Elvin Bishop Story III

Alligator Tales vol.30


06-11-13 MON.




1988 年、Elvin Bishop は Alligator と契約し、そこで実に 7 年ぶりにリリースされた彼のアルバムが AL-4767、Big Fun でした。
プリミティブ(?)なブラスが刻むブーギのリズムに載せて実に楽しそうなコール&レスポンスが、ウソつきオンナをさほど深刻じゃなく、まあ、そのくらいしそうだとは思ってたぜ、てな軽さで流して行きます。そうそう、Elvin Bishop はこうでなくちゃ。
次の Beer Drinking Woman は語り(?)が特徴なんですが、やはり Amos とはタイショーテキですねえ。Amos ちゃんは「自慢の」ディープなヴォイスを活かして(多少「溺れて」?)「どや?」てな感じですが、こっちはもうそのまんま。ただ喋ってる、って感じでそのヘンも彼らしくていいやね。
一方 Midnight Hour Blues では「かなり」Nashville テイストっつうか、C&W 系の音作りで、これまたけっこールーラルなムードなんですが、同様に No Broken Hearts、Country Boy、Fishin' Again などでもカントリー・テイスト溢れるサウンドで、しかもそれらが全体のなかであまり違和感が無いんですよねー。
そこら「お人柄」ってもんでしょか。
ただ、前にも触れておりますが、ワタクシがこのアルバムでいっちゃんウケた(?)のはやはり、の Honest I Do でございます。

さて、先ほど「プリミティヴな」などと言いましたホーンでございますが、この録音が( Bruce Iglauer もプロデュースに参加してるのに?)シカゴではなく、西海岸の Richmond、Starlite Sound なんですよね。つーことは、このホーン・セクションも「おそらく」現地調達、つまりウェストコースト勢でしょ。
そこらが、この明らかにシカゴとはちゃう、「良く言えば」底抜けに明るい、まあ、どっちか、ってえとパッパラパーな音の理由なのかもね⋯?

この後も Alligator でのアルバムは 1991 年の Don't Let the Bossman Get Your Down!、そして 1998 年の The Skin I'm In、さらには旧友 Little Smokey Smothers と一緒に行ったライヴを収録した 2000 年の That's My Partner があるのですが(そしていつもはその原稿で採り上げている作品に到達したとこでその Biography もストップさせちゃうことが多いのですが)ここでは Alligator 以降の彼についても少し⋯

次の彼の作品は 2005 年の夏にリリースされた Blind Pig からの Gettin' My Groove Back になるのですが、これを聴いて、その間にあった悲劇に思い至った方も多かったのではないでしょうか?
最初の曲、What the Hell Is Going On というタイトルもさることながら、そこから出てくる音は、これまでの彼からはあまり感じることのなかった「逼迫したもの」、なにかしら「執着したもの」、そんな「熱病のような」閉塞感を感じてしまったのはワタシだけでしょうか?

それは 2000 年の夏、Children of Thunder を自称するモルモン教徒から自分で宗教をでっち上げた Glenn Taylor、そして「信徒」の Justin Helzer と Dawn Godman により、金銭強奪の目的で Elvin Bishop の娘 Selina Bishop とその母 Jennifer Villarin、その友人 James Gamble が「殺害」されてしまったのです。
この犯人たちはその直前にも二人の被害者を殺害しており、狂信者による連続殺人としてアメリカ社会に衝撃を与えた事件となりました。
この事件から 5 年、ふたたび浮上してきた Elvin Bishop の、ある意味、カムバック作品と言うことが出来るかもしれません。
そして、これは聴くワタクシに先入観があるからなのかもしれませんが、どうしても、その音群には「底抜けな」オプティミズムの匂いが薄れているように感じてしまいます。


ところで、昨夜はセッションでした。
その前にライヴが入っていたため、いつもより 1 時間遅れの午後 10 時スタートの午前 1 時まで。
いつもは駆けつけてくれる板どんがお休みだったので、ワタクシ全セットに出場です。
他にギターではダディ正井が 1 ステージ出ておりますが、そーなるとドたっぷりソロを回しますんで、だいぶやり甲斐があったんじゃないでしょか。
ドラムは Tetchi も来てて、半分は彼とドラミストM。

昨日はちょっとした気の迷い(?)からギターを一本に絞れず、結局 Red Hot と Rickie Sunburst の両方を持ってって、最初のセットでは Rickie Sunburst を、ローランド JC にストレート、アンプのリヴァーブ以外、なにも「かけない」っちゅう、めっちゃシンプルなサウンドでやってみました。
うん、このギターはやはりリヴァーブだけ、てな音作りに向いてるようですね。
ただ JC じゃ、あんまり深くリヴァーブがかからず、弘前ライヴでの Eddie Taylor みたいな域にまでは到達しないんですよねー。これだったら、TONEWORKS でばりばりにリヴァーブ「だけ」かけたほーが良かったかもしんない。

次からはやはり使い慣れた Red Hot ですが、やはり「甘い」ですね、音が。
曇ってる、ってんじゃなくて、なんかトロける感じ(?)。
Sunburst は逆にアタックが「硬い」!
突き刺さってくるよな音なんですが、さほど不快ではございません。

そこら、もともと粒立ちのいい Sunburst が「初期のエレキっぽい」ちょと原始的な(?)音、そのまま、って感じなんでしょうね。
Red Hot はハナっから背なのパンドラ込みで「ピークやら刺激成分を抑えめにした」音になってるせいで「違いが際立つ」と⋯

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