Hello, San Francisco

Buddy Guy


2005-11-14 MON.




1969 年の 11月25日と 26日の二日間に渡って New York で録音された(ワタクシが思うところの)Buddy Guy、Vanguard 時代の最高傑作、あのこってこてのスロー・ブルースがタマらん Vanguard V-79723、Hold That Plane の最後をシメる、これまた緊迫感に溢れたナンバーでございます。

いかにも Buddy Guy っちゅうギターのリードに絡んでくる「ただもんじゃない」感に満ちたピアノは⋯それもそのハズ(?)の Junior Mance なんですねえ。

曲の途中からはサックスで A.C. Reed(?たぶん、ね。もしかすると Gary Bartz っちゅう可能性も無いワケじゃないけど、R&B 系のクリシェと感じるので)も出てきますが、やはり Junior Mance のプレゼンスの前では、この「へっぴり腰の」プレイは「問題外」でございます。

ま、日頃、わしゃズージャは嫌いじゃ!なぞとヌカしておりますが、それでもかってはオーネット・コールマンやアルバート・アイラーに心酔し、「コルトレーンなんてクソつまらん!」などとカゲキな方向に走っていた時期もあるワタクシでございますから、この程度のサックスなど、ココロの琴線どころか、上っ面にひっかきキズひとつつけませ〜ん。

ことブルース界(?)にあっては、いわゆるホンカーであるとか、そうゆう「つん抜けた」おバカさがなきゃ、論評に値しない⋯なんてこんなことばっかし言ってるから嫌われるんだな、きっと。
それはともかく、このサックスは「要らない」と思うんだけどな。

で、ちゃう意味で目立つのがベースの Ernest Johnson でしょ。
例えばプレシジョン・ベースでも使ってもっとテクスチュアを殺して「低空飛行」のベースに徹したほうが曲全体の方向性はさらにクリアになる、と思うんだけど、んなこたあ知っちゃいねえ、ってな委細かまわず、「モロ」エレクトリック!っちゅうベース・サウンドで「我が道を往く」ですよねえ。
で、それが曲を台無しにしてるか?ってえと、そうも言えず、これはこれで面白いですねえ。
ただ、欲を言えば、もうちょっと正確なタイミングで弾けるベーシストのほうがいいかな?って気もしますけど。

ドラムは Jesse Lewis。こちらはケッコー張り切ってピアノや Buddy Guy のギターに負けないよに頑張ってますが、やはり他流試合のワケ判らなさ(?)に自分のポジションをどこに持っていったらいいのか手探り、ってな感じで、ここにも不思議な緊張感があるようで⋯

その意味じゃイチバンなにも考えてないのが A.C. Reed かもしんない。
Buddy Guy のギターや、Junior Mance のピアノがどんな展開をしてっても、それに反応せず(出来ず?)ありきたりな既製品的な常套フレーズを入れてるだけみたいですからねえ。
そんならそれで Ernest Johnson みたく孤高の境地まで達しちゃえばまた違うんですが、ハンパにからんでくるからむしろジャマ、なんて思うのは「いけず」な私だけでしょか?⋯てなことをさんざん言っといて、これ A.C. Reed じゃなく Gary Bartz だったら大笑いなんですけどねん。

やはり、このトラックで飛び抜けた「自由度」で自在にプレイを楽しんでいるのは Buddy Guy のギターと、Junior Mance のピアノでしょ。
特に Junior Mance のピアノは「かなり」饒舌なんですが、それが唯一 Buddy Guy のギターと(話す言語は違っているけど)会話できているように思います。
ハッキリ言って、とてもクセのある Buddy Guy のヴォーカルのバックでも遠慮なく弾きまくってますが、それがヴォーカルとヘンな相乗効果を出しているようで「図式どおり」なブルースとはかなり位相の異なる独特な世界を作り上げている・・・なんて言うとホメ過ぎかも。

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