八日蕎麦(ようかそば)

2003-01-10
八日蕎麦(ようかそば)=栃木県の一部(芳賀郡周辺)では旧暦の二月八日と、十二月の八日に、各家庭で打った蕎麦を、八日塔という熊笹で編んだ塔を家の裏に作り、その上に供え、鬼(災厄)を拔い、家内安全を祈願する。
ってのがあるらしいんですが、ここ津軽では(他に、岡山県にも似たようなものがあるらしいのですが)、旧暦の十二月八日を「薬師講(ヤグシコ)」といって、ムカシはその日に一年間の薬代金を医師に支払っていたそうで、それが一年間の無病息災を神仏に祈る日となったそうです。
で、前述の薬代を支払いに来た者たちに、医師が「病を絶つことが出来るように(断ち切る=蕎麦切りをかけたのか?)」と「津軽蕎麦」を振舞った、という伝承があり、そこから津軽地方の「八日蕎麦」が由来しているらしいです。(ってのが市内のスーパーの「蕎麦コーナー」POPに書いてありました!)

その点、栃木の「八日蕎麦」とはいささか趣を異にしてますよね。
しかも、旧暦の十二月八日のみ(旧暦の一月八日に行うところもあるそうですが)で、このそばを食べれば向こう一年間、病気に掛からないといいます。

で、ここで言う蕎麦とは「津軽蕎麦」で、しかも、もう茹でてあるものを、熱湯にくぐらせて丼に入れ、上から煮干(と昆布の場合もある)でとったダシに醤油を合わせただけ、というシンプルなツユを張る、ってえものです。
つまり「かけそば」ですね。これがまた、実に「うっとり」するくらいマズいんですよ。
そんなソバばっかし喰ってたのがいきなり「東京蕎麦」の芳醇なツユにコシのあるエッジのきいた蕎麦に触れたんですから、そらもうドえらいカルチャー・ショックでんがな。

あ、でも、あの「津軽蕎麦」のマズさ、ってのがなんでか懐かしいんですよねえ。
ああ、ムカシはこんなマズいソバ喰ってたよなあ、って。
去年、久しぶりに東京から来た弟が、それ喰いたい、ってんで、連れて行きましたがな。
知る限りいっちゃんマズいとこに。え?そら言えまへん。ウマいとこやったらともかく、マズいとこ、って名前出すのはねえ。

もちろん、その津軽蕎麦だって、ちゃんと打って、茹でたてを江戸風の芳醇なツユで食べれば、かっての天庵のごとく、なかなかの味になるのですが、それを鰹じゃなく煮干(ま、すこし凝るとこじゃその前に昆布も使ってたりしますが)だけでとったおダシに醤油を加えただけ、なんて良く言えば「シンプル」、ありていに言えば「アホか」っちゅうツユ。これが良くも悪くも「八日蕎麦」を決めていますね。

そのソバの方だって茹でてある、っちゅうよりは「蒸し」てある、ってもんでしょ。
それを食べる前に熱湯でゆがいてドンブリに入れるんですが、これがまた実にミゴトなほどコシが無く、すぐにブツブツと切れて、やたら短いソバになっちゃうんですよ。
だから食べてても後半になると薄味のツユのせいもあって、ソバをたぐる、っちゅうよりは細切れのソバ入りのスープをリゾットみたいにススリ込む、なんてえ図になっちゃいます。ね?言語道断でしょ?

あんなもん蕎麦じゃねえ!なんて言う声も聞こえますが、ま、こりゃ一種の「郷土食」ですからねえ。江戸風の蕎麦とおんなじもんだと思っちゃいけませんや。
とゆーワケで「八日蕎麦」の日。フダンから無病息災を祈って(?)やたら蕎麦喰ってるワタシとしちゃあ今日くらいは蕎麦抜きで・・・なんてワケないでしょ!

最近、なかなかいいんじゃないか?ってえ「もりそば」を供する「ますみや(担々つけ麺でお馴染みの三升屋とマチガえないでねん)」に行ってまいりました。
やや更科寄りの白く輝いている蕎麦と、あっさりとしつつもコクのあるツユで、「わざわざ遠いところから食べに来るほどじゃあないけど、弘前に住んでるんなら、ここもいいんじゃない?」クラスの味でございます。富田の「一力」と似たスタンスでしょうか。ごくフツーの蕎麦屋の良さを持っています。

もり二枚!っと威勢よく注文しても「勘定」は八百円!ウレしいなあ。
この「ますみや」さん、キャッスル・ホテルの裏通りにあるんですが、駐車スペースは二・三台分しかないんでクルマで行くのはちょっと・・・ま、近いとこにある某公共施設の、1時間までは無料ってえパーキングを「悪用」する、ってえテはありますがね。
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