Olds "98" Blues

Johnny Temple


06-07-13 THU.




一瞬、マンドリン?てなイントロの音で始まるステディなブーギは(当時の)「ニュー・エイジ」シカゴ・ブーギと言うよりは、いまだにデルタ系の、むしろソロでの弾き語りに適したリズム・ベースである点からしても、これをあの Little Walter & Othum Brown の I Just Keep Loving Her や Ora Nelle Blues 、さらには Johnny Young & Johnny Williams の Money Talking Womanのような、まさに Maxwell Street という「場」を得たころで急速に形成されていった原シカゴ・ブーギとでも言うべき一連の作品と同列に扱うには多少「難」もあるように思われます。

それでも、都会の喧噪に対抗して、雑踏の中を「そぞろ歩き」している大勢のひとたちに少しでも強くアピールすべく(てな気がするんですが、もちろん、その当時の Maxwell St. を実際にこの目で見ておるワケではありませんから、それもあくまで動画から来てるワタクシの「想像」でしかないのですが)、そのブルースも「間」を排し、ま、言い方は悪いけど、「のべつ幕無し」方向に傾斜していってるのではないか?っちゅう気がいたします。

誤った情報によって執筆してしまったが故に I Just Keep Loving Her を Jimmy Rogers と Little Walter の演奏、などという解説を書いてしまった N 氏のライナーをいまだに訂正せずにリリースしている国内の有名なブルース・レーヴェル P もどうかと思うけど、なんだか印刷物ってのは、こんなふうに「後から」加筆修正や訂正が出来ない、という、非常にデンジャラスなメディアなんですねえ。
一方、それに同封されている英文ライナーを執筆した George Paulus はこの Johnny Temple を ' like an electric Robert Johnson 'と言っている、と日本文ライナーでは紹介しているのですが、不思議なことに、その同じ英文ライナーでは Jimmy Rogers が I Just Keep Loving Her を歌っている、とはひとことも書いていない(ま、歌ってない、とも書いてないけど)のに、そこらがやはり barrel house のクレジットに「そう」書かれていたから信じてしまったんでしょうね。ま、そう書いてあったら、そう思うのは当たり前で、ワタシだって、この CD の方を入手するまではそう信じてましたから。

って、そんなことはともかく、この Johnny Temple を Electric Robert Johnson なんぞと言う、ってのはワタクシとしちゃあいささか「さぶイボ」もんだな。
この Olds "98" Blues を聴いて Robert Johnson を連想するとしたら、まあ、なんと豊かな、あるいは「奔放な(ズレた、とも言う?)」イマジネーション!っちゅう感じですね。
そりゃね、この音と Robert Johnson の近似性ってのは「ゼッタイ皆無!」とまでは言わないけど、それにしても、もっと「ちゃうもん」との系統づけするほうがまだ「まとも」だと思うんだけど。

ところで、この Johnny Temple ですが、この Blues日記がこの Excite ブログに正式に移行したその記念すべき第一回、2004 年 4 月 1 日に登場しております。
ただし、そこで採り上げたのは、これに先立つ 1938 年に New York で「あの」Harlem Hamfats をバックに吹き込んだやたらチョーシいいナンバー What Is That Smells Like Gravy ですから、この Olds "98" Blues とはいささかその趣きを異にしております。

さて、この曲のタイトルにある Olds "98" Blues っての、これ、どうやら 98 年型 Oldsmobile ってえ意味でしょうねえ。彼女をクルマに例えてる、と。
ま、ここでいう 98 っての、 1898 年でしょか?キャディラックが 1905 年とかってのを聞いたことがあるよな気がするけど、Oldsmobile の場合は 1897 年にクルマ作り始め、1899 年までは独立したメーカーだったみたいですねえ。


こんな夕焼けが昨日は出ていたのに、今日はぐずついた天気でした。
ただ、クライアントの依頼で bbsのまったく新しいデザインの作製にかかりっきりでしたから、ま、雨だろうが晴れだろうがあまりカンケーは無かったんですが。
それがようやく夕方近くにひとまず形になったので、そのプロト・タイプを送って、検討していただくことにいたしました。
このころにはすっかり雨も上がってましたから、友人と一緒に夕食に出かけます。
その後、モンベルショップでバイク・パーツ(さすがスポンジ・グリップはだいぶへたりが早く、もうかなりボロくなりかけ⋯)を見て、なんてやってたら、またちょっと細かい水滴が。

たぶん梅雨の寒気と暖気の境界線がいまこのあたりにいるんじゃないんでしょか。
だから、昨日の夕焼けがあんなでも、ちょっとした気圧の変動でそのボーダーがここ弘前にかかると雨になる、と。
心配なのはチャレンジ・ヒルクライムの日です。晴れるといいんですけどね。
そりゃ雨なら雨での感動はあるでしょうが、晴れたらもっとポジティヴな感動がありそうですから。

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