ご当地ラーメン

2003-01-30



昨日のことになりますが、テレ朝でまたラーメンの特番をやってましたねえ。

首都圏の「人気」ラーメン店の味の系譜や、店主のプロフィール、そしておススメのラーメンなどを紹介してゆく内容なのですが、やはり、どのラーメンもスゴいです。
ハンパじゃない。勝負かけてます。
どれひとつとして単純な仕立てのスープなんて無い。一見豚コツ・ベースと見せて、トリガラをからませたり、牛スジを仕込んだり、節系なら3種4種の混合は当たり前、干し貝柱やアゴダシ、イリコ、焼き干し、煮干しに果実に野菜・・・トッピングには豚の背脂。
そりゃもう役者揃いですね。こんだけ出演者に視聴率とれるの並べたから、ゼッタイにヒットする!ってえトレンディ・ドラマみたい。

その「凄い」ラーメン、たしかに凄そうなんだけど、「たかが」ラーメンにここまでいろんな要素をブチ込む、って感覚はちょっとひっかかります。
たしかにねえ、こんなラーメンだったら、充分に仲間うちの話題になりそーです。
オマエ、あそこのラーメン喰った?ってのが、アイサツがわりにもなるっちゅうの。
でもねえ、前にも言いましたが、「店名の固有名詞つき」のラーメンじゃなく、ただひたすら、いわゆるラーメンってのが喰いたい!って思うことありませんか?

ここでしょっちゅう名前が出てくる弘前市内の「田澤食堂」をはじめ、我が最愛の「一番食堂」(最近 TBS のヴァラエティ番組で脚光?を浴びている森田村にあります)や、黒石市の「おだ食堂」あたりのラーメンってのは、そのテのラーメンとはまったく対照的です。
やや細めの縮れ麺は別にこれと言ったヒミツも無く、(それどころか懇意の製麺所に「お任せ」じゃないかなあ)和風ダシをベースにした澄んだ醤油味のスープに、トッピングは当たり前なチャーシュー(煮豚・焼豚を問わず、大き過ぎず、気張らず)にメンマ、あとはネギだけ(ま、なるとや「お麩」は OK。でもワカメは禁止!)っつーいたってシンプルな仕立てでございます。

東京周辺の「ラーメン激戦区」をくぐり抜けて来た百戦練磨のラーメン戦士たちにしてみれば、こんなラーメンなんぞ、「たしかにラーメンではあるが、それ以上のものではない」なんてスッパリと切り捨てられちゃいそうですねえ。
やはり、そんなお方たちにしてみれば、ドラマが必要なんでしょか。
麺に使われる粉の産地、挽き方、調合、合わせ、熟成、裁ち落とし、もみ、茹で上げ、湯切りなど、どれひとつをとっても「語るべき」ストーリーを持ち、ことスープに至っては、まず、何をメインにして何をどれだけ「隠し味」として使うか、あるいは複数のダシを「合わせ」とするのか、ならばその調合比は?さらに「煮上げる」温度管理や「アク取り」の手順やら、どの時点で何を加え、何を引き上げるのか?
そこに展開するムリョ数千万の選択肢の迷路を過たず通り抜け、ついに到達し得る境地ゆえにいや増す「栄光」。
これぞファイナル・ファンタジーです。まさに一杯のラーメンに込められた「宇宙」・・・ 美しいですねえ、すんごいですねえ。

でもね、たかがラーメンに「つめ込み」過ぎるのって、かえってビンボくさくない?
ラーメンはラーメンじゃない。
この「ただのラーメンで〜す」ってえ感じ(でもマズいんじゃないんだよ。首都圏の「勝負ラーメン」とは違う「日常の美味しさ」がたっぷり)の、逆に存在価値があるんじゃないかなあ?「ごくフツーのラーメン」。
でも、まいにち食べても飽きが来ない、ベーシックなラーメン。

最近、新幹線の開通に合わせて新しく「八戸ラーメン」っての作った、なんて県内ニュースもありましたが、弘前じゃあこのままでいけますよ。
個性だって「あればいい」ってもんじゃないよな気がするなあ。
この「脱力系(?)」のラーメン、独自の価値を持ってますよ。
ま、ラーメンにイノチ賭けてるヒトたちはソンケーします。人としてね。
でも、そのひとが作るラーメンはまた別です。
食べたいのは「作品」じゃなく「ラーメン」なもんで。
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