Snakes again…

Alligator Tales vol.38


06-11-21 TUE.




1990 年の Alligator 4 枚目、AL-4783 は、ってえと、やっと Real Blues の登場ですねえ。

ご存知 Raful Neal の King Snake 録音、Louisiana Legend でございます。

A1 - Luberta
A2 - Steal Away
A3 - Blues On The Moon
A4 - Down And Out
A5 - You Don't Love Me
B1 - No Cuttin' Loose
B2 - Been So Long
B3 - Late In The Evening
B4 - Honest I Do
B5 - Let's Work Together

Harmonica, Vocals - Raful Neal
Lead Guitar - Kenny Neal
Guitar - Bryan Bassett, Ernie Lancaster
Keyboards - Barry Rupp, Red Simpson
Bass, Saxophone - Bob Greenlee
Drums - Denny Best, Jim Payne, Scott Corwin
Saxophone - Noble Watts
Trombone - Jon Paltishall
Trumpet - Bruce Staelens

先に息子の Kenny Neal が本稿では出て来ておりますが、もちろんブルースマンのキャリアとしてもこの「父ちゃん」が先行しているのは「当たり前」で、その初録音にしても、息子の Kenny Neal が生まれた直後に、すでに Peacock にシングル、Sunny Side of Love を吹き込んでおります。
その後 La Louisiana、Whit なんていう地元レーベルにも吹き込んでいますが、全国的な知名度を得るのは 1987 年、Fantastic レーベルからリリースされた 2 枚目のシングル、Man, Watch Your Woman(そう!あの J.B. Lenoir の名曲 Mama, Talk to Your Daughter と Parrot 809 でカップリングとして 1954 年にリリースされた曲でございます)が BLUES FOUNDATION of MEMPHIS によって Blues Single of the Year にノミネートされるほどのヒットとなってからでした。
それを受けて、さっそく Bob Greenlee が動き、Fantastic と「協力して」 1987 年に作り上げたのが、このアルバム、という成り立ちのようでございます。
そのような経緯ですから当然プロデュースは Bob Greenlee と Kenny Neal(もちろんバックでギター)の共同で、バックには Kenny Neal 以外にも、例の the Midnight Creepers から Bryan Bassett(ギタリストであるばかりではなく、レコーディング・エンジニアでもある)、Ernie Lancaster、Noble "Thin Man" Watts などが参加しております。
その King Snake Studio で録音されたマスターはそこでミックス・ダウンも経て King Snake / Fantastic からすでにリリースされていたものですから、その最終マスターはシカゴではなくニューヨークの DMS でリマスタリング処理を施され、Alligator から発売されました。

続く AL-4784 は Koko Taylor の Jump for Joy。
Tired of That や I Don't Want No Leftovers じゃ Billy Branch のニュアンスを含んだハープが聴けます。で、あとはいつもどおりの Koko Taylor。
⋯なんて言うとミもフタもないけど、どうもこのひとって、プレゼンスはあるんだけど、なんか「常にイキんでる」感があって、しょーじき言うとちょい苦手なんですよねー。
スゴい!とは思うんですが。

かわっての AL-4785 は前述の Bob Greenlee のバンド the Midnight Creepers のホーン・セクションの要たる Noble "Thin Man" Watts の Return of the Thin Man。
この Noble Watts ってひとは 1926 年に Florida 州 DeLand に生まれています。
サックスという楽器は黒人家庭にとっては「趣味で買う」には極めて高価な楽器ですから、だいたい息子がサックスを吹きたい!なんてダダこねても、それじゃまずこれからだな、なんて誤摩化してハープを与えとく、てな「高嶺の花」でございました。
ところがこの Noble Watts は幸運にも、ハイ・スクール・バンドでサックスと出会うことになります。
当初はピアノだったらしく、そこからヴァイオリン、トランペットと遍歴を重ね、最終的に落ち着いたのがテナー・サックスでした。
やがて Florida A&M(おそらく Agricultural and Mechanical、つまり農業工科大学)に進み、そこのマーチング・バンドでは Cannonball と Nat の Adderly 兄弟とも一緒に演奏していたそうです。
卒業後には R&B のバンド the Griffin Brothers に入り、次いで Paul "Hucklebuck" Williams(かって Jimmy Spruill も在籍してた)とともに初期のロックンロール・レビューのツアーの日々で Fats Domino や Chuck Berry などのバッキングを経験することとなりました。
またこの時期、数々のヒットとなった曲の録音に参加もしています。
1970 年代には Apollo Theatre のハウス・バンドの一員としても活動していたようですが、なにか限界でも感じたのか 1983 年には故郷の DeLand に戻り、地元でたまに演奏する、という生活だったらしいのですが、そんなプライヴェートなパーティでの演奏に目をとめたのが Bob Greenlee でした。
Noble "Thin Man" Watts の才能を認めた Bob Greenlee は 1987 年に King Snake Studio で彼のカムバック・アルバムを制作し、それがこのアルバムなのです。
例によってプロデュースは Bob Greenlee、一曲だけですが Taj Mahal が録音に参加してますねえ。
ま、ぜんぜんカンケーない話ですが、なんでブルースのミュージシャンが、ムガール帝国のシャー・ジャハーンの妃、アルジュマン・バーヌー・ベーガム(でしたっけ?)の墓所たるムムターズ・マハル(国母)、つまり「タージ・マハル」の名前を芸名にしとるのかワシゃ理解できん⋯
てなことはほっといて、このアルバム、全体にちょっと面白いスタンスなんですよねー。

ご本尊たる Noble "Thin Man" Watts のかなり「じゃずぅい」なサックスは、イーストコースト・ジャズっちゅうよりは、むしろもっとポピュラーなテイストもあるのですが、それでもかなりジャズっぽいテイストは香っております。
なのに(?)そのバックでは「ジャズではゼッタイあり得ない」空間系のエフェクター(特にワタシの嫌いなコーラスとかね)をドたっぷりとかけたギターが堂々と存在を主張しているし、ベースだってランニング系のスケールは選んでますが、そのトーンは「明らかに」よくダンピングの利いたファンキーさに溢れてるし、ドラムもびしびし!とインテンシティを前面に出してる⋯この総合がまた意外と魅力的なのよねー。
そして Look Under the Wing での「がっついてない」ヴォーカル、いい味だしてますよ。

ブルース、そしてサックス、となると A.C. Reed!ってえのがブルース界の常識なのかもしれませんが、ワタクシ、彼のアルバムの紹介のとこでコクハクしたとーり、A.C. Reed にはどうも馴染めないんですわ。
もしかしてワタクシと同じよに感じる、なんて変わった方には、この Noble "Thin Man" Watts、本気でおススメいたします。ゼッタイこっちのほうが「いい」!


だんだん日が短くなってきて、暗くなるのがかなり早くなりました。
特に高緯度地方はよけいに顕著ですからねえ。


おかげで、夏の間は気付かなかった「夜の街」の様相が見えてきています。
明るかったうちはぜんぜん気付かなかった一画に思いがけないお店があることを発見したり、別になにも無さそうだと思っていた横丁になにやらお店の明かりが灯っていたりと、普段、夜遊びをしないワタクシにはちょと新鮮でございますねえ。
冬至まであと一ヶ月。
どんどん衰えていく光に冬を感じますが、どっこい、ホンバンはその後から来るのよねー。さらに一ヶ月は遅れて。

気温がいっちゃん下がるのがだいたい一月の下旬です。
その意味では立春、なんての、底を打った直後、反転の兆しあたりですから「春に向かって立つ!」てな意味じゃ、そのと〜り!ですね。
すでに「雪がちらついた」って意味の初雪はありましたが、まだ地面が真っ白になる初積雪は来てません。
そろそろ?っちゅう気がすんだけど、今年もまたドカ雪パターンかな?

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