Heritage?

Alligator Tales vol.70


06-12-23 SAT.




一曲目の音が出て来た瞬間に感じたのは「う〜ん、T Bone 臭いなあ」ってこと。
みなさまもすでにご存知のことと思いますが、ワタクシ、T Bone があんまり好きではございません(なんたって、Goree Carter の Biography の一助に、と、わざわざ資料を送っていただいた、ってえのに、読んでみたら、T Bone についても浚わなきゃ前に進めないとこがあって、一度はハナをつまみながらチャレンジしてみたのですが、スグに敗退してしまい、「そのうち、体調がいいときに⋯」なんて、そのまま放ったらかしでございます。ん〜、どうにも相性が悪いみたいでして)。それでも多くのブルースマンに影響を与えたその存在は理解できますが、それと好き嫌いは別のこと。
ですから、このアルバムも全編こんなだったらめげるなあ⋯と、ちょい腰が引けかけましたが、それ以降もときどき匂いは漂うけど「そればっかり」ではないので良ござんした。
AL-4853、Long John Hunter の Swinging from the Rafters。
さほど強烈な個性というほどではないにしろ、そこそこプレゼンスは発揮しておるように見受けられます。
それでも Bugs on my Window みたいなナンバーじゃ、そのヴォーカルがもろ T Boneって感じで、ここらあたりの歌い方なんて、もう「固定」しちゃってるのかなあ?と「ちょっぴり」失望もありますけど。
ま、実際、このひとの歌って、なんだか聞いたことあるよな⋯ってのが結構ありますねえ。いえいえ曲のことじゃなく、その歌い方っちゅうか「なりきり方(?)」っちゅうか。
Take It Home With You なんて、どっかあのスティーヴィー(ってワザと誤解させるよな書き方してますが「 S.R.V.」じゃないよん)に似てるよな気もするし。
そこいくと Trouble on the Line あたりのヴォーカルが、彼のナチュラルな線なのかもしれませんね。
全体としちゃあ、なかなかブルース度(?)は高いって感じなんですが、アルバム全体の魅力ってとこではどうなんでしょ?
あなた、このアルバム買いますか?あるいは iTunes で 1 曲でもダウンロードしてみよう、と思う曲、ありましたか?
録音は、ともに Texas 州ながら、二カ所で行われており、まずは Austin の GM Lone Star Studios、そしてもう一カ所、Abilene( Austin の北西、およそ 300km ほどのところにある地方都市で人口はおよそ 12 万人弱。キャトル・ドライヴのキーポイントだったせいか白人が圧倒的に多く、黒人は一割にも満たない)の Mark Hamm Studios、ミックスダウンもそれぞれのスタジオで行ったようでマスタリングは Monster Disc。

さて、ワタシ個人として、この Long John Hunter、どーなのよ?って訊かれると、う〜ん、「嫌い」ではありません。
さりとて、この人の音をしょっちゅう聴くか?となると「それは無い」。
ときどき思い出したよに聴くことはあっても、iTunes に入ってて、しょっちゅう聴いてる Albert Collins やら最近のお気に入り、C.J. Chenier のよな扱いには「ならないことが確実」でしょ。
ま、それはまだワタクシが、彼でなきゃ!ってゆうゼッタイ的な部分をハッケンし得てない、ってだけかもしれませんけどね。

一方、AL-4854 のほうは Carey Bell の Good Luck Man。
こちらはもうワタクシのいっちゃん好きなハーピストですからねえ。迷いもなにもありません。渋谷のタワーでハッケン即「買い」でしたよ。
おまけに(?)ベースが Johnny B. Gayden!
お、それじゃ「かなり」ファンキーな仕上がりになってんじゃないの?なんて気になりますが、面白いことにこのアルバム、サイドを切ってるギターやら Johnny B. Gayden のベース、さらに Willie Hayes のドラムなんかも、けっこー「ファンキー」な言語を多用しているにもかかわらず、全体としちゃあ意外と「まとも(?)」なブルースの定義に収まっている感じがあります。
それには Johnny B. Gayden & Willie Hayes じゃない、もひとつのリズム・ユニット、T.A. James(ベース)& Tom Parker(実はこっちが当時 Carey Bell とツアーしてたセットだったらしい)のセットも組み合わされているからかもしれませんけどね。
タイトル・チューンじゃ、これ Steve Jacobs っての?ギターのカウンターがピッキング・ハーモニックスとかバンバン使って、Johnny B. Gayden のベースもケッコー「ひこひこ」言ってるのに、全体はちゃんと Carey Bell のブルースになってる⋯(と思わないひともたっぷりいそうですが)

そりゃ確かにバック陣はピアノにしたところで、「ただもんじゃない」感が「やや」あり過ぎで、まあ、バックがウルサい!っちゃあその通りかもしれません。でも、フロントの Carey Bell がそんなの「屁」でもない、てな頼もしさで「自分のブルース」を作ってくれてる、って感じかな?
1950年代、あるいは 1960年代みたいなバックを揃えればマンゾクする人たちも多いんでしょうが、それじゃ「伝統芸保存会」でしょ。
Blues は「遺産」じゃなく、今も「生きている」音楽なんですから。
録音とミックスダウンは Chicago、Streetville Studios で、以下同文(?)


まだ 23 日なんですが、土曜日のせいか、なんだかもうクリスマス・ケーキ(でっかいの)を山積みしてバンバン売ってますねえ。
夕方に寄ったスーパーでもアイス・ケーキを「さあ、ラスト・ワンです!」なんて騒いで売ってましたけど、ちょっと考えてみれば、最後だからなんだってのよ?っちゅうことだよね。

そりゃ売ってるバイトの子にしたら、やったあ〜、あと一個で上がれる!てなヨロコびはあるんでしょが。

⋯なんてこと言いつつも、実は普段だって、目の前で「ちょっとキョーミがある」ってえ程度のものがどんどん売れてって、最後の一個になっちゃったら、誰にせかされんでも、つい買っちゃうことがあるからエラそなことは言えないんですけどね。

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