Love Changing Blues

Blind Willie McTell


2005-12-07 WED.




タイトルは Love Changing Blues だけど歌詞では

My love don't Change ⋯

となっていますよね。ま、後のほうで出てくる B 部分の Love Changing Blues ⋯って歌詞がそのまま曲名になったのでしょうか。

Yazoo のライナーでは触れていませんが、キーが E であるような気がします(?)から Vestapol チューニングと思われます。
そしてなんと奥行きのあるトーンであることか。
スライド・ワークがどちらかとゆうと「迫力ツール(?)」として濫用(?)されるようになる 1950 年代以降のシカゴあたりのスキルとは異なり、また、同じ戦前でも、これまた独自のスタンスを持つ Blind Lemon Jefferson とも異なったアプローチで奏でられるそのスライドは、ココロに沁み入る優しさと柔らかさに溢れ、むしろ「陰翳を付与する」方向に働いているように思われますが、ま、そこらはワタクシの個人的な偏見にすぎないかもしれません。

同じく、これもまたひとつの偏見かもしれませんが、ブルースの「首都(?)」が Chicago とゆうことになってからというもの、やはり、北部の都会ならではの「情報溢れるなかでのプレゼンスをキープするため」にパワー・アップし、またルーラルな社会でははばかられたセクシャルな隠喩をさらに強調するための「男くささ」みたいなものを過剰なまでに注入した歌い方や演出、といった変化がもたらされてる、と考えておるのですが、この曲には、そういったものに「毒されていない」南部の「のどかさ」みたいなものを強く感じます。
しかし、一方ではこの当時の南部諸州では人種差別が「当然のこと」として疑われてもおらず、それは当時の黒人たちにかなりの重圧を与えていたハズなのですが、もしかすると、それに疑念を持つことすら「考えられなかった」ある種の「固着状態」が、このような「安定状態」に見える、ということだったのかもしれません。

おそらく、そのような「白人にとっては都合のいい」一方的な迫害に立脚した「安定」というものが崩れ始めるのは、第二次世界大戦という「別種の」クライシスを経て、だったように思うのですが、実際にそれらが「大いなる疑問」となって、黒人社会を揺り動かすようになるのは 1960 年代を待たねばなりません。

そして、それは「いまだに」完結はしていないのですが⋯

ふと思いついて某グループの古い録音が収録された CD ってのはいま絶滅しちゃってるんだろうか?と検索していたところ、同じ話題でコメントされているスレッドを発見し、なんと、この世にはちゃんと同好の士がいるんだなあ!などといささかカンドーしてしまいましたよ。

やはりひとつのグループのヴォーカルが変わってしまうと、それまで「あんなに」好きだったのが突然「ダメだこりゃ」になったりしますよね。
そのグループのリーダーは残ってたとしても、やはりヴォーカルの存在こそが「そのグループの音」なワケです。門外漢にとっては。

ストーンズのブライアン・ジョーンズが去った(死んでから、と書いてもいいんだけど、実際は「グループからはじき出された後」に死んでるので、そこら正確を期さないとね)からといって、ストーンズの音がさほど劇的に変化したかどうか、ゆうとそりゃひとによって様々な捉え方があるかもしれないけど、やはりミックのヴォーカルがああして前面に出ている限り、さほどの変化が感じられず悔しかった(なんたってブライアン・ジョーンズが好きだったもんで⋯)ものですが、一方では、ヴォーカルだった D.L.R. が抜けた後は、もはや「あの」ヴァン・ヘイレンじゃあない⋯

ところで、最初のハナシに戻って、古い録音の件ですが、やはりリリースはされてないようで、当時の三枚のアルバムから編集して一枚にしちゃったのに入ってる「切り貼り」リミックスでその一節が登場するだけの「幻の名曲」は、レコード会社の倉庫の中でただ朽ち果ててしまう運命なんでしょか?
まあ、そのスレッドに登場してる人数ってのが 30 人くらいですから、そんなじゃあレコード会社も「再発」なんてする気にはならないでしょねえ。
それとも、もうすでに「原盤」が朽ち果てて、どしたって再発は出来ないよな状態に陥ってるんだったりして⋯

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