I Put A Spell On You

Screamin' Jay Hawkins


2005-11-07 MON.




ついに I Put A Spell On You の 7 番目のヴァージョン(あ、リミックスも入れると 9 番目か)が手に入りました。
I Put A Spell On You は、たぶんみなさまもご存知のとおり、1955年11月に Philadelphia の Reco-Art Studio で Grand Records のために行われた一番最初の録音では「甘〜いラヴソングだった」ようなのですが、その貴重な(?)オリジナルは失われて久しく、もはやこれからも出てくることは無い?・・・かも。
とは言っても、それが貴重というのはおそらく、単にオリジナルとして、最初はこうだった、とゆうだけのもので、しょ〜じき、そのままだったら現在の「名曲」扱いは「あり得なかった」ことでしょう。

結局 I Put A Spell On You を「世に出した」のは同年暮れに契約した Otto Heinemann の Okeh Records でのレコーディング・セッションとなります。
Okeh のプロデューサー Arnold Maxim は、その Grand での「元の」I Put A Spell On You を聴き(つまり、この時点では、そのオリジナル・マスターからのサンプル・プレス、あるいはダビングしたテープが少量は存在していた、ってことでしょうか?)、このままではただのバラードだ、というので 1956 年 9 月12日、New York の録音スタジオに酒池肉林を出現させ、演奏者全員、さらにはスタジオ側のミキシング・エンジニアからプロデューサー本人までが「アルコールで励起された」状態で録音した結果、「あの」名曲(?)I Put A Spell On You が生まれたワケなのでございます。
だから Grand での録音がいまさら出て来たとしても、好事家だったら興味あるかもしんないけど、ゼヒ聴きたい、なんてえシロモノじゃなさそう。
⋯ねえねえ、ダンナ!ここだけのハナシ、あの I Put A Spell On You の Grand での録音のマスターから落としたテープがあるんですがねえ。これ(と、指三本を示す)でどうですかい?歴史的な録音ですぜ。へっへっへ⋯なんてハナシが来ても、その指三本が 3,000円なら出してもいいけど(あ、もちろん I Put A Spell On You だけじゃなく $10,000 Lincoln Continental と Pauline の三曲こみじゃなきゃヤだ)それ以上だったら、冷たく「あ、ケッコーです」と鼻先でドアをピシャっと閉めちゃうね、きっと。

それはともかく、ここでは別テイク込みで二つの I Put A Spell On You が生まれ、それはどちらも Cow Fingers And Mosquito Pie に、またシングルと同じテイクが Rhino からの Voodoo Jive に収録されています。
続いては 1965年に Laurie Records に、また I Put A Spell On You を吹込んでいる、という資料があるのですが、このときの録音がその後どーなったのか、はまったく不明で、この I Put A Spell On You もまた歴史のヤミに消えてってしまうのでしょか?
実際に検索でたどり着いた Laurie Records では色々なミュージシャンやバンドが吹き込んでいるのですが、そのレコーディング・リスト中に Screamin' Jay を発見することはできませんでした。
なので、実際に吹き込んではいたのかもしれないけれど、おそらくそのマスターは会社の上層部が求めるなんらかの基準(?)を満たすものではなく、マスターもろとも闇に葬られてしまったのかもしれません。

その翌年、1966 年12月29日には New York の Associated Recording Studio で Decca に I Put A Spell On You を吹込んでいます。この時は「野球拳」みたいなチョーシいいオリジナルに女性コーラスをオーヴァー・ダブしたものとそのままの二種類があって、ともに Bear Family BCD 15530 Spellbound に収録されています。

その後、こんどは Nashville の Woodland Sound Studios で(たぶん)白人ミュージシャンをバックに録音したのが、この Hot Line 10024-25、Portrait of A Man and his Woman のための I Put A Spell On You ってワケ。
なんだか混乱しちゃいますが、先日ここで紹介したアルバム Portrait of A Man (アルバム名)ってのが、その Hot Line 盤からの Portrait of A Man(曲名)をアタマに持って来て、それをタイトルにしちゃったものの、実質的には寄せ集めなワケですから、由緒正しい(?)のは、その Hot Line をモロ CD 化してるこの Charly SNAP 006 CD、I Put A Spell On You こそ、本来ならば Portrait of A Man and his Woman を名乗るべきアルバムだ、っつうことになりますね。

で、さらに混乱に輪をかけるようなのが、その改題した I Put A Spell On You だって、昨日までの Collectables が、オリジナルの At Home With Screamin' Jay Hawkins ではなく、「同じ」I Put A Spell On You って アルバム・タイトルを使っておるワケで、ホント紛らわしいことこの上ございません。

え〜、長々とムダな講釈をタレてまいりましたが、本日の主題、1972 年 Nashville 録音の I Put A Spell On You でございますが、イントロでこそ例の奇声がみなさまをお出迎えするものの、その後は 21st Century Singers たらいう女性コーラスが冷静沈着に

Wooooh, Spell!!

ってえリフを背後に流し続け、意外と落ち着いた(?)仕上がりとなっておるのでございますよ。
ただ、あらずもがな(?)のペンペン・ギターがバックでずっとガンバっておりますが、これは Jimmy Kovards っちゅうギタリストらしいです。

ま、とりあえずは「寄せ集め」じゃなく、オリジナル・フォーム(タイトルやデザイン、さらにリリース元は変わってしまってても、ね)のアルバムですから、多少のダブりには目をつぶってオーダーしてしまいました。
これまでは東京に出たときに店頭で発見したものばかり手に入れてきたんですが、どうもそれだと「寄せ集め」アルバム率(?)が高くなる一方でして。
ま、寄せ集めでもしかたない、ってのは例のキースとやった I Put A Spell On You が入ってた Edsel 盤ですね。

これで I Put A Spell On You のめぼしいとこは揃ったぞう。
ま、残るのはナゾの Laurie Records でのヴァージョンですが、なんだかコイツはもう出て来ないよな気がしております。
なんて書くと、書いたそばから・・・なんて皮肉な事態になればいいな、っちゅう下心で。え?そう書くとまた逆になる?
やれやれ⋯

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