Texas soul...

Alligator Tales vol.84


07-01-10 WED.




トツゼンですが、2002 ってえ字面が好きでしたねえ。
なんでか前後対称とか回転対称なんてえ数字の並びには心惹かれるものがあります。そしてリピートね。1919 やら 2020 なんていう⋯
そこいくと 2007 年、だなんて締まりが無くていけませ〜ん。
てなことはまったくどーでもいいことでしたね、なはは。
ま、実はその 2002 年こそ、この Blues After Dark が誕生した年なもんで多少(?)そのヘンの思い入れっちゅうか「えこひいき」も含まれておる、ってのは確かでございましょう。
その 2002 年の Alligator は

AL-5610 : Koko Taylor : Deluxe Edition
AL-5611 : Son Seals : Deluxe Edition
AL-4883 : Little Charlie & the Nightcats : That's Big!
AL-4884 : W.C. Clark : From Austin With Soul
AL-4885 : Coco Montoya : Can't Look Back
AL-4886 : Lil' Ed & the Blues Imperials : Heads Up!
AL-4887 : Shemekia Copeland : Talking To Strangers
AL-4888 : Cephas & Wiggins : Somebody Told The Truth

と、例の 30 周年モノの V/A が無いぶん一枚少ないけど、通常のアルバムでは前年とまったく同じペースですね。

ここでの注目はやはり 1989 年10月10日、Texas 州 Austin で行われた Austin City Limits でワタクシが思うところでは(もちろんイロイロと異論もおありでしょうが)オリジナルである Willie Nelson のそれを遥かに上回る Ain't It Funny How Time Slips Away を聴かせてくれた Wesley Curley Clark の Alligator 登場でしょう。
Austin 生まれの彼はすでに 1980 年代の後半にアルバムも録音しており(ま、それには多少、それまでの S.R.V. との「活動歴」がモノを言ってたのかもしれませんが⋯)、Austin と言えばここ、っちゅう Anton's での演奏活動、さらに Austin を訪れるスター(?)たちのオープニング・アクトを務めるなどして充分にその実力は知られており(ただし日本ではそんなでもないようですが)、この Alligator 移籍までは Black Top で Heart of Gold ( 1994 )、Texas Soul ( 1996、これにはスタジオ録音での Ain't It Funny How Time Slips Away が収録されてます。⋯が、ワタシとしちゃあやはり Austin City Limits でのそれがおススメ)、Lover's Plea' ( 1998 )の三枚のアルバムをリリースしています。
ま、しょーじきに言うと、ワタシには Texas Blues ってより、明らかに Texas Soul って印象で(ってアルバムのタイトルだってまさに「そのまんま」なんですが)、「ソウル」にはさほど「親しくない」ワタクシにとっては、ところどころ「タイクツ」な部分も、「無い」とは申せません。
あ、別にソウルが嫌い、ってんじゃありません。ただちょとタイクツなだけ(?)。
ま、でも前述のよに、Ain't It Funny How Time Slips Away でのスタジオとライヴ、ふたつのヴァージョンを比較して、ライヴの方が「いい」っての、ワタクシの迷信 ─「スタジオよりライヴが上回るのこそ本物のミュージシャン!」ってえ条件にぴったりでございましょ?
てなワケで、案外このひとのライヴ・ステージはなかなかイケるんじゃないか?なんて思っております。ま、本人のソウル指向がちょと、どう出るか?がワタシとしちゃ不安材料(失礼!)なんですが。

でも、ひところ、この人を日本に呼ぼう!なんて声も挙ってましたが、なんだか業界の反応は悪いですねえ。
ま、たしかに、この人ならチケットが売れそうだ!なんてビッグ・ネームは限られちゃうし、そればっか頼ると「またXXXかよ!」なんて言われ、しかもまったく趣旨を理解してないヤツからは「白人を呼べ」なんて言われ⋯そんならヤメちまったほーがマシ、とケツまくりたくなるのも無理ありませ〜ん。
ま、聞き飽きてることでしょーが、もいちど言っとくぞ。

ブルースのイヴェントには黒人の文化としてのブルースを「持って来る」ことに意義があるのだ。バックは全員白人でも構わん。メインが黒人なら。
だが、白人がメインってのは「どんなに(日本人や白人には)ブルースに聞こえるかしらんが」、それは「ニセモノ」。
ま、ニセモノのほうが手軽でいい、なんてのは「類似ヴィトン」がバンバン売れるこの日本ってとこの特徴なんでしょうけどね。

W. C. Clark、やはり、と言うか、録音もミックスダウンも Texas 州 Austin ですがマスタリングは Chicago です。でもお馴染みの Monster Disc じゃなく Colossal Mastering。そしてそこで Bruce Iglauer が顔を出してるようです。

さて Lil' Ed ですが、なんだかずいぶんとリズムのヴァリエーションを増やしたな、てな印象ですよね。
最初の二曲や Empty House Tour なんて、どっちかってえと白人系の「ロカビリー」あたりにまで遡れそうなロックンロール・テイストが香ってくるし、逆に Four Leaf Clover なんて、どっか Thrill Is Gone を思わせるよな艶を感じます。
そうそうギターが曲によっちゃひとり多い、ってのも効いてるかもしんない。
録音は Chicago、Rax Trax。Lil' Ed と Bruce Iglauer の共同プロデュースです。

あんまり「どアップ」にせんといてくれる?と思わず言いたくなるジャケットの Shemekia Copeland はもうすっかりファン層を掴んでるようですね。
今回はドクター・ジョンがプロデュースで、とーぜんキーボードも弾いてます。
録音もミックスダウンもマスタリングも「すべて」New York!


さすがに雪も残っていますねえ。冬らしくなってまいりました。
ところで夕刻、道を歩いておりましたら、前方、あれはおそらく某病院の庭の雑木林から、と思われるのですが、トツゼンもの凄〜い大量のカラスがいっぺんに舞い上がったのが見えました。
ねぐらに潜り込む前に付近でいったん集結する習性があるみたいなんですが、どうやらその最中になにやら驚かされたのでしょうか、一斉に上空に渦を巻いたもののようです。
ん〜、別役実の「そよそよ族伝説」に出てくる烏遣いを思い出しますねえ。
もちろん、この場合、誰か人間が、ってワケじゃなく、自発的にやってるんでしょうが、妙に統制のとれたその行動、思わずみとれてしまいました。

そしてフと気付いたのですが、12 月の冬至の頃からすると、既に「あきらかに」日が長くなっているんですね。
もう光は甦りかけている⋯

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