Night Time Is the Right Time-II

Willie Kent


06-03-27 MON.




おっとっと、3 月 5 日の Willie Kent では訃報にまつわる話ばかりで、曲についていっこも語っておりませんでした。
とゆーワケで、あらためまして・・・

案外この Willie Kent さん、Ray Charles がお好きだったのかもしれませんね。
ここでも、やろうと思えばガッシ・ガッシと重量感ある、いかにもシカゴ(?)っちゅうブーギでも行けるのに、やはりバックにはブラス、それもスタッカート系じゃなく「流れ」系の(って、なんじゃそりゃ?)、どことなく Ray Charles なサウンドを配し、タイトさより、夜遊びムードの「ちょいワル」おやじを目指して・・・なんて、んなワケはないんですが、まあ、どことなくそんな「匂い」がするような気がいたします。

そしてこの声。
まるっきり張ってるとこがなくて、弛緩してる、とも言えるかもしれませんが無駄にリキんでないとこなんか、逆に好感が持てます。
やっぱねー、ヘンに「カンドーさせよう」とか「目にもの入れてやる( copy by もすけバンド)」なんてチカラが入っちゃうと、かえってウソ臭いってゆうか、空回りになっちゃって、逆に説得力が無くなったりするんですが、こんなスタンスで「だってワシ、この歌、好きなんだよう。」てなテンションでやられちゃうと、むしろ、その歌自体が持っている世界が浮かび上がるっちゅうか、鮮明に見えてきて、そこら歌がウマいひとのを聴くと、「スゴいウマかったなあ」ってえ印象は残るけど、曲のイメージとして「しっかりしたもの」はかえって残らない場合が多いってのと対照的。

ま、自分もそーだからって自己正当化してる、っちゅー部分もあるでしょが、ワタシは、ブルースって歌がヘタなひとでも、いえいえ、ヘタならなおさら歌える「もの」がある、と思っています。
なにもウットリするよな「いい声」じゃなくても、また難しい節回しを難なくこなせるテクなんてなくても、そんな職人芸 or 人間国宝チックな世界は「プロの」シンガーやらディーヴァにお任せして、もっと日常の会話の延長のようにして歌に「なっていく」そのあわいにこそ、ブルースという音楽の存在がふさわしい、てな気がしております。
そんな、一見、完成度の低そうなヴォーカルの持つ独特なテクスチュアというものが荒削りに描き出してゆくところに、そのひとの人生が現れてくるのではないでしょうか・・・なんちて、そりゃ買いかぶり過ぎかな?

と、こんなふうに書くと、いかにも Willie Kent が歌がヘタクソみたいに思われそうですが、もちろん、そんなことはありませんからねー。「堂々たる」スタンダップ・シンガーなんかと比較して、っちゅうハナシですから、とーぜんワタシなんか足下にも及ばないレヴェルでございます。
それを自分をハゲますためにことさら「極端に」解釈しとるワケでして。

収録アルバムは Delmark DE 667、Too Hurt To Cry、1994 年のリリースです(ついでながら同じくこのアルバムに収録されてる Buddy Guy の A Man And the Blues を採り上げたトラックでは、ゲストで参加した Billy Branch のハープがやはり「いい」!)。

さて⋯いま( 2023 年夏)このブルース日記を、別なとこに一括して移転・収容するための作業をしているのですが、そうしていると次第にメインストリートから裏通りに入り、さらには入り組んだ隘路を辿って「無理やり」出会った!てなナンバーが増えてくるんだよな。
そう⋯わっ!こんなコアなブルースマンのこと書いてる!ってな。

この Willie Kent にしたところで、青森の「安潟まつり」に呼ばれて来た時点で初めて存在を知ったブルースマンで、まっことシツレ〜ながら、誰だよ!こんなの呼んで来たの!とショ〜ジキ肚立ちを覚えたものでございましたっけ⋯
もちろん、青森に来る以前にも彼のことを採り上げてはおりますが、それはあくまでシカゴ・サウンドを支えたバイ・プレイヤーたち、てな視点でのもので、なのでやたら誰のバックを務めてたか、がメインになってましたっけ。

いまこうして改めて彼について自分で書いたものに触れると、あ〜、Willie Kent ねえ⋯この後、一度も(そう!断言できます。ただの一度も!)彼の曲を聴いてない⋯どころか彼の存在を思い出すことすらなかったんですねえ。

iPod touch に始まって今では iPhone SE II がポータブル・オーディオとなっているのですが、当然(?)そこには一連の Albert Collins、Lightnin' Hopkins、Clarence Gatemouth Brown、Frankie Lee Sims、Blind Willie McTell、Frank Frost、Hop Wilson、Wild Jimmy Spruill、Lazy Lester、Huey Smith、Joe Louis Walker などなどの「非シカゴな(?)」方々が納められ、そこに Eddy Taylor と HoundDog Taylor に Lil' Ed、さらには Elmore James も混じる、ちゅうのが「日常の(!)」ブルースなのでございますよ。
そうゆう「持ち歩く音源」はいたって「お気に入り率」が高いのばっかで、と〜ぜん(?)Willie Kent のナンバーは「候補にすら挙げられるワケない」存在でした。
ハッキリと「嫌い!」ってことはないけれどプラスもマイナスも無い「ブルースではある」ナンバーは「お気に入り」のなかに混じっちゃうと「誰だ!こんなの入れたのはっ!」てなっちゃう。もちろん自分で入れてるに決まってるんですど。

ホント、このブルース日記で採り上げた曲のリスト見ると、あ〜!コイツ(コイツ呼ばわり!)のブルースってこのあと「いっちども」聴いてねえな!ってのゴロゴロありますねん。
それしか録音が無いから!ってレア物件じゃ「ないのに」まったく聴かないブルースマン、ケッコ〜いますよ。 
あ!アイツ?とか当てるクイズじゃないのでメールとかしてこないでね!

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