Lakeside!... not in Swamp!!

Alligator Tale vol.01

06-10-13 FRI.




1971 年に、まさに「あの」Hound Dog Taylor を録音してリリースしたいがために生まれた Alligator。
わたしにとっては過去から現在にいたるまでを眺めてみても、Chicago における最も重要なレーベルは Chess や Delmark ではなく、この Alligator です。
なぜなら、そこには(もちろん商売である以上、経済的な側面は無視できないにしても)「音楽に対する情熱」を一番強く感じるから。
そして所属するアーティストに対する「深い愛情と理解」を感じるから。


1947 年、Ohio 州 Cincinnati に生まれた(と Alligator の HP その他の主なサイトでは紹介されているけど、なんでか「どアホ」な allmusic では Jul.10, 1947 in Ann Arbor, Michiganとなってるのよねー、さすが allmusic?! )白人、Bruce Iglauer がブルースに目覚めたのは 1966 年とされています(ワタシより 2年早い!)。
Mississippi Fred McDowell(そう言えば当 BLUES DIARY ではただの一度として採り上げていませんでしたねえ。なんたってワタクシがヒジョ〜に嫌っておるもので!)の演奏に触れて、大きな感銘を受けたようで⋯
ま、Fred McDowell をそー片付けちゃうと、あちこちから非難が殺到しそうですが、ワタシがストーンズからいきなり Albert King に飛び込んで、れっきとした(?)エレクトリック・ブルースを全身に被爆したのに対し、ちょうど対照的な(ワタクシに言わせれば、ね)「フォーク・ブルース」から入った、というのが面白いところです。
もっとも、そんな彼でしたが、後にはフォーク・ブルースなどとは「もの凄〜く」隔たった(?)ワイルドでダーティ、パワフルでときには卑猥、ある意味、轟音系(あ、McDowell の音からするとね)の Hound Dog Taylor によって「人生を変えられちゃう」んですから面白いものですよね。
その 1966 年当時の彼は、まだ Wisconsin 州 Appleton* の Lawrence University の学生でしたが、ただザンネンなことに、今のところ、それまでの彼がどのような生活を送り、音楽的にはどのような環境で育ってきたのか、を示唆するような資料には一切、出会っておりません。

* —Appleton, Wisconsin ; あの Paramount Records の Grafton や Port Washington からは、およそ 11 時の方向に 100km ほどのところにある街。
その街なかを Fox River が流れていることから、生活環境も良かったようで 1848 年に最初の入植者が入り、さらに 1853 年には「村落」となり、1857 年には City となっています。
19 世紀末にはすでに人口が 1 万人を超え、第二次世界大戦の終了後には 3 万人に達しています。2005 年の国勢調査によれば人口は 7 万人を超えていますから、そこそこ順調に発展してきた、と言えるでしょう。そして、それを支えたのが Fox River を利用しての水力発電と、Amos Adams Lawrence( born in Boston, Massachusetts, 1814-1886. John Brown の奴隷制度廃止論を経済的に支援し、後に University of Kansas の設立の際に融資を行っている)によって創設された Lawrence University で、現在も Lawrense University はほぼ町の中心部、Fox River の北岸にあります。


ブルースに「目覚めた」彼は College Radio Station に働きかけて、ブルースを採り上げるようにし、さらに自身はシカゴのブルース・シーンに飛び込んで、当時のナマのブルースを全身で浴びることとなります。
マディを始め、あの Magic Sam(もちろんホンモノでっせ〜!あの iTunes でダマそうとしてる Westside Guitar Wizard やら the Final Session なんて、いかにも「ヒョっとしてマボロシの音源を発掘!か?」なんてえ実に悪質な詐欺まがいの偽マジック・サムことロン・トンプソンじゃおまへん!)に Otis Rush、そして Carey Bell などをナマで聴いてるんですから、実に羨ましい!!
ま、それはいいのですが、College Radio Station の活動が実を結び(?)大学の Activities Committee(学内活動委員会、とでも訳すものか?)が学内で Howlin' Wolf のライヴを計画した際に、その有無を言わせない独善的な実行ぶり、特にまったく不充分なプロモーションに大いに失望することとなりました。
そこで彼はそのような組織に頼らず、彼自身のポケットマネーで Luther Allison を招聘し、見事にそのライヴではチケットを Sold Out に導き、ちゃんと「理解している人間が、熱意を持って事に当たれば、確実に手応えは得られる」ことを証明したのです。

このときの Luther Allison のライヴによって Bruce Iglauer を認めたのが Delmark の Bob Koester で、彼を雇い入れることにしたのでした。
最初のポジションは、週給 30 ドルの製品発送の部署で、これが 1970 年のことです。
念願かなってシカゴの住民となった彼は、夜毎にウェストサイドやサウスサイドのブルース・クラブに現れる生活を送ることになりました。
さらに Bob Koester とともにスタジオで Junior Wells などの録音にも立ち会っていたそうですが、そのような機会を通じて、彼自身でもブルースのレコードを作ってみたい、という意欲が湧いてきたもののようです。
その彼が僅か 2500 ドルの開業資金でアパートの一室で自らのレーベル、今でこそブルースのファンだったら知らないひとはおそらくいないと思われる Alligator を設立したのが 1971 年、とされていますから、Delmark にはほぼ一年くらいしかいなかったのでしょうね。


今日はまた予報が大外れ!朝から昼過ぎまで雨となりました。
しかも気温も 12℃ くらいでしょうか、かなり「涼しい」!
町を自転車で走っていても、もう上着を着込んで寒そうに歩いている人が目につきます。

それでも午後になって陽も射してきて、少しは気温も上がったのかな?
こんなふうに悪天候から回復してくときの夕焼けって、なかなか味があるんですよ。
まだいくらか残っている雲が複雑な演出をしてくれるせいでしょうか、全天が晴れ、なんて日よりもずっと表情のある夕焼けを見せてくれます。



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