Everyday I Have the Blues

Jimmy McGriff

06-10-12 THU.




この Jimmy McGriff という存在は、おそらくブルース界ではさほど有名ではないのではないでしょうか。
ま、熱烈な Albert Collins のファンだったら、ひょっとして、その名前を知っているかもしれませんが、おそらくこの人のアルバムを「ちゃんと」持ってる、なんて方はあまり多くはないハズ、と想像しております。

この Lester Recording Catalog LTD. っちゅうレーベルから 2001 年の秋にリリースされた 100% PURE FUNK というアルバムは、実は二重の意味でそのタイトルを裏切っている、とも言えるかもしれません。
まず聴いてみてすぐ判ることですが、この音群を「 100% PURE 」であろうが「 10% Mixed 」であろうが、「 FUNK 」と言えるだろうか?ということ。
そりゃね、おっ、なかなかファンキーなオルガンじゃん!なんて言うぶんには一向に構わないのではございますが、かと言ってこの音楽を「 FUNK 」、それもまた言うに事欠いて「 100% PURE 」とは、いやもう、いったいナニ考えてるんだか⋯と言いたくなりますね。
まず、ここでは、あくまでも「あの偉大なる」Jimmy Smith を意識してのことなのでしょうが、「徹底的に」ジャズ・オルガンの文法どおりにプロデュースされております。
本人は、「オレはジャズ・オルガン奏者なんかじゃない。あくまでもブルースのオルガン・プレイヤーなんだ!」と言ってるのにも関わらず!
そんな音作りだってのに、そんなトラックを集めたアルバムに 100% PURE FUNK なんて命名する、そのシンケーが理解できません。

さて、曲のタイトル Everyday I Have the Blues に惹かれて、このナンバーを採り上げましたが、どーも、何度聴いても、われわれにお馴染みの「あの」Everyday I Have the Blues とは共通したテーマがいっこうに登場してまいりません。
もしかすると、そのタイトルを借りて、まったくオリジナルな「彼の」曲として作り上げたものかも⋯
一方の雄 Jimmy Smith のオルガンに比べ、「ねちょねちょ」度が低く(って、なんじゃそりゃ?でしょうが、どーも主観的に行くとそーなっちゃう⋯)ややスタッカート気味っちゅうか、粘度の低さ、カラっとしたフレーズが特徴かもしれません。
ま、Albert Collins がやたらこの人のオルガンを気に入ってた、っちゅうのも判るよな気がいたします。
Jimmy Smith の場合、ほとんど彼のオルガンだけで世界は完結してしまっていて、そこにはあまり余地はない感じなのですが、この Jimmy McGriff の場合には、いちおうメインを張るだけの強さも輝きもあるんだけれど、一面塗りつぶしちゃうよな息苦しさってのは無いんですよね。

James Herrell McGriff Jr. は1936 年の 4 月 3 日、Pennsylvania 州 Philadelphia で生まれています。
両親がともにピアノを演奏していたことから早くから楽器に親しみ、piano、bass、vibes、drums に Saxophone まで演奏することが出来ました。
もっとも、人前での演奏は、8 才のときの、教会でのドラムのポジションが最初だったそうですが。
やがて New Jersey 州 Camden のクラブで Richard "Groove" Holmes の演奏に触れたことで、彼の関心は Hammond に集中するようになります。
高校を卒業した彼は、MPとして朝鮮戦争の前線に送られ、退役後も Philadelphia の警察で二年余りを過ごしました。
しかし、やはり音楽への「志向」はその生活には満足させず、まずはベーシストとして音楽界に戻ることとなります。
そしてベーシストとして Carmen McRae や Big Maybell のバックを務めるかたわら Richard "Groove" Holmes に師事し、オルガンを学び、1956 年には、ついに彼自身の Hammond B-3 を手に入れることが出来ました。
そしてさらに基本的な音楽理論や様々なスキルを学ぶために、ついに警察を退職し、Combe College に入学しています。そしてやがてはそこに飽き足らず、あの有名な Juilliard School of Music に入学。その上「個人的に」Jimmy Smith や Sonny Gatewood、Milt Buckner にも師事していたそうですから、まさに「鬼のように」オルガンに取り組んでいた、と言えるかもしれません。

New Jersey 州 Trenton のクラブで Jell というマイナー・レーベルのスカウトマンの目に止まった McGriff は1962 年に、Ray Charles の「 I Got A Woman 」でオルガン・デビュー(実際の彼の初録音は 1958 年に Marsh レーベルに吹き込んだ Foxy Due )し、その売れ行きが良かったので New York のレーベル、Sue Records がディストリビュートに乗り出して R&B チャート 5 位、ポップス・チャートでも 20 位をマークして、以後「ソウル・ジャズ・オルガンのプリンス」てな扱いを受けることになります(で、キングは、モチロン Jimmy Smith ね)。他にも"All About My Girl" などのヒットあり。

しかしワタシにとって、この Jimmy McGriff の重要なポイントは、あの Albert Collins のアルバム、Alligator の Cold Snap に参加してる、ってこと!

まあねー、歌は無しでオルガン弾くだけ、ってのはブルースマンとしてどうよ?なんて声もあるかもしれませんねー。
でも、Earl Hooker だってギターのみで充分ブルースだ、と思うし、この Jimmy McGriff だって、バックはモロ Jazz だけど、これはこれでリッパなブルースだ、と思っています。



今日もとってもいい天気です。
昼までにデスクワークを片付けて「ちょっと」出ましょ。
午後の予定まで三時間ほどありますから、さっそく平川の土手を北に辿り、次いで接近してくる浅瀬石川の右岸に移って合流点(藤崎)の先、岩木川との合流点まで向かいました。
北西の風がケッコウ強く、そこまではずっと「ほぼ」向かい風です。

もうすでに10月もなかば近いとあって、道行く人々はみな長袖っちゅうなか、わたくしのカッコと来たら、いまだに腕はむき出し、足だって、さすがにショートパンツはエンリョしましたが、ヒザ下までのスパッツですから、かなりそれを見たひとをギョっとさせてたみたいです。
それでも先日の、日中の最高気温が 13℃(!)なんて日に比べると、今日なんて 20℃近いワケですからねえ。帰って来たら背中が汗で濡れてますよ。
もちろんシャワーでございます。

さすがに、日いちにちと陽光も柔らかく、低い角度からになって来て、「秋の光」が野に満ちていますね。



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