Design? or Art? Alligator Tales vol.65 06-12-18 MON. | さて、かわっての AL-4845 は、前回( 12/7 )にそのデビュー・アルバムを紹介した Michael Hill's Blues Mob の二作目 Have Mercy です。 ワタクシ、これまでも Fenton Robinson や Son Seals のアルバムのとこで、ジャケットにイラストを使うことへの異議ばかり申し立ててまいりましたが、この Have Mercy でもその基本は変わりません。 ま、いささかイラスト向きのコンセプトであるのは認めるし、マリ(?)の民族衣装みたいなんでキメたステージ姿とブルックリン橋(?)、背後には様々な人種(?)によるモブが描かれ、なんとな〜く、アフリカ系の民衆芸術(そんなジャンルがあるのかどうかも「?」だけど)っぽい仕上げを目指したんかいなあ?てな趣きではあるのですが、やはりどうも安っぽい⋯ なんだかアース(蚊取りじゃないよ)みたいな「夢想の王国」めいててどうにもしっくり来ないんだけど、ま、これはこれで「熟慮の上で」なんでしょねえ。 このカヴァー・デザインは Sid Blaize ってひとらしいんですが、クレジットでは cover design ではなく cover art by...となっており、これが「イラスト→デザイン」っちゅう「用に即した」ものじゃなく、「純粋美術における絵画なのである」てな自負がこめられておるのでございましょう。ワタクシにはそこが逆に気に入らないってだけなんですが。 ただし、別な項では Package design by...として Matt Minde という名が挙げられており、美術は美術、それを使わせていただいてる、みたいなスタンスをより強調してるのかもしれませんねえ。その package design って概念は。 てなことをウダウダ言ってても、もはや時代は iTunes で一曲 150 円でダウンロードする時代。もはやジャケット・デザインのコンセプトを云々する時代じゃないのかもしれませんけど⋯ 音のほうはやはり基本的には前回と同様、ブルース以外の言語でブルースを表現しようとしてる、と言うか、まあ、有り体に言えば、保守的な層からは「あれはブルースじゃない!」なんて断言されちゃいそうな部類。 たとえば、これまでのブルースの流れってのは、もうほとんど、先人たちの音に影響を受けて、別に世襲制ってワケじゃないけど、脈々と受け継がれてきたもので「成り立っている」部分が大きい、と思うんですよ。 それからすると、ここにあるのは、そのような流れからはまったく独立して湧き出した新たな水源、それが合流して来ているようなものかもしれません。 したがって、この音は、これまでのブルースの文脈には「魅力を感じなかった」まったく新たな層をブルースに向かわせる契機となる⋯かなあ? そうだったらいいなあ、とは思いますが、やはり現代の黒人にとって、もっとも「メインである」カウンター・カルチャーのグラウンドは、どうしたって「ラップ」なワケでしょ? そのような「感性」からは、これ、かなりの距離があるでしょうから、「こうゆうブルース」がしっかり生き延びて、ひとつまた新しいブルースの位相として定着し得るのかどうか、は微妙なところかもしれません。 なんて言うと、守旧派からは「んなもん消えちまうに決まってる」なんて意見が出そうですが、ただそれを言うなら「ブルース自体が」、という落とし穴もあることを意識した上で言っていただきたいものでございます。 録音は New Jersey 州 Hoboken の Water Music、それに New York の Studio 900 で Additional Recording を加え、Monster Disc でマスタリングしたものです。そして Bruce Iglauer はマスタリングの段階で顔を出しているようですが、このアルバムの最後のナンバー、あの Hound Dog Taylor の She's Gone は、Michael Hill なりの Alligator(あるいは Bruce Iglauer?)に対する「賛意」の表れなのでしょうか? 他の曲では自由な発想で弾きまくってるような各楽器も、ここでは「精一杯」the HouseRockers のムードを残そう、としてるよな気がいたします。 続いての AL-4846 は 1996 年の 6 月20日から 22日にかけて行われた Buddy Guy's Legends での Son Seals のステージを収録した Spontaneous Combustion(つまり「自然発火」ね)。 こちらはかって、その収録曲 Don't Lie To Me を単独で採り上げておりますが、そこでもクドいくらい褒めておるのはご本尊の Son Seals じゃなくて、あくまでもベースの Johnny B. Gayden のほーでございます。 一見フツーの(?)シャッフルでも彼がベースを弾くと独特のシンコペーションが加わって、まるで異なった色合いを帯びるのですよん。 No, No Baby(ん?どっかで聞いたことあるよなタイトルだなあ⋯ No, No Boy ってのが記憶の片隅に?)でのベースなんて、それ聴いてるだけでマンゾク、てなもんで Son Seals なんてどーでもいい、とまでは言わないけど、別に他の誰でも構わないよ〜っちゅう存在かなあ? いえいえ、もちろん Son Seals に非はありません。 ちゃんとマジメにブルースに取り組んでますし。 ま、それが「あまりミリョクテキじゃない」のはワタクシの嗜好がイカレておるからであって、決してかれのセキニンではない⋯ハズ(?) いやあ、それにしても Every Goodbye Ain't Gone なんかでの Johnny B. Gayden!ワシだったら、このためだけにでも聴きにいきたい、と思いますねえ。 録音は前述の通り Buddy Guy's Legends で、Metro Mobile Recording社の、録音機材一式を実装した専用車を横付けしてライヴを録音したもの。 ミックスダウンは Chicago Recording Company で、さらにここで Additional Recording も行われたらしく、最終的には Monster Disc でマスタリング。 昨夜は、久しぶりに来てくれた「とめごろお」さんも登場し、なかなかに「濃い」セッションでございました。 ただ、参加者は「ミニマム」なスケールでしたが、逆にそうなると、全員でワン・バンドてな感じでなかなかにクォリティの揃った演奏を楽しむことができたように思います。 なんたって、昨日、イチバン良かったのは、これまでは仕事で「お疲れ」でヘロヘロになってたことが多いドラムの Tetchi が、実にシャキっと「ドラマーしてた」とこでしょう。 やはりドラムがゲンキだとリズムが「立つ」んですよねー。ま、いつもの「反動」でか(?)ところどころ走ってたのは「ご愛嬌」。 そしてバンドで弾くのは久しぶり、と言うとめごろおさん、最初のセットでは「ちびストラト+ローランド JC 」の組み合わせに手こずっておりましたが、次のセットではワタクシがキーボードにまわり、極悪 RED HOT を使わせてみたところ、いたく気に入ったようでございましたよん。 ところでワタクシ、昨夜はなにを思ったか⋯っちゅうより、な〜んにも考えてなかったもんで、最近そればっか聴いてる、っつう音に走っちゃったんでしょか、Night Life をいきなり Willie Nelson の出だしで歌い始めてしまいました。 それまでは Aretha の音から来てたんですが、これだとキーが低過ぎるんですねえ。ま、そのまま行っちゃいましたが、いつも一緒にやってる板どんあたり、あれ?これ Night Life ?なんてアヤしんでいたかも⋯ 開けて本日は予想に反し、意外といい天気になりました。「とめごろお」さんは秋田へと帰り、こちらはまたいつもの日常が帰ってきます。 なまじ日中は陽が射して路上の雪を融かしてくれたもので、夕方あたりからの放射冷却でそれがいっぺんに凍りつき、一見、濡れてるだけに見える道路がツルッツルになってます。 クルマよりも歩いてるひとがタイヘンみたいで、目の前で手をつないで車道を横断してきた女子高生が渡り終わった、と思ったとこでトツゼン、「ふたり揃って」いきなりコケちゃいました。 ま、ゲラゲラ笑ってましたから怪我は無いようですが、こっちがビックリです。 明日はもう少し気温も上がるみたいで、残った雪がげっちょげちょ、かな? |
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No.1701