Guitar In My Hand

Clarence "Gatemouth" Brown


06-01-25 WED.




およそ Verve というレーベル、そして特にそのロゴ・デザインは、ひところボサ=ノヴァに行き「かけた」ワタクシとしては、とても思い出ぶかいもので、Antonio Carlos Jobim や Creed Taylor(ん? Creadだっけか?)なんて名前がそれとは分かち難く「ついてくる」のでございますが、そんな話は、おおかたのみなさまにとっちゃ、「なにそれ?」てなものでございましょう。
で、さらにまったくの蛇足ではございますが、あの土手町にワタクシのデザインでオープンした喫茶店、Cavern の「ロゴ」の「-ver 」部分は、モロ Verve のレタリングからいただいたものでございました。
ん?Cavern ってなによ?って方は、最後のをど〜ぞ。

てなことはともかく、ここでの Gatemouth のギターは、あの Got My Mojo Workin' でのソロに「限りなく」近いフレーズが出てまいります。
で、このスピードですから、かえって、どんなことやってるのか、がよく判ってベンキョーになるざます。同じことはしない(出来ない?)けど。
しかしまあ、この Non-Reverse Firebird、いい音してますねえ。
このフル・メタル・カヴァード(つまりポール・ピースが出ていない)で小ぶりなハムバッキング PU のキャラクターなんでしょか?そしてそれプラス、カポ使ったハイフレットだから、かもしんない?
この PU を搭載してネックもバインディング無しのドット・ポジションにした SG ボディのギターなんてのがあったら、Gibson で唯一「欲しいギター」になってたかもしれないんですが、モチロンそんなギターはあるワケ無いんですねえ。
この Non-Reverse Firebird も「悪くはない」んですが、この大きさ、ってのがどうもね⋯
やはり Firebird ってえギターは、りっきーさんくらい上背が無いと、なんだか見た感じ、バランスが悪いよな気がいたします。

ところで、ギターの場合、いっちゃん「鳴り」のいいのは、弦長がある方、ってことになっておりますよね。つまり、開放弦に近いとこなワケですよね。
それからすっと、このジジ⋯うっぷす、Gatemouth みたく 6(!)フレットや 8(!!)フレットにカポタスト、なんてのは「もってのほか!」てなもんなんでしょが、案外それが、このアッサリめな、でもトロっとしたトーンの原因になってたりして⋯っちゅう仮説も密かにアタマをよぎるのではございますが、ま、そこら深追いはしないどきましょ。

Verve POCP-7400、American Music Texas Style、さすがに公言しているだけあって、「Blues」じゃなく「American Music」なんですね。
ここでは Eric Demmar(この曲中でサックス・ソロとってるのが彼)を始め Ray Moore、Wessel Anderson っちゅう三人のアルト、Tony Dagradi と Eric Taub の二人のテナー、Tony Frigo のバリトンっちゅうサックス陣に Peter McEachern、John Touchy、Steve Suter に Jerry Verges という豪華四本立てのトロンボーン、そしてトランペットには Nicholas Payton、Barney Floyd、Bobby Campo の三人をおごり、例によってブ厚いブラスをふんだんに使って、でも、それも吹かせっぱなしじゃなく、そこらのメリハリはウマいですねえ。(と言っても、それはもっぱらアレンジャーでもある Wardell Quezergue の功績っちゅう気がしますが)

禁欲的(?)にステディなベースは Harold Floyd。このベース、けっこう「好み」です。
なんだか好き勝手に叩いているみたいで、意外とルースなとこもあるけど、シメるとこはシメてるドラムスは David Peters。
そしてこの曲ではさほど活躍するとこは無いけど手堅く背後に音を散らしてるピアノ(デジタル音源くさい⋯ )は Joe Krown。

1973 年の12月25日、弘前市の中土手町と下土手町を結ぶ、蓬菜橋の中土手町側のたもとにひとつの変わった喫茶店がオー プンしました。
元々は弘前電鉄の電力供給のための架線敷設その他に発足した弘前電気鉄道電気工事部=弘鉄電光の事務所だった部分、一階の土淵川に面した一部を使って開店する喫茶店⋯
床と壁は白と黒のチェッカーで椅子はオレンジ色のディレクター・チェア、照明は床 に置かれたスタンドのスライト、というユニークな内装で、窓は無く、入りロのドア のガラス格子が唯一の外光です。
ただ、入って左手の壁だけは手前から奥に向かって広くなる「斜め」で、床のチェッ カーとつながらないから、白壁にレンガをあしらったものでした。
これは当時インテリア・デザインを手掛けていたワタシ自身のデザインです。

この店は金木町出身の S 氏がやることになっていたのですが、急にご家族に不幸があって出来なくなり、インテリアデザインから施工業者の選定、その手配などもやっていた事情からそのままでは「どエラい赤字」ですからワタシが引き継ぐことになったものです。
Cavernという店名はビートルズ・ファンの S 氏がつけたもので、ビートルズ馬鹿にしてるワタクシとしては不本意ながら、すでに外壁に、鉄製の Cavern のロゴが取り付け られており、ロゴ入りのブック・マッチなども完成していたので、やむなくそのまま継承しています。

歴史に「もし」は無い、と言いますが、もし S 氏が店をやっていたら、Cavern はブルー スではなく、ビートルズからオアシスに連なるブリット・ポップスの店になってい たかもしれませんね。そうなってたら Blues After Dark も誕生してなかった別なパラレルワールドが⋯

そしてワタシがやるんだったら、と用意する音源も革命的な転向となって、もっちろんビートルズなんぞ(なんぞ?)ぜ〜んぶボツ!
代わりにブルースじゃ!と Freddie King の TEXAS CANNONBALL などをガンガンかけておった⋯とこにおいでになったのがダディ正井氏だったのでございますよ。
この店、ブルースかけてるんですかっ?ちゅうことでお付き合いが始まって⋯

そう!一気にブルース度を強めかつ深めて行ったワケなのでございますよ。

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