Please Love Me

Otis Rush


06-01-09 MON.




この CD の言わばオープニング・ナンバーとしてこの曲が聞こえてきたときには、正直なところ、一瞬「えっ?」てな印象でございました。
レギュラー・チューニングでフィンガー・スライドでアップしてく、サウンド的には「まるで Elmore のスタイル」。
いえいえ、ダメだ!とか、似あわん!なんて言ってるんじゃないんですよ。
ホントに「オドロいた!」のでございます。意表を衝かれましたねえ。まさかコレで来るとは!

実はワタクシもかって(モチロンそのレヴェルたるや Otis Rush とは比べること自体が「冒涜」てなもんでございましたが)レギュラー・チューニングのままで、このフィンガー・スライド・アップで Elmore James の Talk To Me Baby やら Happy Home を演奏していたことがございまして(あ、イマじゃ「ナマイキ」にも E オープンでスライド・バーでやってますけどね。カタチだけ、って感じですが)、その頃のことをホーフツとさせる懐かしい(?)サウンドに、ついタイム・トリップしちゃいそうになりました。
しかし、そこは Otis Rush(?)その擬似(?)スライドからフィルへ、って流れが「さすが」の Otis フレーズなんですね。
そのスムースな移行とゆうか融合ぶりは、どんなスタイルでも、そこに Otis Rush という類稀なプレゼンスが溢れていて、圧倒されます。
この Otis Rush ならではの「陰影」に彩られ、ひと味ちがったウェットな(?)ブーギ、うっかり見落としちゃうとこでしたよ。

この CD を買ってスグ、ひととおり聴いてから「お気に入り」をプログラム設定して「しつこく」聴いておりましたが、その中にこの曲は含まれて「おりません」でした。
別に「嫌い」ってことじゃなく、ワタシの思う Otis らしさ(あるいは期待する Otis 像?)に沿って「重点的に聴き込もう」とセレクトした曲のなかには。この Please Love Me は含まれていなかったのでございます。
そう、あくまでもプライオリティのモンダイでして⋯

それが今朝も再生しようとリモコンを操作したのが、誤って(?)プログラム設定をチャラにしてしまい、えい、メンドーだ!とそのまま再生したワケなのです。
そしたら、しょっぱながコレでしょ?
ミョーに新鮮で、ある種のショックを改めて受けちゃいました。
明らかに Elmore 調のナンバーであることを充分に認識させる出来でありながら、しかも、ちゃんと Otis Rush のブルースになっているんですねえ。
ううむ、恐るべし、Otis Rush!⋯なんちて、そんなことは、みなさま先刻ご存知ってもんでしょうけど。

やはりワタクシなんぞでは、採り上げる曲ごとに、そのマザーとなった各ブルースマンのカラーが(決してコピーはしていないのに!)色濃く残ってしまい、そのせいで曲によって演奏の個性ってものがコロコロ変わる(!)っちゅう「だらしなさ」が付きまとうのでございますが、やはり、それでは「いかん」のだよなあ、とハンセーいたしております(ホ、ホントだってば)。

それにしてもこのアルバム、買って以来、ずいぶん CD プレイヤーにセットしたまんま(あ、BLUES日記用にはポータブルの、いわゆる CD ウォークマンってのが 2 台ありますので、そっちは「その日」のスペシャル?を再生するんざます)なんですが、こうして最初っから聴きなおしてみると、Otis Rush のレンジの豊かさがよく判りますね。

どうしても最初に気に入ったナンバーばっかり聴きがちでしたが、タマにはプログラム再生じゃなく、ランダム再生なんぞさしてみるのも意外な発見があって面白いかもしれません。

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