボードのレースレコード部門で 1 位まで行ってチャートには 11 週居座っております。

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