Garota de Ipanema

Lisa Ono


06-08-16 WED.




まったくどうなっちゃったんでしょ?
このところ、市内で知り合いに出会って交わす挨拶と言えば決まって「暑いね〜」、津軽弁で言うと「なんぼ暑いば」、上品なおばさまだと「なんぼまだ暑いねし〜」⋯
だいたいねえ、「残暑」なんて言ったって、そこはかなり北にあるここ青森県じゃ、お盆が過ぎたらさすがに朝晩はけっこう涼しい、なんてのが当たり前なハズだったのが、今年ときたら陽が昇るにつれて気温もバリバリ上昇し、正午前に 30℃トッパ!てな勢いで、しかも陽が沈んでも街の火照りは鎮まらず、アスファルトの路面から、周囲の建造物から、ま、遠赤外線とはちゃうのかもしれないけど、明らかにそんな長波長の不可視光、つまり熱線が放射されとるようで、「まともな」気温になるのはホントの深夜だけ、てな感じでございます。

ま、だからってワケでもないんですが、思いっきり「涼しげ」な音楽でも、ってんで先日は Beyond the Reef を採り上げました小野リサの歌うボッサ・ノーヴァの名曲、かの Antonio Carlos Jobim の Garota de Ipanema、つまり「イパネマの娘」の登場でございます。
これが世に出たのは Joao Gilbert(ポルトガル語では Joao で「ジョアン」と発音します。だから Lisboa と書いて発音はリスボン)と Astrud Gilbert、そしてサックスのスタン・ゲッツっちゅうあの the Girl from Ipanema のヒットによるものでした。
特に曲の最初に登場する Joao Gilbert の弾き語り部分はとてもインパクトがあって、ま、いまとなっては「かなり」上澄みだな、とは思いますが、当時はそこに漂っていた「エスニック風味(そう、「風味」なのよねー、あくまでも⋯)」がとても新鮮で、後半のスタン・ゲッツがあまり好きじゃなかったものでしたが、この小野リサの Garota de Ipanema では、むしろ Antonio Carlos Jobim のアルバム The Composer of DISAFINADO Plays の線に近いかもしれません。
あのクラウス・オガーマンによるストリングスなどのオーケステレーション・アレンジやジョビン自身による人差し指一本ピアノ(あ、ホントかどうかは知りませんよ。そんなイメージなの、音が)的な音造りで統一されたパッケージはむしろ小野リサの涼しげな声にとても良くマッチし、まさに夏の BGM として実によろしい。

あ、でも、あくまでも BGM としてね。
むしろ、ヘッドフォーンでキビシく検聴なんてしちゃうと案外つまらない(シツレイ?)ので、そうじゃなく、エアコンの効いた部屋の長椅子でイタロ・カルヴィーノの「レ・コスミコミケ」なぞ読みながら、背後にやや静かに流しておく、なんてえシチュエーションに最適でございましょう。
かたわらのグラスにはペパーミント・フラッペにジン(判ってますよね?サファイアでっせ!)を垂らして、それを思い出したよになめながらページを繰っていくアンニュイな夏の午後⋯

てなことを一度はしてみたいなあ。

弘前の街なかには昔、あちこちに湧水があったんでしょうか?

↑これは割とうちの近くにある湧水、「富田の清水(とみたのしつこ)」という場所で、道路からは一段低くなっており、木造の上屋がかけられております。
常に地下水が流れ出しているせいか、街なかにあっても、このなかだけはいつも「ひんやり」しています。
昔はこのような豊富な湧水を使って製紙業が行われていたらしく、この一体に紙漉町(かみすきまち)の名が残っています(弘前はかっての城下町の職分による町名がよく残っており、この近くには銅屋町、桶屋町、鍛冶町があり、他にも大工町、鞘師町、鷹匠町、馬喰町、禰宜町、紺屋町、馬屋町などが)。
でも最近はヘンな開発によって「北大通り(「ほくだい」通り?と思ったら「きた・おおどおり」なんだって!)」やら「茜通り」、「並木通り」なんてえ歴史もへったくれもない名前をつけられた街路が増えてたんですが、先の市長選挙でこれまでのが落選して、こんどはそんな拡大路線じゃない市長らしいんで、そんなヘンな通りも増えないかもね。

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