Katie Mae

Lightnin' Hopkins


2005-12-14 WED.




1930 年代の中頃、the Houston County prison( Houston 郡刑務所ですね)に Excess(やり過ぎ・過剰、なんて意味もありますが、乱暴狼藉、乱行、暴飲暴食も含まれます。でも「暴飲暴食」で逮捕・起訴、そして収監なんてされるワケはない⋯と思うんで、ここはやはり乱暴狼藉につながる暴行罪やら器物破損なんてえとこでしょか?)の「複数形」が原因で「お務め」することになった Lightnin' ですが、それから開放されてシャバに出て来て、ようやくまた Texas Alexander と活動を再開、てな一幕がございましたねえ。

しかしそれも束の間、こんどはその Texas Alexander が自分の妻を殺害したかどで 1940 年から 1945 年までの 5 年間、Dallas 近辺の監獄に収監されちゃうんですからねえ。いやはやいいコンビでございますこと。
ようやく Texas Alexander も「出て」きて、ようやくまた一緒に、ということになったのですが、そんな中、彼は Houston の Third Ward で Lola Anne Cullum という女性に紹介されます。

彼女は Aladdin を始めとするいくつかのレーベルにミュージシャンを発掘しては送り込むタレント・スカウトで、さっそく Aladdin とコンタクトをとり、レコーディングのハナシがまとまったワケですが、ここで Texas Alexander は「要らない」と判断したものか、あるいは Texas Alexander 自身が、ワシゃ西海岸にゃ行きたない、ってことでハズれたのか、そこら詳しく述べている資料に辿りつけなかったので不明ですが、それじゃあ、ってんでコンビを組ませたのが例の Wilson "Thunder" Smith ってえピアニストなワケですが、そこで彼の「売り」 "Thunder" に呼応して Sam Hopkins には "Lightnin'" をってことだった、ってのはもうみなさまもご存知のエピソードでございましょう。
ま、一説ではこの組み合わせを考えたのは前述の Lola Anne Cullum だった、てな記述もありますが、異説としては Aladdin が用意した、ってのも見ました。

てなことはともかく、その Wilson "Thunder" Smith のピアノをバックに、おそらくは生ギターのサウンド・ホールにダイナミック PU を付けたんじゃないか、ってえ、やや「ペンペン」なギターを弾きながら Lightnin' が歌ったこの曲、Katie Mae は 1946年11月 9日に録音され、発売されるや、そこそこ、っちゅうかケッコーなヒットとなり、これで気をよくした(?)Aladdin は続いて Lightnin' を録音させよう、って気になった、っちゅう記念すべき彼の「最初のヒット」だったワケです。

その名前、"Thunder" なんて聞くと、雷鳴のような大迫力のピアノでも弾くんかいな?なんて気になりますが、この Katie Mae で聴くかぎり、やたら可愛くコロコロと転がるプリチー(?)なピアノは、しょーじき、どこが Thunder じゃ〜われぇ!と言いたくもなりますが、ま、やるときゃやるぜ、っちゅうのがよっく判る録音もあるのでしょうね(?)。
そしてやはり Lightnin'、しっかりと彼ならではの個性がすでに確立されとりますよ。
この後の Lightnin' は Aladdin で Shot Gun Blues、Short Haired Woman、Abilene、Big Mama Jump なんて「そこそこの」ヒットを出し、やがて Modern / RPM、Gold Star、Mercury、Jax、Decca、Herald なんてレーベルに次々と吹き込み、しかし次第に沈降して行き、やがて「休止期」に入るワケですねえ。

そして 1959 年に Sam Charters によって Folkway Records で録音の再開、というストーリィが続くわけですが、そこらは本稿の範囲外でございます。

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