Is You Is Or Is You Ain't My Baby

Screamin' Jay Hawkins


06-08-19 SAT.




そのトーンだけで言えば(詳しくは後ほど⋯)ワタクシ好みの Michael Keneally のフェイズ・アウト系のギターで始まる軽快なシャッフルっぽいナンバーですが、やはりこのスマートさ、滑らかさなんてのは、これのオリジナルである 1942 年 7 月21日のセッションで Five Guys Names Moe などと一緒に吹き込んでいる Louis Jordan の Timpany Five* から来ているんじゃないでしょかねえ。
この Screamin' Jay Hawkins の録音は 1990 年の秋ですから、その間、実に 48 年もの開きがあるワケでございます。

* ─ Timpany Five ; 1936年に New York に戻って来た Louis Jordan は Chick Webb の the Chick Webb Orchestra(と思われますが、その名称は 1931 年で確認されており、そのバンドが専属で出演していたと思われる「 Battle of the Bands で有名だった」the Savoy Ballroom では、the Savoy Ballroom Band と呼ばれていた、という記録も存在します。1936 年もその名前だったかどうかは確認しておりません。が、ともかく Chick Webb のバンド)に参加し、「あの」Ella Fitzgerald とも「共演」しています。その Louis Jordan は 1938 年に Chick Webb のバンドから独立し 9 人変成のバンド the Elk's Rendezvous Band を結成し、やがてそのバンドはその名を Timpany Five と変えています。Five とあっても実際には「ホントに五人になったこともあった」てなもんで正式な人数は「決まってなかった」ようですが。
その Timpany Five の 1942 年 7 月21日の録音で DECCA 23630 としてリリースされたのがこの Is You Is or Is You Ain't。


もちろん、そんだけ時代が進んでおりますから録音の技術的側面なんてのも確実に進歩しており、特にこのランニング・ベースなんて、いかにもリミッターでも掛けてそな「今の」音っぽいですが、でも逆に、本来のウッドの音消えは早いのに、不思議な量感に溢れた「ずしん」と来る感じなんてのが無くて、かえってプレゼンスは薄いように思います。なんつーか、ちゃんと聞こえてればいい!ってもんじゃないみたい。
そしてこの Michael Keneally のオープニングのギター。これってワタシはゼッタイ使わない「コーラス・エフェクト」だよね?
ん〜、なんでかダメなんですよ、あのコーラスってやつ。ま、ひとさまが使うぶんにゃあ蓼喰う蟲も好きずき、ってもんで「実力で阻止」なんかしませんけど(あ、でも自分がプロデュースしてるんだったら即刻クビだな。んなもん出して並べただけで)どーも好きになれません。
この曲でもそれが目立つとこはちと好きになれないけど、ま、主役は Screamin' Jay Hawkins ですからね。
もっとも、このレコーディングでは Bo Diddley Jr*もギターで参加してる(ハズ)なんで、もしかすっと Michael Keneally じゃ「ない」可能性もあるんですが⋯

* ー Bo Diddley Jr. 本名 David Hill Jr. は Washington D.C. で生まれているようですが、すぐに North Carolina 州 Wagram に移り、そこで成長しているようです。わずか四才でギターをいじり始め 14 才ではすでにロードに出るミュージシャンのバッキングを務め始めたそうですから「かなり弾けた」んでしょね。1950 年代には親戚だった Ellis McDaniel、つまり Bo Diddley から「 Bo diddley Jr. と名乗ることを許された」と⋯日本には Screamin' Jay Hawkins のオーストラリア・ニュージーランドそしてジャパン・ツアーの一員として来ています。
ただし(?)少なくとも、ネット上には「 Bo Diddley の息子である Anthony McDaniel 」が同じく Bo Diddley Jr. を名乗っており(フェイスブックまでやってる)Bo Diddley Jr. をシカゴ生まれ、としている資料は生年を 1954 年 8/14 にしており、それでは 1950 年代に名乗りを許されたのが最年長でも六才ってことになりますねえ。
血統の上では Anthony McDaniel こそ純正(?)のジュニアかもしれんけど、この二人の Bo Diddley Jr. ナゾです⋯


その主役たる Screamin' Jay Hawkins は、今回もまた、実にキモチ良さそに女性コーラスをバックに華麗にちりばめて、好き放題楽しんでます。
そのバック・コーラスは Julie Syperda-Duffey と Meredith Marshall に Jill Foor という三人のお名前が記されております。あ、別に確証はございませんが、Julie Syperda-Duffey ってかたはヒョっとしてプロデューサーの Robert Duffy の「お身内(奥さん?)」なのかもしれませんねえ。

さて、ときどきピッチがアヤしくなるとこ見るとヒョっとしてエレクトリックだけど、フレットレスでウッド・ベースみたく立てて弾いてる「アップライト・ベース」を使ってるのかもしれないベーシストは Mark Goldberg、ミキサーの嗜好なのか、はたまたプロデュースの Robert Duffey の差し金によるものか、シンバル系のレヴェルを「かなり」落とされちゃって(ま、おかげでまったく「やかましく」はないんですが)スネアだけが目立ってるドラムは Rik Shannon。

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