Lone Star State

Alligator Tales vol.77


06-12-30 SAT




さて、AL-4866 は、Lone Star Shootout。Lone Star State ってのが Texas 州を意味いたしますから、これは当然、テキサスゆかりのブルースマンで、てな企画でございましょ。
え?テキサス? Lonnie Brooks ってルイジアナ州の生まれじゃなかった?っちゅう方もおられるかもしれませんが、まあ、確かに Louisiana 州 Dubuisson( born 1933 )っつう農場で生まれ、そっから州の南部に移った、とされてますよね。
ところが、彼がギターを始めたのって、意外と遅く、20 才を過ぎてからで、しかも Texas 州 Port Arthur に来てからだったそうなんですねえ。
そしてやがては Long John Hunter、さらに Phillip Walker や Lonesome Sundown などとの交流も始まった、と。
あ、そー言えば Long John Hunter も出身は Louisiana 州で、 Arkansas 経由で Texas に流れついたんでした。
さらに言えば、残るもひとり、Phillip Walker も実は Louisiana 生まれで Texas へ、という軌跡ですから、そこら三人揃って一緒、ってことでしょか。
年齢は Long John Hunter( born 1931 )が最年長、若いのが Phillip Walker( born 1937 )ってことになります。
そして三人が揃ってギターにハゲんでおったのが Port Arthur となれば、そりゃタイトルにも Lone Star の名が登場してもおかしくはないワケで。

Alligator では以前にも Albert Collins と Johnny Copeland などを組ませたトリオ(?)でアルバムを作っております( AL-4743、Showdown! )が、今度のは異質なものの「ぶつかり合い」的スリルにはやや欠けるかな?ってとこもありますが、逆に「等質性」っちゅうか、なんか底に共通したもんが流れとる、てな感じは強いよに思います。
なんたって、かっては一緒に活動もしてたワケですからねえ。Showdown! みたく、最初は Gatemouth と三人で、のハズが、たぶんゴネくさったクソじ⋯うっぷす、だ、誰かさんのせいでそれがパーになっちまった、なんてギクシャクさ、良く言えば緊張感をもたらすシチュエーションが無いぶん、ここでは「悪く言えば」ややなれ合いっぽい空気も感じます。
でもまあ、そゆとこにピリピリするよなアルバムでもないな〜、ってのも確かで、三人揃って、あるいは別々に、なんてナンバーのどれを聴いても、そこそこ楽しそうにやってますよ。
ま、これはワタクシだけの印象なのかもしれませんが、ことヴォーカルに限って言えば、なんだか Phillip Walker のだけがどっか異質なものを持ってるように感じられますねえ。
Long John Hunter の声は全体に高いキー、って感じではありますが、それなりに「安定」してるけど、Gatemouth でお馴染みの Boogie Rambler なんかがそうなんですが、どうもこの Phillip Walker の歌では「頼りなさ」あるいは「線の細さ」みたいな不安感が残ります。ってそれは他の、たとえばあの Playboy 原盤のでもモロ感じちゃうんですけどね。

まあ、そこ行くとイチバン「おバカ」っちゅうか、「ぐふふふ」なのは、やっぱり Lonnie "いい仕事しまっせ" Brooks でしょ。
なんだかちょっとムカつきたくなるほど「いきいき」してますねえ。
Lightnin' Slim の Feel Good Doin' Bad なんて、まるで自分の持ち歌ででもあるかのよにもてあそ⋯うっぷす、自由に楽しんでおるじゃありませんか。
なんつーか「下世話な良さ(?)」とでも言いますか⋯
それが Long John Hunter となると、急に頭上じゃミラー・ボールが回り、彼のうしろじゃタキシードでキメたブラス陣が、てなフンイキになるんだから面白いもんです。
おそらく「完成度」としちゃ Long John Hunter かな?って感じですが、ま、面白さじゃ(好きかどうかは別にして)やはり「いい仕事しまっせ」のおっさんでしょ。
ん〜、Phillip Walker だけはどうも最後までそのヴォーカルが気になってあまり楽しめない、てなとこがありましたが、それもワタクシだけのゲンショーかもしれないし、案外、このヴォーカルがいい!なんてファンもおられるのかも⋯
でもこのアルバムで案外いっちゃんの収穫は、かってのバンドメイト、Ervin Charles* の歌う Born In Louisiana でした。
私にとってはまったく知らないブルースマンでしたが、そのレイジーなヴォーカルとちょっとクセのあるくすんだ(?)ギター、うん、なかなかいい!

録音はすべて Texas 州 Austin の Arlyn Studios(ただし Two Trains Running は GEM Lone Star Studios )と Music Lane Studios( Additional recordings )、ミックスダウンはこれも Texas 州 Pedernales の Pedernales Recording Studios、マスタリングはやはり(?)Monster Disc。

* ─ Ervin Charles: 1932 年 1 月 3 日、Louisiana 州 Port Barre で生まれる。
おそらく 10 代の前半からすでに継父だった George Andrus から手ほどきを受け、ギターを弾くようになっていた、と言われますので、このアルバムでの三人よりも早い時点からスタートしていたことになります。
1952 年には家族とともに Beaumont に移って Long John Hunter と同じ工場に務め、すぐにバンド、the Hollywood Bearcats をスタートさせています。メンバーはその Long John Hunter と義兄弟の Roy Stelly(ドラム。残りふたりが HouseRockers みたくギター二本でベース・パートとギター・パートを分担)。
ただし 1955 年には Long John Hunter が El Paso に移るために抜けてしまったため、Ervin は Big Sambo こと Sam Young のバンド、Big Sambo and the Housewreckers に参加しています。ところが今度は Sam が西海岸に行ってしまい、そこで the Nite Riders と一緒にやるようになりました。
1960 年代末ころに Sam Young が帰ってきたので Housewreckers を再開しますが Big Sambo という名前をやめ( Sambo とは、特に南米で、現地の被制服民であるインディオと、これまた使役のためにアフリカから奴隷として連れて来られた黒人との間に出来た混血をさす言葉として使われており、スペイン、あるいはポルトガル人を頂点とする人種的ハイアラーキィのなかでも「最下層」の賤民扱いを受けた層に対する「蔑称」という性格が強い。ちびくろサンボはインドを舞台とした童話であっても、「サンボ」を「非ヨーロッパ人」という意識で命名されているのであれば、それは「蔑称」である、ということで排斥の対象となった。当時の Sam Young あたりは黒人に対する「愛称」くらいに勘違いして名乗っていたのかも⋯)、Sam Young and the Soul Lovers という名前で活動を開始しています。
そのバンドでは 1972 年に初レコーディングした Funky Booty が地域限定ではあったけどかなりなヒットとなり、一気に知名度を上げた Soul Lovers はクラブ出演を増やしています。

1974年、Ervin は突然ダンプカーを購入して(!)Charles Trucking(日本で言うとこの「斉藤運送」みたいなもんか?)という事業に乗り出しました。
それでもバンドでの活動は並行していたようですが、1980 年あたりから Sam の健康に翳りが見られるようになるとバンドでの活動は減速し、1983 年の Sam の死亡でついに Soul Lovers は活動を停止してしまいました。
Ervin は 1985 年にふたたび Nite Riders を招集し、活動を再開しています。
1997 年のヨーロッパでのツアーの後、テキサスに戻った彼は、プロデューサーである Tary Owens に諮ってこのアルバム Lone Star Shootout を提案したもののようです。
ただし Ervin Charles 自身は、このアルバムの録音に参加はしたものの、翌 2000 年の 4 月 1 日に、完成したこのアルバムを聴かずに亡くなってしまいました。

2006 年も残すところほぼ一日。
ワタクシもいっちょまえに年越しの準備などいたしますゆえ、Alligator Tales、ちょっとお休みいたします。
つ〜か、とうとう年を越しちゃいましたねえ。
年内で終わるんじゃないか?なんてのは見通しが甘かった!
ま、タマにはこんなのもいいさ⋯ということにしておこう。



昨夜、突然ケーキをいただいちゃいました!しかも 4種類、6個も!
てなワケで本日の朝食は「それ」になりました。
で、昼になってもまったく食欲が復活せず、ようやく夕食でまともに戻ったかな?って感じ。
ま、ここんちのケーキはそれほどキツい甘さじゃあないんですが、それでも 6個は⋯

年の瀬らしく(?)雪だ!と思ったのも束の間、今日はまたミョーに気温が高いのか、その積もりかけた雪が溶け始めて、どこもかしこもべちょたれ!
とっても歩き難いんだけど、ま、なんか(?)のトレーニングにゃなるかしら?
でも昨年に投入した雪靴が早くもヘタっちゃったんでしょか?中に水が沁みてきてた〜いへん!
ん〜、一年でダメになる、ってのもスゴいなあ。
あ、安いからかな?あはははは

てなことはともかく、CAFE JEEBA で年末年始の営業を確認しましょ。
え~と、大晦日は午後 5時で終り、元旦はお休み、営業は 2日の朝 9時半からですって。一方、三升屋さんは今日が年内最後で、再開は 1月 6日から、だそうでございます。

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