Pinetop's Boogie Woogie

Pinetop Perkins


2005-11-12 SAT.




ここんとこずっと、Screamin' Jay Hawkins にばっかしかまけていたもので、そっから脱出すんのに、どっからも文句の来ないブルース中のブルースを!なんてリキみかけたんですが、んなこと言ったら、かなり限定されちゃいますし、だいたいそこらはとっくに採り上げちまってる(あ、ワタクシの感覚では、ね。 「おいっ!なんで XXXXをやらねえんだよっ!」っちゅうお叱りの声はカクゴの上ざます)んで、ヘンに殊勝なこと考えず、思いつくまま手を伸ばして当たったヤツを⋯

てなワケで本日のブルースは Pinetop Perkins の Pinetop's Boogie Woogie でございますが、ピアノに詳しい方々ならとっくにご存知でしょうけど、この Pinetop Perkins、最初はギターだったものが、なにやら 1940 年代の中頃に左腕を怪我したとかでピアノに変わった、なんてハナシがありますよね。
そんなふーに書くと、なんだか、ピアノよりギターのほーが「難しそう」に思えますが、んなことはありませんから。

その二つの楽器では、指の使い方が違うから、怪我のタイプによっちゃギターは弾けないけどピアノなら弾ける、って怪我もあるし、逆にピアノは弾けなくなっちゃったけどギターなら弾ける、なんて場合もあり得ます。
たぶんですけどギタリストはピアノなんて難しそう、思ってそうだし、ピアニストもギターなんてむずかしそう、思ってるのかもしれませんね。なんたって「あまりにちゃう」から⋯
ブルースマンでギターでもピアノでも演る!ってひといますけど、ピアノとギターじゃ「すっげえ感じ違う!」ってケースもあって面白いんですよ。
なんかそれぞれの楽器に似合うブルースがある?てな感じで。うん、どっちがイイとかゆうことじゃなくてね。また別な面白さがあるみたい⋯

例えば Lightnin' Hopkins ですよ。彼の Have You Ever Loved A Woman ですねえ。
この曲名で検索をかければ、おそらく玉石混交つうか「ピンからキリまで」ドッチャリと出てくることでございましょう。
他のかたがたの演奏がアット〜テキだと思いますよ。
めっちゃリキ入ったギターがドたっぷりと⋯てな世界が!

ですが、この Lightnin' のはまた「なんと」対照的でございましょ。
彼の場合には、その歌がいいのはとーぜんとして、特筆すべきはこのピアノですねえ。
ま、その道の方から言わせれば「なんじゃこりゃあ?」なのかもしれませんが、ワタクシ、このピアノがケッコー好きでして(ワタクシもヘタなりにピアノをいじるのが好きなせいもあって?)このアルバムに針を落とす(そ、アナログ・ディスクなのですよ。TRIP TLP-8015 ね)たびに、Mojo Hand でヴォルテージが上がった後は、この曲を心待ちにする、っちゅう習慣になっております。
なんちゅうか、まあそれもまたひとつの誤解ってものかもしれませんが、このミョ〜にスカスカなピアノだからこそ、独特な空気感が生まれ、歌自体のプレゼンスがさらに「迫ってくる」ような気がするのでございます。
「あのギターだからこそ」の世界を持った Mojo Hand とは「対をなす」曲のような気がして、その後の Have You Ever Loved A Woman が「さらに輝き」そして Mojo Hand のスゴさまでが際立つ⋯

あ、いけない!Pinetop Perkins でしたねえ⋯
彼 Joe Willie "Pinetop" Perkins が先代の(って別に Pinetop は「襲名制」じゃないんですが)Clarence "Pinetop" Smith の庇護のもと、この Pinetop's Boogie Woogie を教わった、ってハナシがホントだとすると、その Clarence "Pinetop" Smith は 1929 年には Chicago で「流れ弾」に当たって死亡していますから 1940 年代になってからピアノに転向した、なんてのがちと「?」ですよね。
ま、指を怪我してギターが弾けなくなって、じゃ、ってんでいきなりピアノへ、ってのはフツーあり得ないっつうか、思ってもそうカンタンにコンヴァート出来る訳ない、と思うんで、それ以前、だいぶ前からピアノも弾いてたんでしょね。
この曲を「ギターで」覚えた、なんて考えられないし。

録音は 1953 年 7 月15日、Sam Phillips の Sun Records で、このころにコンビを組んでいた Earl Hooker と一緒に録音( Earl Hooker は以前この日記でも採り上げた The HuckleBuck を録音。どちらも結局 Sun からはリリースされなかった)しています。
バックのドラムは不明。

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