モラルもマナーも

2003-01-19
チリ領イースター島(バスクア島)で、二十八才の日本人(オス)がモアイ像に「自分と友人の名前を彫り込んで」逮捕されたんだって。
報道によると、事情聴取のあと、釈放されて、もう帰国してるらしいんですが、人権を踏みにじるのが大得意なマスコミ各社、わけてもワイドショー関係者の皆様、現地にまで取材陣を派遣して、現地の反響、釈放となったイキサツなどはモチロン、彫り込まれた文字も「一切モザイク処理ナシ」で放送してほしいものでございます。
さらには本人にも執拗に突撃取材を繰り返し、いったい、ドコのドイツなのか、広く全国民に知らしめていただきたいですなあ。
一罰百戒みたいな見せしめは「良くない」なんてえ正論もございますが、どうもワタクシ思いまするに、そんな正論が通用しないのが「日本」なんじゃないか?と。

だって、空き缶のポイ捨ては「やめましょう」、なんて、どんだけウルサく言ってても、現実を見てくださいよ。道端の空き缶、減ってますか?
そりゃ確かに「どんどん捨ててください」ってキャンペーンやったらもっと投げ捨てが増えるでしょうから、その意味じゃあ、ちっとは効果が「あった」なんて言いたくなるキモチは判りますが、「減った」じゃダメなんですよ「無くなった」じゃなきゃあ。

で、そんな風にスキあらば緩んじゃう、ってのが日本人の「一般的な」モラルのレヴェルなんですねえ(もちろん、きちんとした人もいます。でも、モンダイは「そうじゃない」ほーが多い、ってコト)。
観光地に行って、ちょっと詳しく観察してみれば、さすがに重文や国宝なんかに落書きするヤツは減った(皆無じゃないけど)みたいだけど、その替わり、公園に設けられたベンチや東屋には見るからにアタマ悪そーな落書きがいっぱいでしょ?
落書き、それも自分の名前を書いたり、彫り込んだりする、ってのは一種の自己顕示欲の現れで、その行為をした時点で、自分の名前を「公表」、いやそれどころか「宣伝」しているものと見なし、もはや「(少なくとも、その氏名についてだけは)プライヴァシー」の保護を「放棄」しているもの、と捉えるべきでしょう。したがって、コイツの名前だけは「大々的に」報道していただきたいものでございます。

ま、いずれ(とゆーか、おそらく「既に」?)ネット上で実名が「暴露」されるのは必至ですから、マスコミ各社の、おためごかしな「プライヴァシー優先」なんぞ意味無くなっちゃうでしょが。

さて、モラルに関してもうひとつ。
秋田県北部から青森県南西部にまたがる「世界遺産」白神(しらかみ)山地について「地域巡視員会議」ってのが開かれたのですが、ここでも保護と活用について難しい局面を迎えています。
巡視員が、ある一日に出合った 30組のうち、ちゃんと入山許可証を得ていたものが、たった2組だけだった(!)とか 35ヶ所で「禁止されている」ハズのたき火の跡が見つかったとか、「マナー」の悪さを指摘する発言が相次いだようですが、これは、入山を「許可制」から「届出制」に、という流れに極めて「大きな」疑問を投げかけるものです。許可制だと「モグリ」で入山する輩が増えるので、届出制にして、係員が応対の際に、入山心得のようなものを浸透させられるのではないか?ってのがその主旨だったのですが、はたしてそんなんで改善されるのか?

ま、山に入って「たき火」する、っての、アウトドアを実感するのに不可欠、なんて程度のヒトが多いですから、たぶんジョーキョーはさらに悪化するんじゃないのかなあ?
やはり「マタギ」の人がツアー・ガイドとして「必ず」同行し、入山者はその指導にしたがって「マナー」じゃなく、「山の掟」を学びつつ自然に触れる、ってのがいいんじゃないの?
山を愛する人間に悪いヤツはいないなんて自分で言ってる図々しいのが多いですが、「ゼッタイ」そんなコトはありません。
悪いヤツはどこにでもいます。
「本人は悪いコトしてるとは思ってない」だけ。
それは「無知」なだけです。

いかに自然を「傷つけずに」楽しむか、それを考えられないヒトは山に入るべきではありません。
特に最近は中高年の登山(医者に言わせると「最悪の」スポーツだそうです。体力に余裕が無い上に、同行者が具合悪くなっても介助する余力もなく、万一倒れた場合でも、心臓関係では早急な医療行為が必要なのに、山の中ではそれが不可能なため、発作が起きた場合の致死率は極めて高い)が増え、ストックを杖がわりに持つのが「アタリマエ」のようになっています(ヒドいヤツは両手に持ってる!)。
あれが、どれだけ登山道周辺の植生に悪影響を与えているか考えたコトありますか?

ストック使わなきゃ山に入れない程度の体力なら、「山歩き・山登り」なんてやめなさい!
permalink No.275

Search Form