Tell Me What's The Reason

Fenton Robinson


06-04-23 SUN.




I Hear Some Blues Downstairs : AL 4710 を出して、さあ勢いに乗ってブッキング!というところで躓いたのが日本の法務省によって入国が許可されず、急遽 Eddie Taylor と the Aces というかたちになったあの騒動、日本のブルースファンにとっては「大きな」事件だったのですが、アメリカのブルース・サイトではどこも無視なんですねえ。
そりゃまあ、確かに、入国許可を出さなかったのはキミらが選んだ政府なんだからこっちはカンケー無い、ってとこなんでしょうか?おかげで、こちとら、なんか新しい事実でも出てくるか?と期待したのがもろ、コケちゃいましたよ。

ま、ケッキョクは日本側もインディーズのプロモーターだし、Fenton だってちゃんとした事務所やらマネージャーなんて存在せず、Bruce Iglauer がメンドー見てたらしいんで、そこらでツメの甘さがあったんでしょうかねえ?当時の雑誌の記事などを見てもどうも「釈然としないもの」が残るんですが⋯

それはともかく、この一件で「明らかに」日本における Fenton Robinson 人気(?)は急降下したのは事実でしょう。そして、それがアメリカ本国にもフィードバックされたとも思えないのですが、Fenton Robinson がそれ以上 Alligator に吹き込むことは無くなりました。
次に彼がレコーディングしたのは 1984 年 2 月 7 日のことになります。
オランダのレーベル、Black Magic のために Chicago Trax で、ギター Larry Burton、ベースに Aron Burton、ドラムが Roy Robertson でした。これには三日後の 2月10日、ホーン・セクションや Junior Wells のハープがオーヴァーダブされています(ただし録音時日が後述のように 3月にまで渡っているとすると、この 2月10日オーヴァーダブ説はちとアヤしくなる)。

The Feeling Is Gone : Black Magic 9005
Crazy Crazy Lovin' ( take 1)
Crazy Crazy Lovin' ( take 2) Black Magic 9005
Laundry Man ( Horns over-dubbed) Black Magic 9005
Can't Hold On Much Longer ( Junior Wells over-dubbed) Black Magic 9005
Slow Walkin'*( Horns over-dubbed) Black Magic 9005
I Lost My True Love*( Horns over-dubbed) Black Magic 9005
Sinner's Prayer* : Black Magic 9005
Night Flight ( take 1)
Night Flight* ( take 2) Black Magic 9005
School Boy ( take 1)
School Boy ( take 2) Black Magic 9005
I Found Out Yesterday (Horns over-dubbed) Black Magic 9005
Crazy Crazy Lovin' ( take 3)

( * — キーボードの Leo Davis が参加)

この Black Magic 9005、Blues In Progress はアメリカでは Alligator AL 4736、Nightflight としてリリース。
上の曲名の I Lost My True Love 以降は 2 月 8 日録音としている資料も存在しますが、Alligator では 1985 年の 2 月と 3 月に録音された、としています。

しかし、1984 年と言えば、あの Kinsey Report が結成された年であるし、同じ Greenwood 出身で All Your Affection Is Gone をひっさげて Chicago のブルースシーンに Dion Payton が登場してくる「ちょっと」前でしかないし、さらには Maurice John Vaughn が自らのレーベルを立ち上げた年であり、Melvin Taylor は二枚目のアルバムを出し、Michael Burks は家族でやってた Juke Joint がツブレかかってたあたりでしょか?
つまり、時はまさに 1980 年代 Chicago の「あの」ロックのエッセンスをも吸収したパワフルなブルースへ、と傾斜を強めていくそのさなかであった、とも言えるワケで、そんななかで Fenton Robinson の「じゃずぅい」なサウンドはクラブ・シーンなどでも聴衆を「落胆させ(とハッキリ書いておるアメリカのサイトがありました!)」どんどん支持を失っていったもののようです。

それでもそんな彼のブルースを迎えてくれるヨーロッパ!
オランダで 1989 年 4 月、彼の「最後のアルバム」Black Magic 9012、Special Road が吹き込まれたのでした。
サイドにはおそらくオランダの?と思われる Willem Van Dullemen のギター、Leon Ragsdale Jr.のキーボード、そしてベースは Anthony "Big G" Hardesty、ドラムは Robert Covington でした。曲は

7-11 Blues / Love Is Just A Gamble / Special Road / Too Many Drivers / Baby Please Don't Go / Crying the Blues / Find A Way / R.M. Blues / Slick And Greasy / Blue Monday / Money Problem / Nothing But A Fool / Little Touch

Fenton Robinson は、ついに「商業音楽」のシーンを離れ Illinois 州 Springfield に移って、そこで若者たちにブルースの基本を教える活動に入っています。
1997 年11月25日に死亡していますが 1995 年の Chicago Blues Festival では 10万人と言われる大観衆の前に姿を表し、それが彼の最後のステージとなったのでした。

⋯ さて、なんとか Fenton Robinson を終えましたが、やはり自分で読み返しても、「愛」がありませんね、語りくちに。
まあ、嫌い、ってワケじゃないんですが、日本での評価、特にあの「 Mellow Blues Genius 」なんてキャッチが「なんじゃそら?」って引っかかるっちゅうか、ある意味「ムカつく」ものがあるもんで、どしてもそこらやや「突き放した」見方になっちゃうんでしょね。
もちろん、きっとどっかには Fenton Robinson の熱心なファンもいるんでしょうが、たまたまワタクシのまわりにはひとりもいないようでございます。ま、いたらいたでかえってキビしくツッコんでたかも?ですけどね。
え?来日中止のウラミ?いえいえ、それはありませんねえ。かわりに Eddie Taylor が来てくれたんですから「やった〜!」でございます。
こんなこと言ったらフアンのみなさまにはモロ不快でしょうけど、Fenton 来れなくなってよかった!


見上げると、それはきれいな空で、一直線に伸びる飛行機雲がまぶしい日曜日になりました。
外に出てみると、風は北東あたりからでしょうか?予報では東寄りに推移する、とのことですから、そんな日には東に位置する黒石市方向へ向かうのがリーズナブルっちゅーものでございます。
あの、りっきーさんたちも津軽三味線のライヴを楽しんだとこで「ぶっかけ蕎麦」をいただき、黒石市内をタンケンした後、戻ってきましたが、追い風のおかげで早い早い!往きの 1/4 くらいの時間で着いちゃったのが、なんか損した気分ですねえ。いいんですけど。

さて、今日から「さくらまつり」ですけど、まだいっこも咲いとりゃせんよ、ってのみんな知ってますから、なんだか街のフンイキもまだ落ち着いてますね。

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