Gambler's Blues

Otis Rush


2005-11-29 TUE.




さて、すでにあちこちのサイトではもう話題になっております Otis Rush の、これまで未発売だったライヴ、Delmark 原盤の、日本では P-Vine からの PCD-23722 LIVE AT THE WISE FOOLS PUB CHICAGO がワタクシの手元にも到着いたしました。

これは同封のライナーによると、当時 Chicago で出来たばかりのマイナーな(インディーズなんてコトバが似合いそう⋯でも、出来たばかり、と言うには、その二年前の 1974 年の 1 月に、すでに Hound Dog Taylor の Northwestern University でのライヴを「録音」しており、それが Alligator からの二枚のライヴ盤には収録されてるんですけどね)FM ステーション WXRT が、シカゴ・ノースサイドのクラブ、Otis がよく出演していた Wise Fools Pub でのライヴを録音したものだったそうで、それがまたなんだって 30 年近くも(この録音は 1976 年の 1 月と言われてますから)潜航してしまったものか、ようやく陽の目を見るまでにかくも長き時間を要した、ってワケなんでしょね。
ま、なにはともあれ、いまこうしておよそ 30 年前の Chicago のクラブでの一夜が、音だけとは言え蘇ったのですから、その「幸運」に感謝いたしましょ。

もうとっくに未知の音源なんて出尽くしてると思ってると、こんなのがポコっと出てくるんですから、まだまだユダンはできませんね。
これからだって「とんでも」なソースが浮上して来る可能性はおおあり、でございます。

さて、面白いのは、このアルバムの日本語ライナーで、近藤房之助が一曲づつについて談話スタイルで語ったものを曲解説の代わりのようにしているんですねえ。
もちろん、それは彼個人の印象をストレートに語っているだけなので、ひとによってはまた違った印象を持つ方もいると思いますので、あまり「聴く前には読まない」方がいいのかも?

てなことはともかく、この Gambler's Blues!
なんたって 1972 年の Ann Arbor Blues & Jazz Festival での Gambler's Blues には、もの凄〜く「来る」とこと、それ故に「無残」なところがつきまとい、ファンならば、不条理な「悔しさ」みたいなものを感じた方も多かったのではないでしょうか。
チューニングがもっとキッチリしてたら、あるいはバックがもっと「ちゃんと」していたら、というリスナーにはどうしようもない「障害」の数々(オーヴァーな)⋯でもね、こんなこと言うと嫌われちゃうかもしれないけど、あのライヴにココロ掴まれるかたってのが「ほんとうに」Otis のフアンなんじゃないのかな。グダグダ言ってるヤツらってのは「オレなら⋯」と、まず「オレ」を最優先するジコチュ〜だろ!ちゅう気がするよ。
Magic Sam のアジマス狂った闇テープでも、うぉ〜!Magic Sam の Ann Arbor だっ!と目が♡になるかどうか、っちゅうのと一緒、って気がする。
こうしてライヴが聴けるってだけでシアワセ!ってもんなんだけどさ。

てなことはともかく、スタジオ録音ではなく、やはりライヴで、あの Gambler's Blues が、いまこうして別な「運命」のもとでカタチになって、Otis Rush がのびのびと演奏しているのを聴くと、実に感慨深いものがあります。

このアルバムから真っ先にどの曲を採り上げるか、かなりの迷いもありました。
一曲目の、まるで Elmore みたいなブーギも面白いし、やはり All Your Love か?てなユーワクもありましたが、ただワタクシの個人的な好みから言いますと、この曲に関してはスタジオ録音のほがいいよな気がいたしますので(すいません。やっぱ、この曲はカチっと仕上がってる方がパワーを発揮するよに思えるんですよ。非難を恐れずに言えば)。
ま、これは例によって「偏りっぱなし」のワタクシならではのタワゴトですからお聞き流していただきたいのですが、あの Magic Sam ではミドル・テンポのブーギに限定して(?)クルっておるのと同様、この Otis Rush に関しては、そりゃもう「スロー・ブルース」が「たまらん」ワケでして、そこで極北となる、と言えばやはり Gambler's Blues ⋯これっきゃない!

そして勝手な理由ですが、この Gambler's Blues だけ(他にも It's My Own Fault とかもやってた⋯いえ、やろうと試みてすべて敗退した、かな?時期もあったのですが、なんとかしがみついて演奏しようとし続けているのが、これだけ⋯)は自分でも「まがりなりにも」歌おうとしてるナンバーであるから、ってのも関係してるのは事実でございます。

この曲だけではなく、このライヴ全体でも、よく途中でフル・ストップするブレイクを多用していますが、これって時代の「気分」ってやつだったんでしょか。
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